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天と地の間

クライミングに関する記録です。

久しぶりの開拓 小積へ

2015年03月25日 | 開拓
相方の休みが土日でないために行く日は限られる。寒気の心配があったが4月になれば雨が多くなる。それを考えると行ける時に行っ
ておきたい。取った有休は返せない。24日火曜日、決行とする。
宇目町を過ぎたあたりの温度計を見ると、なんと-1℃。標高1000mを超える取り付きの寒さが気になる。
6時、林道到着。早速出発するも、30分ほど歩いたところで細かい雪が舞って来た。雲行きは怪しいが、これくらいなら問題は無いだろうと進む。

1時間半掛けて到着。休憩もそこそこに準備をしていると、雪はだんだんと本降りになってきた。そして、あろうことか吹雪いてきた。
しばらく様子を見ていると、雪が壁に付着するばかり。このまま待って、雪が止んだとしても今度は解けて壁が濡れるのは目に見え
ている。コケは水を吸い、まともに登れないだろう。


クラックが漏斗となり、基部にどんどん雪がたまってくる。


しばらく待ったが寒さがつのる一方。

どうしようもない。またしても撤退。なんてことだろう。4月になろうかというこの時期、吹雪にあおうとは。めったに来れないとい
うのに来た時は雨や雪にみまわれる。不運この上ない。

気を取り直して、比叡へと転戦することにした。
11時半、駐車場に着くと見覚えのある人たちが。なんと、日ごろ昵懇にしている3人だ。一同唖然。一人は先日、由布岳に行った折の
相方だ。来る途中の車の中で、彼らは外で登れているのだろうかと話していたところ。要らぬ心配だった。人様が仕事をしている時に
どこで何をしているか分からない。

彼らはニードルへ。我々はつつみ氏の要望で天空への階段へと分かれる。私にとっては何年かぶりのマルチを堪能した後、今月開通し
たばかりの高速道路に乗って帰宅した。
比叡はますます近くなった。


比叡はごらんの快晴。しかし寒い。
「天空への階段」の途中からニードを遠望。
懲りないやつらの登りを見る。
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小積開拓第3弾

2014年11月14日 | 開拓
12日(水曜日)、つつみ君と小積に開拓に行くことにした。
彼とは二ヶ月前にも一緒に小積を目指したのだが、基部に着いたところ、壁が濡れており、なお
かつ雨が降り出すという不運に見舞われた。
大崩はとかく雨が多い。今回も気圧配置を考えると、多少心配ではあるが、休みの都合で決行す
ることにした。
6時過ぎ、まだ暗い中、ライトを灯して出発する。原生林の中のショートカットルート(工藤新道)
は無論、道なき道。昔のテープがところどころにあるが初めての人には心もとないだろう。
およそ1時間40分で小積中央稜基部着。登山道から沢をつめるコースと比較すると、時間は多少
短縮する程度だが、かなり楽に行ける。
9時、登攀開始。1ピッチの長さと体調を考え、1番から3番まで3セット、0.5、0.75、4番を2セッ
ト。5,6番を一つずつと多めに持つ。ロープは10mmと9mm。かなり重い。
のっけから身体を上げるのに苦労する。リハビリ途中の肩は未だに万全ではない。その肩の痛み
が上腕まで波及する。先は長い。無理はせずに核心部であっさりと、テンションを入れる。

     
先は長い。1ピッチ45m。直下までクラックが続く。                             終了点近くの私。

かなりの時間をかけ終了点にたどり着くと次はセコンドとホールバックの荷揚げのビレイ。セコ
ンドも登れば登るほどに増す重みで辛い様子。時折、喘ぎ声が聞こえてくる。


荷揚げしながらフォローするつつみ君。

セコンドが上がったところで水分補給して2ピッチにかかる。2ピッチは短い。凹角の沿いに15mを
上がれば終了となる。前回はこの2ピッチの終了点まで一人で来たが、時間切れでボルトを打たずに
撤収した。
荷揚げ後、終了点をこさえてからクラックの中を掃除じていると、雨がぽつぽつと落ちて来た。嫌な
予感がする。ここまで来て引き揚げたくはない。しばらく様子を見ようと相談し、掃除を続けている
と、風が強くなり、気温も下がってきた。予報では明日から冬型の気圧配置になるとのこと。どうも
その変わり目のようだ。北風は次から次へと雨雲を運んでくる。
このまま突っ込んで本降りとなった場合、途中での撤収はかなりきびしいものになるだろう。それに
高い標高。無理は出来ない。残念だが撤収を決めた。


