『グローリー/明日への行進』
"SELMA" (2014・アメリカ・2h08)
監督 : エヴァ・デュヴァネイ
出演 : デヴィッド・オイェロウォ、カーメン・イジョゴ、トム・ウィルキンソン、ジョヴァンニ・リビシ、ティム・ロス、マーティン・シーン
アメリカにおける黒人の公民権運動を非暴力主義で行なったキング牧師と仲間たち。1965年ジョージア州セルマでの抗議活動が重大なターニングポイントとなった。
キング牧師についての知識はほとんど無い。本作はセルマでの出来事にクローズアップし、その重大な局面を迎えたキング牧師(と仲間たち)の姿を描く事でキング牧師の人物像をより深く浮かび上がらせる。その人の人生を総ざらいで描く偉人伝的な形を取らなかったのはスビルバーグ監督の『リンカーン』と似ている。
それはアメリカ国民にとってはキング牧師もリンカーン大統領も誰もが知っている人物であるから成立するのかもしれない。あまり知らない者からすると偉人伝的な物語を初級者編とするなら本作のようにひとつの出来事に特化して描かれる物語は上級者編と言え、いきなり上級者編から入るのはちょっと無理が有ったのかもしれない。
キング牧師が主役の映画が作られたのは本作が初めてとの事で(ドキュメンタリー作品、テレビ映画は何本も有るみたい)、それでいきなり上級者スタートというのはキング牧師がいかにアメリカでは知ってて当たり前の存在かを物語っている。
現在では聖人化されているキング牧師を一人の人間として描く意図も有ったよう。女性関係が色々と有りそれをFBIに盗聴されていて脅迫のネタになっていたとからしいが、そこら辺の女性関係の事は薄っすらと匂わせるにとどめていた。
公民権運動に際しては理想と情熱で突っ走るという感じではなく(この時期は既にそういう時代を過ぎてしまったのかもしれない)、きっちりと戦略を立てて有効な手段を選んで運動をしていた様子。
運動の後押しになったのがテレビにおける報道映像で、現在では映像はよりパーソナルなものになりその力は大きなものがあるのだなあと思う。
デヴィッド・オイェロウォの演説が上手かった。このまま政治家になれるんじゃないかぐらいの上手さ。
キング牧師の有名な「わたしには夢がある」の演説も聞きたかったけど時期的に合わないので本作には無かった。
デヴィッド・オイェロウォは数年前なら日本語表記はオイエローもしくはオイエロウになっていたのではないか。
ネイティヴな発音に忠実な日本語表記という流れが有るのでしょうか。キウェテル・イジョホーには適用さていないみたいだが。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC
ブラッド・ピットが"オイェロウォ"の正しい発音を教えてくれる。大変ためになったがまさかとは思うけどブラピもしかしてスベってる?