RSM MBA Life

オランダロッテルダムにあるRSM Erasmus UniversityのMBA Programに通う学生達の日記。

RSMでの交換留学経験振り返り

2018-01-31 08:12:32 | RSM情報全般
初めまして、交換留学でRSMのMBAプログラムに参加しておりました芝崎と申します。
今回は私が参加した2017年秋ターム授業の体験談を掲載したいと思います。


■Claremont Graduate University(CGU)について
私は元々会社からの派遣で、アメリカ西海岸のロサンゼルスにあるCGUに留学をしておりました。
本学校は、マネジメントの祖として有名なピーター・F・ドラッカーが教鞭を振るっていたことで有名であり、彼の名前をとって通称ドラッカースクールと呼ばれております。なおフルタイムMBAは2年制をとっております。

CGUのカリキュラムには非常に面白い特徴があり、2年間を通じてDrucker Differenceと言われるドラッカーのマネジメント哲学をコア授業として学ぶことができます。
またドラッカーの哲学に共感した教授が多く所属していることと、教授同士が連動してカリキュラムを進める為、一貫性の高い授業が受けられます。


■交換留学へ参加した理由
私は企業派遣で留学をしているため、企業内での起業といういわゆるIntreprenureや既存企業のRevitalizationに興味がありました。
そのため、既存企業内で起こすイノベーション(ベンチャー企業との協業などを含む)に関して学びたいと考えていたのですが、オランダはIKEAやUnileverなどの世界的にイノベーディブと言われる企業の本社を抱え、またオランダ政府が国を挙げて起業をサポートするなど企業や学校を取り囲むビジネス環境が魅力的であったことと、RSMにイノベーションに関連する多くの授業があったため、今回交換留学を目指すこととしました。


■カリキュラム・授業に関して
RSMのフルタイム学生はコンセントレーションを決めるかと思いますが、交換留学では特にコンセントレーションを決める必要はありませんので、私の場合には主にMarketingとStrategyから以下の5つの授業を選択しました。

 ①Enhancing Creativity (Marketing):リーンスタートアップ等のビジネス手法の知識習得や、個々人のクリエイティビティを高めるためのエクササイズを実施
 ②E-Marketing (Marketing):デジタルデバイスやSNSツールを生かし、カスタマジャーニーにおけるSatisfactionやロイアルティを高めるための方法を学ぶ
 ③Digital Strategy (Strategy):E-Marketingと同様にデジタルデバイスやツールを生かした戦略の立案方法を学ぶ
 ④Innovation Management (Strategy):Disruptive Innovation等の有名理論と共に、最新のイノベーション手法を学ぶ。理論中心
 ⑤Strategic Value Management (Strategy):イノベーション戦略の実践時や、トラブル/災害が発生した際の理想的なリーダー行動・価値観をケースを通じて学ぶ

■カリキュラム・授業の所感
まず全体的な所感として、今回のオランダ交換留学は私にとって非常に有意義な経験であり、大きく3つの理由で大成功だったと感じてます。

 ①CGUと違った切り口でビジネスを学ぶことができた
 ②授業やクラスメイトの質が高く、授業を通じて多くの気づきを得ることができた
 ③授業と自己研鑽学習が連動した学習サイクルを作り出すことができた

一つ目の点に関して、CGUの授業は授業を実施する教授同士がoff the classで密に連動しながらカリキュラムを進めており、かつドラッカーフィロソフィーと言われるマネジメントの根本的理念が共有されているため非常に一貫性が高い授業を受けることができます。そのため、例えばCGUのセルフマネジメントの授業はまさにドラッカーマネジメントの初期ステップである自身のマネジメントを学習する授業ですし、デザインシンキングのように複数教授が連携した共同授業が多数あることも特徴かと思います。

一方で、RSMは様々なバックボーンを持つ教授が各国から集まり授業を提供しています。
例えばE-MarketingのOnno教授は大手映画配信会社での勤務経験を持つ教授であるため、自身の経験に基づく活きた議論を進めるのを特徴としており、また別の例では、Innovation ManagementのMurat教授はイノベーション分野研究を進めるPh.D取得者であるため、より理論的で深い議論を実施することができます。