3ピッチ目。左は狭いチムニー。右はワイドから上部に行くにしたがって狭くなる。
こちらを取ることにするが頂点下部5m近いところでクラックは切れている。
はたして、そのスラブを越えられるか。なにもなさそうだ。
右のピークは小積


今年は雨が多く、かつ、休みの調整も付かなかったために久しぶりの小積であった。それだけに、な
んとしてもめどは付けたかったところ。しかし、雨ではどうしようもない。これからのシーズン、日は
短く寒くなる。標高の高い小積にあってはより一層、リスクが伴うが年内にもう一度行きたいところだ。

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2峰奥壁、人形岩開拓第3弾

2014年06月09日 | 開拓

大崩に久しぶりに開拓に入ろうと計画したが、前日、昼過ぎまでで雨。山深い小積のクラックの中は乾かないだろうと、比叡
に転戦することにした。
ここもやり残した課題がある。人形岩の肩の部分まで3ピッチ仕上げているが3ピッチ目の出だしの核心部ができずにいる。
これまで来れなかったのは、ひとえに体調不良に人材不足。今回はその人材に恵まれた。体調はまだまだだが、そろそろ少
しずつでも進まなければと6日、開拓に入ることにした。
今日のパートナーは最近調子が出てきているTsutsuMi君。


1ピッチ目の取り付き。コーナーを上ると終了点。

取付きで1ピッチ見目のコーナーを見上げると、久しぶりのクラックのために緊張する。案の定、取り付くとこれまでに無いほ
どビビってしまいプロテクションを多くとっている始末。それでも、なんとか2ピッチ終了点間際までノーテンで来た。ところがト
ラバースする箇所でアンダーホールドが欠け、大ホール。実に怖い思いをした。


2ピッチ目、全景。すっきりしたクラックが続き、登り易い。
クラックが切れたあたりでトラバースして終了点へ。

一方、Tsutsu君の方は、開拓道具をか担ぎながらよどみなく上がってくる。頼もしい。が、ちと可愛げがない。
いよいよ最大のヤマ場である3ピッピ目の核心にかかる。フットホールドが乏しく、コーナーで薄被り。プロテクションも取りづ
らい箇所だ。しかも核心部が長い。前回は諦めただけに、今回は糸口だけでもとフェース用のシューズで来た。その効果あっ
て、前回よりも良い動きができるが、足の痛みに耐えきれなくなり、長時間ムーブを探れない。肩の痛みも気になる。
結局、エイドで越えるとになったが、なんとか解決の糸口を掴んだような気がしないでもない。
ここまで来て具体的な成果を出せなかったのは残念だが今の体調を考えると、上出来かもしれない。
肝心のグレートは12bはありそうな気がする。最近、クライミングもトレーニングもしていない状況から推して甘めかも知れない
が、かなり悪い。
核心部をエイドで越えると、後は問題となる箇所はない。やっと肩の部分に達したの1時。昼食を摂って、もうひとつの課題にと
りかかる。それは頭部に達することである。
ボルトを1本打って、先ず私が取り付くも、足がよれて使い物にならず、すぐに敗退。
代わってTsutsuMi君が取付きかなり粘った末に、あと少しというところまで来たところで時間切れ。撤収することにした。


3ピッチ目終了点から1ピッチ終了点へ懸垂。
ロープは壁から離れ、薄く被っているのが分かる。

核心は2箇所。相当に難しいが可能性が無いわけではないことが分かったのは収穫。しかし、人形岩の頭部に達するには簡単
にはいかないだろう。時期も限られる。冬は風に吹き晒される。夏は日に晒される。次回来るのは訪れるのは秋だろう。
それまでには体調も整えておきたい。

第2弾、開拓過去記事 2009年10月13日
http://pub.ne.jp/runout/?cat_id=136640&page=3

コメント (3)
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小積開拓2回目 2ピッチ目完了

2012年12月20日 | 開拓
開拓道具をデポしてからというもの土日のたびに雨続き。
今週の予報も金、土曜ともに雨、日曜日からは寒波が来るとなっている。
行くとすれば、今年最後の日は木曜(21日)しかない。そこで、19,20日の熊本出張の間隙を縫って、こっそり木曜日に代休を取った。

