Sho's-Blog/PoemStory/illust

MessagePoem/LoveStory/youngStory/SFfantasyStory/illust

第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー21話

2022-11-11 10:31:11 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


前回までの流れ
市原久美子や加藤真一、従兄弟の春樹との別れによって、全てを失ってしまったと考える直也は、怒りと憎しみによって生きはじめます。この時期には、先輩たちや変わってしまった友達らと付き合いがはじまりますが、怒りと憎しみによって直也に暴力というものを与えてしまいます。幼い頃からの友達に出会いますが彼らも変わっていました。1人は暴力によって生きていましたが直也とその仲間たちの付き合いで心の許せる友達を作ります。和志との喧嘩で感じた感情、和志との友情の目覚めからボクシングジムへ通うようになり、その時のスパーリングによって何かを自分の中につくりあげます。今まで感じたことのないものが直也を導きはじめたのかもしれません。もう一人は人付き合いができず家庭の問題もあり暴走族へ入ると誰もが関わりを持ちたくない恐れる者へと変わりますが直也にとっては竹馬の友と言える相手でした。竹馬の友の彼は直也にある言葉をかけます「誇りに思う」その言葉は直也の心に響き彼と約束をします。生き方を考えさせられた直也でした。怒りと憎しみに苦しむ直也は進学をしますが地元の公立高校を選ばず電車で二時間先の私立高校を選びます。地元を離れる前に保育園から一緒であった彼女から告白されますが曖昧に断ります。直也は地元と関係のあること全てから忘れ逃れたかったのです。
______________
引越しまでの数日間、直也の心はここにあらず生活環境や知人友人仲間たちに別れを告げ今までの環境を直也は全て変えてしまいます。中学を卒業し高校へ行くまでの数日間、直也は仲間たちにも連絡をとらずにいました。どうしても遊ぶ気分ではなく無気力状態の直也、両親には「出かけてる」と伝えるようお願いをします。仲間たちは直也のいる場所を知っていたが会いに行っていいものか迷っていました。公立高校も受かったのに私立高校を選んだ直也の気持ちが理解できないわけではないのですが仲間たちも直也と一緒にいたときのことを思い出していました。直也という人物がどういうものかを知っている仲間たちは一人で離れていく直也を応援しようと考えていました。直也は久美子と過ごした日々を思い出しています。
「お兄ちゃんは久美子が守る、お守りのドリームキャッチャー、両肩に描いた絵」
あの遮断機のない踏み切りへ、数日間、足を運び自分で作ったドリームキャッチャーを踏み切りのチェーンに縛り付けにいきます。直也は踏み切りを見ながら笑顔で永遠の別れとなった久美子に話しかけています。
「なぁ、クーコ、おまえは天国に行ったんだよな。またいつか会えるかな?」
いくつかの足音を背中で感じた直也でした。仲間たちは直也が「私立の高校」に行くことがどういうことか直也の苦しみと悲しみを知っています。
一人踏み切りの前に立つ直也に声をかけてくる仲間たちがいました。
「直也ー、きっと天国だろ!天使みたいだったじゃないか!」
「お前、天国に行ったことあるの?」
「いや、行ったことはないよ、でもよ、空は晴れてるしな、待ってたんじゃないの?」
「お前ら本当に馬鹿だよな」
「馬鹿いうな!直也よ、たまには、オテントサンに声かけてみるといいよ」
「そうか?」
「神様がいいこと教えてくれるようになるかもな」
仲間たちが精一杯の直也への思いやりと優しさの声かけでした。直也の気が休まるように。言われるまま素直に空を見つめる直也の姿、県道バイパスしたの駐輪場で仲間同士で色々な話をしていました。
「もう、いつでも会えるわけでもないよな、いつでも元気で笑ってるからよ」
直也のこの言葉に、仲間の一人が直也に言います。
