裁判例において示されたパワーハラスメントの定義
厚生労働省ホームページに公開されています「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」配布資料から引用して掲載しています。
・S事件(鳥取地判平20・3・31)【D1-Law.com判例体系】
全体として、原告の勤務先ないし出向先であることや、その人事担当者であるという優越的地位に乗じて、原告 を心理的に追い詰め、長年の勤務先である被告会社の従業員としての地位を根本的に脅かすべき嫌がらせ(いわゆるパワーハラスメント)を構成する。
・K事件(東京地判平21・10・15)【労判999号54頁】 、S事件(東京地判平20・10・21)【労経速2029号11頁 】 ※
「パワーハラスメント(組織・上司が職務権限を使って、職務とは関係ない事項あるいは職務上であっても適正な範囲を超えて、部下に対し、有形無形に継続的な圧力を加え、受ける側がそれを精神的負担と感じたときに成立するものをいう、と一応定義する。以下「パワハラ」という。)
※ 両方の事件において同じ定義が示されている。
・F事件(大阪地判平24・3・30)【判タ1379号167頁 】
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為などと定義される。
・U事件(東京地判平24・3・9) 【労判1050号68頁】※
世上一般にいわれるパワーハラスメントは極めて抽象的な概念で、内包外延とも明確ではない。そうだとすると パワーハラスメントといわれるものが不法行為を構成するためには、質的にも量的にも一定の違法性を具備して いることが必要である。したがって、パワーハラスメントを行った者とされた者の人間関係、当該行為の動機・目的、 時間・場所、態様等を総合考慮の上、「企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行す る過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、 通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為」をしたと評価される場合に限り、被 害者の人格権を侵害するものとして民法709条所定の不法行為を構成するものと解するのが相当である。
※ 本事件の控訴審においては、上記の判断基準を示すことなく、被告の行為それぞれについて個別具体的に不法行為性 を判断。その結果、一審において不法行為とされた行為以外の行為についても、不法行為性が是認。(職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会資料より)
厚生労働省ホームページに公開されています「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」配布資料から引用して掲載しています。
・S事件(鳥取地判平20・3・31)【D1-Law.com判例体系】
全体として、原告の勤務先ないし出向先であることや、その人事担当者であるという優越的地位に乗じて、原告 を心理的に追い詰め、長年の勤務先である被告会社の従業員としての地位を根本的に脅かすべき嫌がらせ(いわゆるパワーハラスメント)を構成する。
・K事件(東京地判平21・10・15)【労判999号54頁】 、S事件(東京地判平20・10・21)【労経速2029号11頁 】 ※
「パワーハラスメント(組織・上司が職務権限を使って、職務とは関係ない事項あるいは職務上であっても適正な範囲を超えて、部下に対し、有形無形に継続的な圧力を加え、受ける側がそれを精神的負担と感じたときに成立するものをいう、と一応定義する。以下「パワハラ」という。)
※ 両方の事件において同じ定義が示されている。
・F事件(大阪地判平24・3・30)【判タ1379号167頁 】
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為などと定義される。
・U事件(東京地判平24・3・9) 【労判1050号68頁】※
世上一般にいわれるパワーハラスメントは極めて抽象的な概念で、内包外延とも明確ではない。そうだとすると パワーハラスメントといわれるものが不法行為を構成するためには、質的にも量的にも一定の違法性を具備して いることが必要である。したがって、パワーハラスメントを行った者とされた者の人間関係、当該行為の動機・目的、 時間・場所、態様等を総合考慮の上、「企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行す る過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、 通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為」をしたと評価される場合に限り、被 害者の人格権を侵害するものとして民法709条所定の不法行為を構成するものと解するのが相当である。
※ 本事件の控訴審においては、上記の判断基準を示すことなく、被告の行為それぞれについて個別具体的に不法行為性 を判断。その結果、一審において不法行為とされた行為以外の行為についても、不法行為性が是認。(職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会資料より)