「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その8・偉大過ぎる祖父

2022-11-02 22:32:00 | 傾国のラヴァーズその1~10
 俺には質問せずにはいられないことがあった。
「高橋さん…専務はどこからかのお目付け役なんですか?」
「いや僕が連れてきた大学の先輩にあたる人で。ベテランの事務屋さん…鈴木さんは高橋さんの友達。矢野会長の一味ではないよ」

 俺は少し安心した。
「だから今回海原君たちに依頼したのは、僕が誰かに狙われている、よりも、自分やその仲間たちが被害を被るような動きをしないか見張らせるのが目的のような気がしてる。矢野会長は〈何かと物騒だから〉なんて僕には言っていたけどね」

 俺には何のことやらで、
「って矢野さん達の被害って、社長はそんなことできるんですか?」
「うーん僕が考え着くのは矢野さんたちの利権を守るために、俺には会長系のよその派閥からは出馬しないでほしいっていうがあるみたい。あとは他の候補のためには指1本動かさないで欲しいみたいなんだ」 
 こんなのでも面倒見てくれた恩を感じなければいけないのかな…彼は俯きため息をついた
 俺は何を話していいかわからなかった。
「まさかの野党に入って矢野会長一味を卒倒さぜてあげようかな」
 一緒に笑ってしまったが、今日が初対面の俺とこんなことまで話すのはいいのだろうかとも思った。
「僕の祖父の成田ブランドなんて今時どれだけの人にわかるのかなっていう気もするし、でも最近では昭和の大物政治家の本がブームになっているって話もあるし、あとよくわからないタレント議員が当選するくらいだから成田なんとか言って孫が…」
そこまで言って、彼はまたため息をついたようだった。
「どうしました?」