「俺たち、これからも仲間だよな、直也。離れていても仲間だと言ってくれよ」
直也は、何も答えることはできませんでした。答えると涙が出そうで仲間たちには涙は見せられなかった。
「今度、いつ会えるかな?」
直也は話しを変えて笑顔を見せて一人一人の顔を見ながら話をそらします。直也の行く私立高校は電車で2時間かかる場所です。そのため地元を離れ高校近くの親戚の家から通うことが決まっていました。
「きっと、また会えるさ、夏には戻ってくるから。また海にでも行こうや、なぁみんな」
直也は、仲間たちに声をかけたが仲間たちは、ほっとしたようで、笑顔になれました。直也の最後に贈る言葉、もうリセットしてしまった直也の心、この仲間たちと会うことはなくなります。仲間は仲間だ離れていても仲間、いつでも一緒だという気持ちが仲間を一つにまとめていた。仲間たちの心を裏切っていると感じる直也でも直也には仕方がなかった。
「しかし、誰があんなに、ドリームキャッチャーを、縛り付けてんだろうか?」
直也は、仲間たちに聞くが顔を見合わせて首を横に振っています。チェーンやフェンスには、たくさんのドリームキャッチャーが飾られていました。この日は直也にとって最後の中学の仲間たちとの集まりになります。家に帰った直也は食事をしたあと裏の縁側でドリームキャッチャーを作ると久美子と同じように作ることで直也の気持ちは少しは楽になっていきます。
久美子が作っているときの気持ちがわかるような気がしている直也です。たった一人でいながら泣きそうになりながら作っていました。最近の直也の様子がおかしいと両親は心配していました。引越し先の保護士である叔父に連絡をとり直也の状況を伝えています。直也がいつも思っていることは久美子と真一と春樹のことでした。この3人との別れは直也にとって忘れられないものになっていきます。忘れたい逃れたいと思うほど思い出してしまうのです。まだ直也の心の中には「受け入れる」という思いは産まれてはいません。次の日、目を覚ますと外は曇り雨が降りそうな景色でした。荷物の整理は終わり、あとは親戚の家に配送するだけです。何かに取り付かれたように直也はドリームキャッチャーを作りはじめます。裏の縁側に座り霧雨が降ってきた時には戸を叩く音のあとに裏口の戸が開いたのです。
「クーコ!か?」
戸が開き庭に入ってきたのは幼なじみの由子(ゆうこ)でした。直也は一瞬、久美子が入ってきたと勘違いします。
「由子、何しに来たんだ?」
「んー、遠くに行くんでしょ、だったらさ、もう一回会いたくてさ、しばらくは戻ってこないんでしょ。それとも、もう戻ってくることはないの?」
由子は直也に照れながら直也の心の中に話しかけます。直也は言葉を返すことはありませんでした。由子は直也の気持ちを理解しようとしていたのでしょう。久美子といつも一緒であった裏の縁側で直也と2人でいると由子は久美子の気持ちがわかるような気がしていました。由子は保育園からの幼なじみで直也の両親が営む店に入って直也の様子がおかしいことを由子に話をしたようでした。そして直也の両親は由子に裏口を教えたのです。
「ごめんな、由子、ごめんな」
直也は決して由子のことを嫌いではなかったし一緒にいてもいいと思ったこともあったが言葉が出て来なくなっていました。
「知ってるよ、わかってるよ、久美子ちゃんのことでしょ」
「あぁ」
地元にいたとき幼な友達との最後の会話になります。由子の帰りぎわ直也の両親に直也と話をしてどうであったかを話す由子です。
「直也なら大丈夫よ、強くなったし、いつも通りだったよ」
由子の話を聞いた直也の両親は由子の言葉で安心できたようです。直也の両親は直也や弟には自由を与えていました。それだけに直也の成長した姿をはっきり知ることはなかったのです。どんなことでも乗り越えてきた直也の姿を知ることはありませんでした。大人にはわからないこと両親でもわからないことが同級生たちは知っていたのです。


編集ライターブログランキング
応援宜しくお願い致します
にほんブログ村
こちらも^out_point^ポチと


最新の画像もっと見る

コメントを投稿