今回の祝島(いわいしま)は、
この島でドキュメンタリー映画『祝(ほうり)の島』を撮影された
纐纈(はなぶさ)監督に誘っていただいての、初上陸だった。
この望外の案内人のおかげで、わたしの初祝島時間は
はじめて訪れた身には願ってもなかなか叶わないほど
密度の濃いものとなった。
この貴重な経験を共有すべく、書きたいことがいろいろある。
まずは、生きる基本・食からスタート。
*** *** ***
到着した日の晩ご飯は
ありがたいことに祝島の幸づくしだった。
下の写真は、漁師のNさんがとってきてくださったワタリガニ。
ひとり1杯どうぞと言っていただいたけれど、
あつまってくださった島の方々だって食べたいだろうし、
1杯がネットブックくらいの大きさで、かなり食べでもある。
わたしはハナブサさんと半分こしていただいた。
ぷりぷりで、これぞ、感動の味。
これは、祝島の石豆腐いりの煮しめ。
ちょっと分かりにくいけれど、
右端のかたまりが石豆腐(いしどうふ)。
にがりを使わずに海水でかためた豆腐なのだとか。
プラスチックの袋にいれた形で売られている。
なにしろ、パックが不要なほどがっしりした豆腐なのだ。
縄でしばってもくずれないらしい。
石川県は白山麓の白峰(しらみね)にも
堅豆腐(かたどうふ)とよばれる豆腐がある。
やはり、縄でしばって運べるといっていた。
もうだいぶ前になるが、どこかの食堂で
たしか醤油と薬味でいただいた記憶がある。
祝島の石豆腐は、味噌汁の具にもつかうし、
Hさんによれば「煮しめにするのが一番おいしいね」とのこと。
島にいるあいだ、わたしも毎朝の味噌汁で石豆腐をたべた。
それもおいしかったけれど、やはり煮しめにしていただいた石豆腐が
一番おいしいような気がする。というよりも、
煮しめの具にこの石豆腐がぴったり、というべきか。
祝島でビンチョウとよばれる
白身の魚(舌平目だったか?)は焼いていただいた。
これには味噌をつけて食すという。
味噌はHさん自家製の一品。
発酵度が高めのようで、麹の香ととけあって芳しい。
たしかに、白身の焼き魚によくあった。
それにしても、味はもとより、
この輝くばかりの白身の美しさも特筆に値する。
(写真を撮ったのに、どこにいったか見つからない…)
珠洲でも感じたことだけれど、
こういう食を日々たべつづけていたら
何かが違ってくるような気がする。
毎日ワタリガニという意味ではなく、本物の食材という意味で。
いのちを養う、祝島のみごとな食卓、「ごちそうさまでした」。
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