『ジャージー・ボーイズ』
"JERSEY BOYS" (2014・アメリカ・2h14)
製作・監督 : クリント・イーストウッド
出演 : ジョン・ロイド・ヤング、ヴィンセント・ピアッツァ、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、クリストファー・ウォーケン、ジョセフ・ルッソ、マイク・ドイル
現在も歌い継がれる数々の名曲を送り出したフォー・シーズンズがショービジネス界で歩んできた道のりを辿る。
ネタバレ有。
ブロードウェイのヒットミュージカルの映画化だけど本作はミュージカルではなく。音楽映画とも言われているけどそれもちょっと違うような気がする。
有名グループの一代記の形を借りたショービジネス界の光と影を描いたドラマといった所ではないかと思う。
『バード』は一人のミュージシャンの波乱の人生を描いた映画で2作を観較べるのも面白そう。イーストウッドの監督としての進化も分かるかもしれない。
『許されざる者』で西部劇、『グラン・トリノ』でアクション映画にけじめをつけたイーストウッドが本作でショービジネス界にけじめをつけたのではないだろうか。
本作で描かれるのはほとんどが影の部分で、光はラストシーンのエンドロールに集約されている。ショービジネスで表面に現れるのはスターと呼ばれる人たちがキラキラと光り輝き、素敵な歌とダンスに彩られ、そこにはドロドロの人間関係などは微塵も感じさせない。
それがショービジネスのあるべき正しい姿であり、本来見せるべきでは無い影を長年ショービジネス界で生きてきたイーストウッド監督が描いて見せてくれる。
イーストウッドも私生活で特に女性関係については色々と有ったから(最近でも有ったし)イーストウッド自身と重ならないでもない。
しかし、ショービジネス界に影はつきものという事はもう誰もが知っている事なので新鮮味は無いというのが正直な所ではあった。
でもラストシーンがとても良くてそこでいい映画だったなあと思わせてしまうのがイーストウッド監督の上手さなのか。
フォー・シーズンズの音楽はザ・キングトーンズ及びビジーフォーを思い出してしまう。音楽のジャンルは違うのかはよく分からない。オールディーズという事で一緒くたにしていいのか。
個人的には本作は何よりもジョー・ぺシだった。ジョー・ペシが出ている所は全て楽しい。
ジョー・ペシの過去に興味津々。この時はデ・ニーロとは既に知り合いだったのだろうか。ジョー・ペシとデ・ニーロは仲がいいらしいがどんな感じで仲がいいんだろう?ジョー・ペシが一人で喋ってデ・ニーロは笑ってるだけとか『グッドフェローズ』そのまんまを想像してしまう。
フォー・シーズンズがロックの殿堂入りした1990年って『グッドフェローズ』でアカデミー助演賞獲った年だったかと思ったり。
『ジョー・ペシ物語』が是非観たい。イーストウッド監督かマーティン・スコセッシ監督で。
日本未公開の2010年の作品"Love Ranch"以来の新作はCGアニメ"SAVVA"の声優。蚊の役みたい。
こちらも日本で観られるかは分からない。万が一公開されても日本語吹替えだけだったりするかも。
しかしシャロン・ストーンにウーピー・ゴールドバーグにジョー・ペシという1990年代臭が濃厚なキャスティングが魅力的。
フォー・シーズンズのメインボーカル役の人はどこか日本の昭和芸能人臭を漂わせていた。
ホテルのタオルを無駄使いし、のちにベガス送りになり、そののちにジョー・ペシのアシスタントになった人を演じている人が上手かった。ヴィンセント・ピアッツァ。名前からして元々イタリア系の人なのか。
イーストウッド作品からあまり名前を知られていない人がブレイクする事はあまり無い印象だけど(マリオ・ヴァン・ピーブルズぐらい?)この人はブレイクするかも。
意外とフォー・シーズンズのリンゴ・スター(という例えもどうかと思うが)役の人がバンバン売れちゃったりして。
イーストウッドのカメオ出演は事前に知ってしまったので驚きは無かった。
あれをカメオ出演と言っていいのかはちょっと疑問。それなら『イントゥ・ザ・ワイルド』にもカメオ出演している事になるのでは。そして『ローン・サバイバー』にはウィル・フェレルがカメオしてるし、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にはレジナルド・ベルジョンソンがカメオしている。