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観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

『マダム・イン・ニューヨーク』 (2012) / インド

2014-07-25 | 中国・香港・アジア映画、その他の映画


原題: English Vinglish
監督・脚本: ガウリ・シンディー
出演: シュリデビ 、アディル・フセイン 、メディ・ネブー 、プリヤ・アーナンド
鑑賞劇場: シネスイッチ銀座

公式サイトはこちら。


自分の価値を認めてもらえない専業主婦が一念発起し、英語が苦手というコンプレックスを克服して誇りと自信を取り戻していく姿を描いたインド製ドラマ。専業主婦のシャシは、2人の子どもと忙しいビジネスマンの夫サティシュのために尽くしてきたが、事あるごとに家族の中で自分だけ英語ができないことを夫や子どもたちにからかわれ、傷ついていた。ニューヨークに暮らす姉から姪の結婚式の手伝いを頼まれ、渡米したシャシは、「4週間で英語が話せる」という英会話学校を見つけ、姉にも内緒で英会話学校に通うことを決める。仲間とともに英語を学ぶうちに、次第に自信を取り戻していくシャシだったが……。(映画.comより)


とにかく大人気、混んでるのはわかってるくせにシネスイッチの金曜とか行ってしまった。
快適じゃないってわかってるのにーーw
でも、これともう1本、『人生はマラソンだ!』もついでに観たかったしね。効率よく行かないと。しっかしまあ、混んでました。マジで。最終回に立ち見が出てましてね。早く買っておいたので座れましたけど、シネスイッチで立ち見でも観たいというのはすごいです。

個人的にボリウッドってあんまりツボじゃなくて、あのにぎにぎしさが過剰なのがどうも引くんです。日本じゃマサラの習慣もないんで映画中に踊らないし、ダンスシーンが長くなると見てるだけだと退屈して来ちゃうんですよね。だからそうじゃないインド映画が好きです。今まで見た中で文句なしの1位につけてるインド映画は『テセウスの舟』。これはものすごく深淵に迫る作品なんだけど、たぶん日本での一般公開はないだろうなと思う。残念だけどね。日本ではまだまだインド映画と言えばにぎやかでハッピーエンド的な筋書きが好まれてしまっているので仕方ないのですが。

タイトルからして「マダム」「ニューヨーク」っていう、30・40・50代あたりの女性にとってはストライクゾーン的なワードが入っているんで、そこからも評判がいいんだと思う。奥様がNYに行くの?それだけでももう非日常なのに、しかも面白いらしいと。いっぱいいっぱいお客さん来るってわかり切っていたので直近の回じゃなくてその1つ次の回を観ることに。これが大正解で、直近の回なんてもう前3列しか残ってません!とかそんな状況なので、これから観に行かれる方はお時間に余裕持って行ってくださいね。

シャシのおうちは、インドではたぶん裕福なご家庭なんだろうな、というのがわかる。そもそも親族がNY居住というところからしてもう裕福でないとできないことだし、結婚式に出席するためにNYに行くこと自体がもうインドでは平民ではないことだし、その間の滞在費の心配とか、そういった現実的なお話も一切出てこないので、経済的には全く心配のないお宅ですね。
でもそれじゃ映画にはならない訳で、男尊女卑の感覚がやっぱり強めのこのお宅では、料理上手なシャシは認められてはいるものの、その扱いはまるで家政婦さんか下宿屋のおかみ的なもの。「美味しい料理を作るけど、それだけなんですよこの妻の取柄は」とか夫に言われてしまったら、ムカつきますよね~。褒めてくれてるんだろうけど、それだけしか能がないと言われているみたいで。あたしは料理係じゃない!って言いたくなる気持ち、わかるわかる。そして子どもたちもママであるシャシにわがまま言って当然だと思ってて、しかもそれに便乗してサティシュまで言いたい放題、シャシが英語ができないのを家族ぐるみで馬鹿にしてるって何かひどいよなあ・・・と。

