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蝦夷犬(エゾイヌ)

海岸林育成技術 母国に還元 マングローブ林再生へ タイ住民 名取・閖上(ゆりあげ)

河北新報電子版 朝刊
2023年5月24日 17/26

陸前高田市の高田松原は素晴らしい防災林であった。
防潮林として、度々町を守ってきた。
東日本大震災の時には、その7万本と言われた松原の太い黒松が津波と共に、ゴロンゴロンと波の中を地響きを上げながら陸前高田市をひと呑みにした。
峠に到達して、我が家を見ようとした住人のひとりは、東日本大震災の瓦礫すら残っていないような、広大な災害地を呆然と眺めながら、声を絞り出していた。

それまで幾度か訪れる度に、高田松原を見ながら弁当を食い、三陸の海、広田湾から、町を守り続けてきた防潮林が、これまで果たした功績を、素晴らしいことだと思っていた。
ある商人が、度重なる津波などから町を守ろうと、防潮林を植え、それで幾度もの津波から町は守られてきていた。
江戸時代にも何度も悲劇が起きていた。

1667年、度重なる津波の被害から町を救おうと、地元の商人菅野杢之助により植林が始まったと記録がある。
そして、繰り返しになるが、何度も津波被害から守られてきていた。
そのために、かつては、危ないと言われていた地域までが市街地に変貌し、防潮林に対する安全への信仰のような思いが、陸前高田市の住民にはあったと言う。
その風光明媚の白砂青松の松原が、「奇跡の一本松」を残して、全滅していた。

陸前高田市では、幾度も協議を重ねて、かつての市街地を再構築することに決めた。
海面から30m以上の地域にまで到達した津波を甘く見たわけではない。
反対意見も多くあった。
だが、住民の方々は、復興の方向を、以前の高田松原に守られる市街地再構築を選択した。
幾重にも安全性は検討され、実行されていると思う。

この次に東日本大震災級の津波が来たら、100パーセントの守りとは言えないかも知れない。
そのためにも多くの知恵が集合して、防潮林の再興を選んだのだと思う。

タイ・プーケット島などの津波被害の映像を見たことがある。
プーケット島は高層建築などもある。
周りの島々は、前回の2004年のスマトラ沖地震で、膨大な被害を受けた地域だったと記憶している。
マングローブ林も多くが流されたのだろう。
なにせ、破壊速度が時速1万kmと言う想像すら出来ない破壊によって起きた津波被害であった。

しかし、タイ住民の方々もマングローブ林再生を願っているらしい。
防潮林、防災林の考え方も、科学的な考察も、真の意味では始まったばかりだと言える。
また、東日本大震災直前の地震を、注意喚起せずに、テレビで大威張りで大地震は来ないと言った東大地震研究所の纐纈教授のような方々も多い。
彼の舌の根も乾かない矢先に震度7を経験した我々は右往左往で飯を食うことすら、危うい状態だった。

タイの方々とも協力をして学ばせて頂こう。
特にマングローブなどは成長が遅い植物。
防潮林などは植物を複合させて構成するのが良いという意見もある。
黒松が選ばれて来た理由もわかるが、私などは単純に竹が地震に強いと言う考えにも賛同してしまっている。
そうして、被害が少しでも少なくなることを祈りたい。

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