出張から帰ると、早速、開拓の準備を整え寝るも、運転の興奮冷めやらぬまま、よく眠れず3時半起床。大崩へと向う。
家を出るときの外気温は0度であったが、宇目を通過したときは国交省の電光掲示板は-5度を表示している。平地でこれでは、標高
1000mの小積の基部はかなりの冷え込みだろう。クライミングが出来るのか、かなり不安になる。
6時、林道着。ライトをともして6時半に出発。荷物は15kほどだろうか、先日、デポした分、助かる。
帰りのことを考えて、マーキングをしながら歩こうかとも考えたが、一人で乏しいマーキングを探しながら歩くだけでも精一杯。先を
急ぐ。

8時10分、小積基部着。


取り付き近くにはつららが下がっていた。

デポを回収し、9時より登り始める。この寒さの中、しかも携帯がつながらない山奥、そして平日。事故をすれば生還は難しいだろう。
落ちることは許されない。無理はせず、テンションを入れながら休み休み進む。下を見れば、進んだ距離はわずか、見上げれば終了点
はかなり遠い。やはり、1ピッチ50m近いとそうとうな時間がかかる。終了点にたどり着いて、懸垂で下りたときには2時間近くかかっ
ていた。
問題はこれから。ユマーリングをしながら荷揚げをしなければならない。昔、ユマーリングで痛めた左肘の後遺症がいまだにある。な
るべく左手に力をかけないようゆっくりと伸び上がる。7,8mごとに止まり、今度はホールバックを引き上げる。


終了点直下から撮影。高度感はかなりのもの。


ロープの先がかすむほどに長い1ピッチ。


これから重労働が待っている。


1ピッチ終了点から望む上湧の岩と小積の側壁


下湧。


10m向かいの岩。30mはあるか。
いいラインだ。これが下界にあればとっくに作られているはずだ。

終了点に着くと一息入れたいところだが時間がない。休むまもなく2ピッチ目のルート工作にかかる。凹角を15mほどあがると、2本、
平行に走ったクラックが現れた。以前、対岸から双眼鏡で確認した場所だ。1本は狭いチムーニ、もう右手にハンドサイズのクラック
が20mばかうり伸びている。しかし、上部で切れて5mほどのスラブになっている。可能性は薄そうだが、ここはやはり、右手にルート
を取りたいところ。ここを2ピッチの終了点とし、いったん終了点まで下降し、再び開拓キットを持ち上げる。


3ピッチ目のクラック。左は狭いチムニー。右はハンド
サイズのクラック。下開きの箇所まで行ったが・・・

いよいよ今日のメインの3ピッチ目の開拓に入る。カムでビレイ点を作って人工で上がっていく。5mほど上ったところまではなんとか
カムとあぶみを頼りに上って来れたが、そこからクラックがフレアーした箇所が続き、カムが効かない。そのカムに体重を移し、エイ
ドで進もうとするが一歩進んでは一歩後退。なかなか踏ん切りがつかない。荷物が少なく、かつ、ビレイヤーがいればフリーで乗り越え
られそうな気もするが、身につけたものが多く、どうにも身動きが取れない。しばらく試行錯誤したが時間ばかり過ぎていく。
ソロでの限界を感じる。あるこだわりがあって、ここまで一人出来たが、もうこの辺でいいだろうか。私の技術ではもうどうにもならな
い。そして体力の限界に近い。
次にくるとすれば、パートナーがいる。思い知った。いや、最初からわかってきたはずであった。
時計を見ると、すでに4時。これから下りて片付けすれば下山は6時か。帰りのアプローチを考えるとリミットの時間をとうに過ぎている。
1ピッチ進んだだけでもよしとし、下りることにする。
取り付きに戻ると、体が震えるほどに急に寒さを感じる。これまで、緊張感と恐怖感が寒さを凌いでいたのだろうか。寒さを感じずに動
いてきた。気温はかなり下がっているようだ。
ライトを点し、片づけを急ぐ。今度はいつ来れるかわからない。デポは最小のものにとどめ、半分以上は持ち帰ることにする。帰りの荷
物は重い。
5時半、下山開始。足元に気をつけながら歩いていると、すぐにマーキングのテープを見失った。もともとマーキングは少なく、踏み跡も
ない。覚悟はしていたが。後は勘を頼りに行くしかない。しばらく行くと赤いテープをライトが捉えた。ほっとして、しばらく進むと、
また、見失う。それを何度か繰り返し、やっと登山道に出た。
林道に置いた車に着いたのがに7時45分着。