インドでは英語は公用語じゃなかったっけ?とも思うんですけど、ヒンディー語だけしかしゃべれない層もいるってことなんでしょうね。シャシのように専業主婦だったら英語使う機会もあまりないように思います。そんなシャシがいきなり家族に先駆けて単身NYに行かないといけなくなって、現地での英語のできなさがいろいろなことを引き起こして行くんだけど、このエピソードに出てくるニューヨーカーたちって結構意地悪く感じるんですけどそんなもんなんでしょうか。たまたまならアンラッキーですね。

でもその失敗や恥ずかしさが、シャシに新しい世界を導いてくれます。彼女は英会話学校で英語を学び、クラスメートに出会い、自分の手で何かをつかみ取ることの楽しみや充実感を知っていく。そして今までの自分の評価とはまた違う強さを勝ち取っていくんですね。この過程を見ていて胸がすくようなというか、溜飲を下げるところが女性たちに好評の理由なんだと思う。多かれ少なかれ、洋の東西を問わず女性たちには何らかの「枷」がある。それは妻だったり母だったり、なりたいと憧れていても、実際になってみるとそれが余計な足枷になってしまうことの方が多いんじゃないだろうか。そこに縛られなくてはいけないことはハードですが、もしチャンスがあるなら、女性だって自分を変えてみる努力をしていきたいと思っているはずで、その一歩を踏み出していたり、踏み出したいと思っている女性たちも多い。

最初の一歩を踏み出す勇気があれば、例え自分を変えることが辛くても何かが掴めるはずだし、自信だったり新たな感覚も身について行動も変わってくる、それをわかってくれる人も必ず現れる。最初は頼りなげだったけど、最後の「卒業試験」でのシャシの晴れやかな表情から、感じ取れることは多いはずでしょう。なかなかの懸案だった家族との関係、出会った人たちとの関係も変化していくところがいい。こういう作品は男性にこそ観てほしいんだけどなあ・・・と思わなくもないくらい場内は女性だらけで、そこがちょっともったいないんだけど、観れば必ず元気になれるという作品です。ボリウッド的要素も少しだけ匂わせて、そこはインド映画らしさなんですね。


★★★★ 4/5点







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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
馴染みやすいテーマ (ノルウェーまだ~む)
2014-08-03 11:19:08
roseさん☆
あの時の映画ですねー
非常に日本人にも馴染みやすい話ですよね。
男尊女卑の強いインドと、さして変わらない価値観を日本人はまだまだ持っているというのも、なんとも・・・
NYの人は冷たいかどうかは解りませんが、英語国民は英語を話す肌の色の違う人を1段低く、英語も話せない人を2段低く見ているというのは実感しました。
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ノルウェーまだ~むさん (rose_chocolat)
2014-08-10 09:03:08
そうですそうですー。
日本だって思いっきり男尊女卑なんですよね。だから共感できると思う。

>英語国民は英語を話す肌の色の違う人を1段低く、英語も話せない人を2段低く見ている
それはどこでもあるよね。フランスだってそうだし、日本も多分そう。
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Unknown (margot2005)
2014-08-31 23:07:47
素敵な映画でした。こういった映画は大好きです。
最近インド映画目白押しですね。。まだレビューは書いてませんが「めぐり逢わせのお弁当」もスゴく良かったです。
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margot2005さん (rose_chocolat)
2014-08-31 23:53:42
インド映画、ここに来て続々公開ですね。
これは主婦層にはかなりウケがいい作品ですね。

『・・・お弁当』は、シネスイッチが混みすぎてるんで、
地元の二番館まで来るのを待ってます(笑)
なんであんなに混むんだろう? 単館公開って言うのもありますよね。
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時間差 (sakurai)
2014-10-06 12:49:27
でも、一応田舎での上映があるんで、助かっております。
入れない!なんてことはないもんな。
これは、様々なことを置いてきぼりにせずに、きっちりと作ってあって、とっても好感が持てました。
「・・弁当箱」がいまいちに感じたのは、これを見てからだったのが大きいかも。
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sakuraiさん (rose_chocolat)
2014-10-07 07:59:04
弁当箱・・ も、これも、ボリウッドらしくないところが
非常に気に入ってます。
ボリウッドは最早おとぎ話みたいで。
どちらも私は好きな作品です。
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