「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その16・友達と赤い痕

2022-11-17 23:50:00 | 傾国のラヴァーズその11~20
 その後は、彼の方が時間を気にしてくれた。
 それでも、デザートの夕張メロンゼリ一までしっかりいただき、後片付けの手伝いをして帰った。
「今日はいいよ。それより早く帰って報告書提出してよ」
と、彼には言われたが…
「もー、こうやって飲むのを禁止にされたら困るじゃん…」
 お世辞でも嬉しい。そんなに彼は俺に親しみを持ってくれたのかな。
 
 そして俺は気づく。

 俺も親しみ…仕事面で気に入られたいというのとは、別の感情を持ったと言うことに。

 落ち着いた知的な社長の顔と、腕白な子供のような可愛らしさとのギャップ。
 でも初対面なのに色々気をつかってくれる優しさもあって。
 そして、永遠の美少年と言われるような世界中の俳優にも負けない美しさ。
 他にも何だかあったかさがあって、

 この人と「友達」になりたいと思った。


 
 次の朝は初めてのお迎えで、俺はちょっと緊張していたが、昨日の楽しい飲みを思い出して自然と笑顔も出ていた気がする。
 
 しかし…
「…はい…」
と、ドアを開けてくれたのは、物憂げ、というか不機嫌そうな彼だった。長い金髪をうなじのあたりでまとめたポニテは可愛らしかったが。
「おはようございます。昨日はありがとうございました…あの、大丈夫ですか?」
「おはよう。やっぱ、俺、ヘン?」
「顔色が…」

 そして俺がびっくりしてしまったのは、彼の首の右側の方に、昨日まではなかった赤い痕がくっきりとついていたことだった。