もやもや病エッセイ『脳の細道』

もやもや病患者の体験記です。不定期更新ですが、どうぞ読んでやって下さい。

ゴキブリやネズミだらけの集中治療室

2006年03月02日 15時03分39秒 | 入院
やはり、脳内出血を起したと言う事で集中治療室送りは免れなかった。
そもそも、集中治療室と言うのは常時看護が可能で生命維持装置やら血圧・呼吸・心電図やらが観察出来るようになっている治療室のはずなのに、私が入れられた集中治療室は大学病院の物とは思えない程の管理の悪さで、何故か窓が全開でしょっちゅう枯葉が入って来るような場所だった。そして、枯葉ならまだしもゴキブリやネズミが入って来るのだ。

妄想などでは無い。集中治療室には入っているものの意識はハッキリしていたので、天井にゴキブリがいたりすると気持ちが悪くて一刻も早く集中治療室から出たかった。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に体は動かないのだ。体中には心電計やら点滴やら痰を取るための管やら尿道カテーテルやらが、まるで焼きソバの様に纏わり付いている。(世間ではスパゲッティーと呼ばれるそうだが)
中国だから仕方が無いのかも知れないが、医療機器もガタが来ているらしく、看護婦がしょっちゅう機械を叩いていた。看護も何についても雑である。集中治療室なのに看護婦は携帯電話でおしゃべりをしており、医療機器がちょっとでも音を立てようなら「ちっ」と舌打ちをして機械を叩いている。
脳内出血を起して只でも頭が痛いのに、看護婦が枕元で機械をガンガン叩いたり、携帯電話で話をする声が喧しくて余計に頭が痛んだ。ちょっとでもうめき声を上げたものなら、看護婦が「うるさいわねー!」と良いながら、私の尻に一日に何度も麻酔の注射を打つのだ。おかげで頭だけで無く尻まで痛くなった。注射を打つまでは良いのだが、お尻の筋肉には刺してはいけない場所があり、間違ってそこを刺されると足が麻痺してしまう。まさに秘孔だ。
そのせいも会ってか元々感覚があった太ももの部分が麻痺してしまった。

そんな状態の中でも一番苦しかったのは絶食させられた事である。勿論、内臓などの臓器には異常が無いので喉も渇くし、お腹だって空く。しかし、最初の数週間はご飯やお粥はおろか、水すら飲ませて貰えなかった。喉はカラカラなのに点滴を打たれているので尿だけはやたらと出るし、背中に汗を大量にかいて汗疹が出来ても体を拭いてすら貰えない。

生きた心地なんてしなかったのは確かだ。