
『劇場版ムーミン 南の島で楽しいバカンス』
"MUUMIT RIVIERALLA" (2014・フィンランド=フランス・1h17)
監督・脚本 : グザヴィエ・ピカール
ムーミンたちが海を渡り豪華なバカンス地でムーミン谷とは異なる生活を体験する。
原作は読んだ事が無く、昔の日本のアニメ(ねえムーミンこっち向いての方)もそんなに熱心に見ていたわけでなく。キャラクターの一部を知っているぐらいの感じだけど、原作の挿絵を忠実に再現した作画という事で、その独特な雰囲気のある絵が滑らかに動くのはアニメーションとして単純に面白かった。背景も独特な世界が表現されていて良かった。
ねえムーミンの方の印象だとムーミン一家はおっとりとしたのんびり屋さんだけど、本作ではそういった感じではなかった。特にはムーミンママが毒舌キャラなのが意外過ぎた。天然キャラというのが恐らく共通しているのだろう。
ファンタジーの中の可愛らしい見た目のキャラクターたちが人間社会をやんわりと批判するのが面白さなのかと思われる。
ムーミンの世界ではムーミンをはじめとした様々な生き物たちが共存しているらしい。その生き物たちがそれぞれ意志を持ちそれぞれの生き方で自由に暮らしているらしいが、その中で気になるのはセレブに飼われているペットの存在。あのペットは自分の意志でペットとして生きているのだろうか。それともあの生き物だけは下等生物という事なのか。見た目はかなり奇妙。
もしも他の生き物たちと同じくらいの知能が有ったとして、それでもペットとして生きるのを選ぶのもそれは個人の自由だけども、この現代社会で誰かのペットとして生きるという選択肢が仮に有ったとして(実際そんな倒錯的な関係も有るのかもしれないが)それを選ぶかといったらかなり悩ましい。条件次第といった所も無きにしも非ず。
しかし、誰かのペットになるのにもその誰かにペットにしたいと思われなければならないわけで、ペットとして生きるのにもペットになるための素質と素養が必要だと考えられる。ならばペットも立派な生き方なのではないか。と意外な所に着地した。
ペットの素質(主に見た目)が有るのかと自問自答すれば無いのでペットとして生きられないが。