気まぐれ人間の気まま情報新聞

どこかにいる、もう一人の自分のようなみんなへの、ひとりごとのような、語りかけのような、あいまいな発信基地不明の新聞です。

社会の影の向こうに投身してゆく人々。自殺者3万人の国、日本

2009-11-14 02:30:24 | Weblog
家族の団欒も、友人の笑顔も、会社の仕事も急に遠景のように遠のいていく。すべてから切離された無音の場所に取り残される。もう自然の色も雑踏の騒音もはいってこない。
幼児のときの故郷の青空も見えなくなる。自分はだれの役にもたたない意味のない存在だ。生きていても意味がない。未来はもうやってこない、これを打ち破る手立てももうない。誰にも望まれない自分はもういないほうがいい。自分は弱かったのだ。生きていても迷惑をかけるだけだ。誰にももう頼れない。
そのようにして最期に自死はやってくるのか。資質の問題もあるだろうし、いろんな経過はあるだろうけれど、自分の生を自己否定することは確かだ。

派遣切れの30代の若者が言っていた。なんとか自分で職を見つけて自立してと思っていたけれど、ホームレス状態でギリギリまできていた。自分がだめなせいでこうなったとおもっていて、自分からすぐ"助けて"とはいえなかった。自負心もあった。だから、はじめ相談にのるからといわれても相談しなかった。でももうぎりぎりダメだと思ったところで、相談にのってもらった。彼はおかげで住まいを得て、今はホームヘルパーの資格が取れて元気そうだったが、相談しなかったら年を越せなかったと思うといっていた。

姜 尚中は自殺について書いたなかで、自殺した人はその直前になんらかの相談をもちかけているという。彼らの相談がいろんな思いが切迫していて、うまく表現できないためにギ リギリの相談と思えなかったのか、それとも聞くほうがそこまでの切迫感を読み取れなかったのかわからない。でもそれからまもなく彼らは自死しているのだ。
なぜ彼の無言の表出されないことばに気づけなかったのか。残されたものにいつまでも残る悔恨と問い。それは自死に身近な人にいつまでも付きまとうものだ。なぜ、あのとき。

派遣切りにあった人々の多くが、切った相手を責めるより、自分がわるかったからこうなったとでも言うように受け入れているのをテレビで見てビックリしたことがある。きっとこうなったのも自分のふがいなさのせいだと思って、周りに迷惑かけないようなんとかしていこうと思っていたのだろう。でも、そのとき再就職は最悪の時期になっていた。やさしい人たちは最後までなんとかしようとしていたのだろうが・・・・

自死は1998年のバブル崩壊後の不況からずっと3万人をこえているという。男女比は女性8千人から9千人残りは男性で2万人超。30万人の市であれば、10年で市は消滅する。
NPO法人ライフリンク調べでは
10万人に対する自殺率は2000年ベースでロシアの39.4人についで24.1人で世界第2位。フランス18.4人ドイツ13.5人、アメリカの10.4人でかなり高い。ロシアの高さはよくわかりません。共産主義崩壊による資本主義的労働形態への不適応の影響があるかもしれません。
県別では平静17年で率では秋田、青森、新潟、富山、高知、長崎、宮崎が高く、総数では東京がやはり多いようです。
年齢別では17年下記です。
60代以上  男性7060人、 女性3834人  合計10894人
50~59歳  男性6016人  女性1570人  合計7586人
40~49歳  男性4120人  女性1088人  合計5208人
30~39歳  男性3389人  女性1217人  合計4606人
20~29歳  男性2357人  女性1962人  合計4319人
19歳以下 合計約850人         総合計33463人
自殺の理由としては下記です。
健康問題    4145人  勤務問題  654人
経済・生活問題 3255人  男女問題  317人
家庭問題    1011人  学校問題  71人
勤務問題    654人 その他および不詳 約900人
※ 20代から50代の自殺の第一原因は「経済・生活問題」がいちばん多いとのこと。ただその割合記載なし。
※ 「遺書がある自殺」のうち約3割は「経済・生活問題」とのこと。全体数は記載なし。

上記の自殺の理由には欝病の記載がありませんが、自殺の理由を契機(きっかけ)としての理由と考えれば、おそらく死に向かう全体に関わるかもしれません。ただ鬱病については何度か書いていますが、現代病として別途取り上げる重要性があると思います。

爆笑問題の太田総理という番組の最近の放映で長嶋一茂が自分の鬱病を素直に告白していて親近感を持ちました。
彼の場合、母の死がきっかけでパニック障害になり、その後鬱病になったといっています。
鬱病の予兆症状は下記のようだといっています。
・物事を決めるのに非常に時間がかかる。
・記憶力や集中力が低下する。
・寝不足で疲れているのに毎朝早く目がさめるようになる 自然の身体も異    変が起きる
・食欲がなくなる、体重が減る、疲れやすくなる、身体のあちこち痛くなる。

パニック障害やほかにもいろいろ契機はあると思うのですが、共通するのは、これまでに経験したことのない動揺するはじめての心的経験でどうしたらいいか混乱するといった不安で切迫した状態になることだと思います。仕事上の失敗、過労・睡眠不足、今回のようなリストラ、結婚、出産・育児、介護、頼っていた人の死など慣れない事態に遭遇したときが契機になう気がします。自分の経験で自分でもそんな状態をうまく表現できなかったり、受け入れられないのだと思います。

私には鬱病になる人はなる前は一般に自分にそれなりの自信を持っている人が多い気がします。だから余計だめな自分を受け入れられないのだと思います。自分の評価が高すぎるのです。弱さをみとめたくないのですね。きちんとしすぎているのです、あるいはきちんとしていたいのです。

だから、ほんとはプライド持っててもいいけど、自分には弱さがあるんだなと認めてもっと自分の評価を下げてそこからもう一度出発すればいいような気がします。
でもこれが難しいのですね。

ぼくの知っている前の会社の同僚は、期限を切られて業務を指示されると胸苦しくなってパニック状態になるといっていました。うまくいかなかったときのトラウマがフラッシュバックするのでしょうか、受け入れ方に余裕が持てないのですね。


鬱病の場合は回復期が自殺の誘惑が一番多く、危険なようです。朝は特に危険なようです。電車の飛び込みは朝がいちばん多いのもその理由です。いちばんひどいときには自殺を考えることも不可能なようです。

日本は表面は再チャレンジできそうで、いざ落ちこぼれたら雇用減も急激で、希望に沿う再就職は厳しいと思います。またストレスも多い国だと思います。

自殺についてはみなあまり語りたがりません。前向きに生きようとする自分にとって後ろ向きに見えるのかもしれません。でもわたしには生きていくうえで、生を絶った人の切迫した姿は、どこかで衝撃を受けるものです。人間的な何かを感じるからです。