行動時間13時間。車の移動を含めると18時間。いささか疲れた。明日、無事に職場にたどり着けるかどうか心配だ。

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小積 開拓再開 

2012年11月24日 | 開拓
小積の開拓を始めたのが二年前、その時に一ピッチ伸ばしたままである。その時の友はもういない。
雨の影響と、重荷を背負ってのこのアプローチを考えると簡単には踏ん切りがつかず、延び延びとなってしまった。区切りはつけた
い。本来なら、秋に行うべきところであるが、今秋も雨が多かった。それならば、冬しかないかと、今日を選んだ。短い日と寒さを考え
ると開拓にリスクを伴うが致し方ない。

朝起きると、昨日の疲れが残っているが予定通り、小積に行くことする。気になるのが天気。予報では晴れであったがどんよりと曇
っている。大分を出たあたりから、どじゃぶりとなった。念のために延岡のクライマーに天気を聞くと晴れているという。安心して大崩
へと向かったが、一向に晴れる兆しがない。登山口についても降り止まない。唯一、救いなのが小雨ということ。決行することにする。

昨年は小積の基部まで上ったところで雨が降り出し、そのまま引き返した経緯がある。そのときの重量が30k近くあった。アプローチで
疲労し、そのまま継続しての開拓は無理と悟った。後から考えると、雨が幸いした結果となった。
その折の反省を踏まえ、今回は開拓道具を2回に分けて運ぶことにした。今日の予定は16kのデポ。
今回のアプローチは、前回よりも荷物が少ないため、工藤新道をとる。


崩壊した林道。四駆でも通行不可能。

フリーのリードをする人も少なくなり、パートナーに苦労する現状、こんなことに付き合ってるれるパートナーはそうそういない。今回
も一人だ。
小雨交じりの中、崩壊した林道に歩を進める。
『僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない』
唐突に先日読んだ伊坂幸太郎の『フィッシュストーリー』の一節が浮かんだ。その孤独と折り合いをつけながら、牛歩よろしく歩く。
歩き出して1時間。登山道から外れたあたりから、早くも疲れがでてきた。「僕のひ弱さが魚だとしたら、メダカさえも襲ってくるので
はないだろうか」と思えるほど、体力のなさを感じる。先の開拓が思いやられる。

工藤新道は昔、通ったきり。登山道をから離れると記憶にはない。所々にテープがあるが何度も見失い、行きつ戻りつしながらおよそ2
時間ほどで小積の基部へ着いた。冬の開拓を考えると、反射テープをぶら下げる等、したほうがよさそうだ。暗くなれば確実にテープを
見失うだろう。
岩陰に担いできた荷物をデポして、1ピッチ目を見上げると、すっかり苔むしている。また、掃除からかからなければならない。


前回と同じ場所にデポ。多少の雨ならしのげそうだ。


唯一完成の1ピッチ50mのクラック。
雨とあって、苔が生き生きしている。


蜘蛛の糸の1ピッチ目チムニー、中央稜が
リボルトされて以来、そちらにはたまに訪れ
る人がいるらしいが、こちらは、行ったという
噂はあまり聞かない。フリーの要素が強く、
秀逸なルートであるのだが。


下山するころになると、やっと雨が上がった。
帰りはほぼ空身、調子に乗ってスピードを出していたら、足元の岩が崩れて足を挟んだ。多少の打撲ですんだが危うく映画「127時間」
の足版になるところであった。雨の後であるだけに足元は緩み、よく滑る。登山道から外れた携帯も使えないこんな場所で怪我をすれ
ば、結果は知れてる。その後は、かなり気を引き締め、車まで戻る。

追記
小積で開拓をしても訪れる人はいないだろう。私一人のルートであれば宣伝する気はもうとうないし、どうでもよいが亡き友との共同制
作となれば、やはり考える。まだ完成はしていないが1ピッチだけでも良いの出来たと云おうか。
そういえば、大風呂敷のことをフィッシュストーリーというとか。


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