CGUが一貫した論理に基づく学習をすることが可能である一方で、RSMでは様々な幅の広いビジネス視点を醸成することのできるカリキュラムだったと感じました。
近年、特に変化の激しい通信業界でイノベーションの実践を目標としている私にとっては、幅の広い視点の取得が求められると思いますので、RSMのカリキュラムは私の交換留学理由との相性が良かったのだと思います。

二点目の授業の質に関しては、私の取得した授業に対する満足度は非常に高いものでした。
例えばStrategic Value Managementでは参加するインターナショナル学生のバックボーンに応じて授業内容を調整したり、また授業内で扱うDisruptive Innovationに関するケースでは、失敗例と成功例の双方をバランス良く扱うことでテーマに対する理解度を高めることができるなど、非常に良く練りこまれている印象を受けました。
また、Enhancing Creativityでは理論的な学習に加え、体を動かし、他の学生との交流を促進するエクササイズをすることで感性的に内容を理解することができたと感じております。
このEnhancing Creativityに関しては更に、授業の中で自分がクリエイティブと考える人に対してのインタビューを実施するアサインメントがあり、このアサインメントを通じて、OneJapanの創設者の方や私の所属する社内でOnen Innovationを推進する担当で活躍されている先輩方との繋がりを持つことができるなど、今までの自分自身の社会人経験では思いもつかないであろう方向からBusiness Perspectiveを高めることができたのではないかと思います。このような様々な切り口でビジネスやイノベーションを眺めることができたという部分は、非常に大きな財産になったと思います。
また、クラスメイトもさすがトップ校ということもあり、当事者意識が強く非常にレベルの高い学生が多く、刺激的な学校生活を送れたと思います。ロッテルダムでは日本人同士での集まりも多く開催したのですが、お酒を酌み交わしながらも自身の所属する(またはしていた)企業の問題点や将来キャリアに関して深い議論ができたことは私にとって大きな財産になりました(一部そうでもない日もありましたが 笑)。

そして三点目の学習サイクルに関してですが、ここは個人スキルとして非常に大きく成長できたところだったのかなと思います。
記述した通りRSMの授業はインテンシブであり、短期集中的にテーマを学習することができますが、やはり深い部分までの学習を授業内で実施することは難しいです。
そこで各授業の教授が共通でして口を酸っぱくして言っていたこととして、”自己研鑽を続けよ!”という言葉が印象的でした。
これを自分なりに解釈して、授業で得た気づきや新しい知識を個人の学習を通じて深めるという自分なりのサイクルを作ることに成功したと思います。
基本は本での学習になるのですが、そこから得た疑問点を次の授業の個人的な論点にして望むことができるなど、授業を受ける姿勢の質も向上したと感じました。

RSMへ向かうための準備期間を含めた7月から、授業後に追加学習を実施した12月の半年間で自主的に週に1冊のペースで学習を進めることができた為、幅広くインプットをすることができたと思います。
なお、本選びとして意識したこととしては、基礎理論の再確認をすることと実践的なビジネス書のバランスをとって学習することでした。

■その他、個人的に進めていたこと
個人的な目標として、このRSM留学では”いかに早くRSMコミュニティーに溶け込んでいくか”という部分を意識してました。
そのため、9月にRSMで実施されたTedxや12月のGalaなどのイベントでは、ボランディアスタッフとして関わるなど、積極的に動いたつもりです。
この活動のおかげもあり、通常の授業におけるチーム編成やアサインメントの実施などの部分では随分と楽になったと思ってます。

■今後について
現在この記事を書いているのはオランダから帰国後、CGUでの最後の春セメスター直前になります。
今感じているのが、RSMや自己学習で学んだ内容を通じて、また新たに発生した疑問点を次セメスターの中で確認できるチャンスが残されていること。
そして、RSMでは深掘りすることのできなかったSelf Managementやデザインシンギングなどの新しい教科を学ぶ機会があるということに、非常にワクワクしております。
RSMで習得した知識や学習習慣を存分に活かして、CGUでの最後の授業に臨みたいと思います。
併せて、残されたセメスター期間では、MBAコース卒業後の自身のキャリアや今後の人生観を家族と共に見つめ直す絶好の機会ですので、腰を据えて深掘りできればと考えております!


最後になりますが、オランダで色々なサポート、そしてお酒の席で私の拙い議論に付き合ってくれました日本人メンバーのMasaさん、Takaoさん、Takeさん本当にありがとうございました。
またどこかでハイネケン飲みましょう!!