原作・脚本・監督: 劇団ひとり
出演: 大泉洋 、柴咲コウ 、劇団ひとり 、笹野高史 、風間杜夫
試写会場: 東宝本社試写室
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39歳の売れないマジシャンの晴夫は、母に捨てられ、父とは絶縁状態。ある日、父の訃報を聞いて絶望した晴夫は、気がつくと40年前の浅草にタイムスリップしていた。そこで若き日の父・正太郎と母・悦子と出会い、スプーン曲げのマジックで人気マジシャンになった晴夫は、父とコンビを組むことに。やがて母の妊娠が発覚し、10カ月後に生まれてくるはずの自分を待つ晴夫は、自身の出生の秘密と向き合うこととなる。(映画.comより)
映画レビューサイト・cocoさんのご招待です。ありがとうございました!
配布物はチラシとティッシュ。ティッシュの外装はちゃんと綺麗な「青」でしたね。
劇団ひとり氏の、作家としての作品に触れることって、映画・小説を通じてしかしたらこれが初めてかもしれない。しかも今回はご自身で監督と出演までやってしまってますのでどんな感じなんだろう。
話自体は、現在干されているマジシャンがタイムスリップして自分の出生前の時代にさかのぼり、そこで出会った人たちと交流しながら自身もステージキャリアを積み、自分の両親に対して思っていたことに相違があって、そこから初めて親に対しての見方が変わっていくというもの。
生まれてからずーっと一緒に両親と住めていればおのずとお互い分かり合えることも多いけど、そうでない場合は誤解があったり、周囲の発言で曲解していたりというケースもある。親は自分に対してはああしてくれない、こうして欲しかったと子は思いがちがけど、その裏にある親心は明かされないこともあるからだ。子どもに今更親心を話したところでわからないと思うし照れ臭い、という気持ちがそうさせるのだろうけど、実際本心を知ってみたら想像以上に自分が思われていたことを知った人もいるかもしれない。
本作はそんな「親心」についてたっぷりと語っている。晴夫という名に込められた意味、悦子の母心、そして正太郎の思いやり。観ていくうちにその醍醐味を自分の親に重ね合わせてしまう人もいるだろう。そんな風に共感をそそられる作品である。
親が子を想う気持ちは、子が親を想うよりも絶対に上回る。そこに気が付けて初めて人として生きる意味がある。シンプルな中に描かれる、旧き良き昭和の芸人の街・浅草近辺と言えば、おせっかいなまでに他人を気遣う人間模様が懐かしい。
共感できる部分は大いにあるのだけど、その見せ方ですね。そこが単調なのが今一つ物足りなくもあった。先がどんどん読めてしまうように敢えて持って行ったのか、原作もあるのでそのあたりは不明だけど、「この人がこうなって・・・」という展開が早々にわかってしまうのも何となく間延びしてしまう。大泉洋と柴咲コウの演技をもってしてもそこは補えず、ひとり監督としての今後の課題でしょう。
★★☆ 2.5/5点
ティーチインでのプロデューサーの話によると、最初、劇団ひとりは「少しだけ出演する」と言っていたのが、いつの間にか「正太郎役をやる」と言い出したそうです。
写真位の出演なら良かったのに、彼の性分が許さなかったのでしょう。
ご自分の作品って想いが強いのでしょうね。
お気持ちはわかりますが・・・。
実はそうじゃない方がよかったんじゃないかという例になってました。