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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー20話

2022-11-06 12:42:43 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


直也や和志や仲間たちは3年生になりました。中学では先輩は卒業し後輩だけになり荒々しい時期は過ぎていきます。全てが平和となったわけではありません。後輩の中でも荒々しい時期を持つものもまだいます。直也が残したものは、これから荒々しい時期を送る生徒たちを導いていくことを願うばかりです。教師たちは直也とその仲間たちの成長過程を参考に教育方針を変えていきます。なぜなら最も荒れた中で成長を遂げた彼らから教師たちは学んでいたのです。学校教育は生徒との関わり方しだいで自分の道を見つけられるもの道をはずれてしまうものとに分かれてしまうのです。そして、その間に立たされる生徒もいます。これらの生徒たちをどう導くかは各教師の思いと情熱や忍耐強く待つことになります。直也たちが荒れた学生時期をどう乗り越えていたのかを知る後輩たちには直也と仲間たちの存在は大きく心の中に刻まれています。特に直也の成長過程がどういうものだったのか教師たちの胸のうちに刻まれています。教師たちの皆は直也がボクシングジムへ通っていたこともチャンピオンになったことも、そこでどういう成長がなされていたかを知っていました。過去には中学を中退し空手や柔道やボクシングなど格闘技を習う生徒がいたのです。格闘技を教える人たちとも教師たちは連携をとりながら中退した生徒がどういう成長過程をたどっていたかを連絡しあうことで地域教育と学校教育を高めていたのです。直也たちが卒業近くになったとき中学校の校庭にバイクに乗った大地が校庭の中央でバイクの音を最大に爆音を鳴らして去っていった時がありました。大地は直也に会いに来ていたのです。直也には、そう感じていたのです。各階の教室のベランダには大勢の生徒が顔を出していました。直也は4階のベランダから飛び降ります。「飛び降りた、死んじゃう!」と多くに生徒達は思っていたのかもしれません。
生徒達は誰もが声を張り上げますが飛び降りた場所は陸上部の使う大きな部厚いマットの上で足を引きづりながら歩き大地の前に立ちはだかりました。大地と直也は顔をあわせ笑みを浮かべています。大地は、もうじき卒業する直也への卒業の祝いの儀式みたいなものだったようです。そして大地は右手を前に出し大地の手にはドリームキャッチャーを持ち直也に見せていました。
「何で、そんなもん持ってんだよ!」
直也は大地に大声で叫びますが大地からの返答はありません。バイクの爆音が直也の声を消し去っていたのです。大地は話すつもりはなく行動だけで直也に何かを伝えていたのです。大地は直也に何かを気づかせようとしていました。先輩に囲まれた時には大地は何故あの場所にきて助けてくれたのだろうか。久美子の変わりに大地が助けに来たのだろうか。
「そうだあの日から何かが変わった、喧嘩をする気もない感じるまま思いのままになった」
「ボボボッボボッボー ボボボッボボッボー ボンボンボンボー」
ドリームキャッチャーは直也へのメッセージ、この爆音は他の生徒全員へのメッセージだったのかもしれない。大地は自分のことを忘れないで欲しいと。大地は、ほとんど学校に来ることはありませんが卒業は義務教育によりできました。卒業アルバムには一人丸く小さくのせられています。直也や和志が卒業アルバムを見たとき寂しい思いにかられます。卒業後大地は少年院へはいります。あのバイク音が大地と直也や他の卒業生たちの会う最後の日となります。卒業前といえば色々様々な出来事ことがありました。受験校が決まるとそれぞれがこれまで中学で学んだことを復習します。直也と仲間たちは一緒に遊ぶことが少なくなります。公立高校と私立高校を選ばなければならない時期でありました。地元の公立高校を大半が選考し予備として私立高校を選んでいます。公立高校は地元には二校ありました。教師は模擬テストでそれぞれの能力を考え本人と両親とで相談をしながら決定されます。それぞれの試験結果の状況などを含め決めていかなければならない時期でもあったのです。直也は、これまでの仲間たちと一緒の進路を選びたかった。和志や仲間たちも同じ思いであったしょう。残念ながら直也のその思いは叶うことはありませんでした。
ボクシングで学んだことだけでは直也の気持ちを変えたのは一時的なもので完全に変えることはできなかったのです。一度持ってしまった感情や怒りと憎しみは直也の心の奥深くに残されています。いつでも仲間は仲間だと思いながら将来に向けてそれぞれが歩んて行かなければならなかった。中学校までは義務教育で誰でも卒業はできますが高校は違います。自分を試すためにいく生徒や専門学校へと進む生徒、それぞれが考えていくことになります。直也と仲間たちは公立高校と私立高校、和志は私立高校のみ、結局、学力で決まってしまうのです。
数ヶ月間ピリピリとしていて緊張する日々となります。試験前ともなると誰もが静かに気を静めながら復習をはじめます。
「カリカリ・・・ボリボリ・・・」
ある日のこと学校帰りにクラス委員長の小幡由子(おばたゆうこ)は口うるさい委員長が直也を呼び出します。中学校から河川敷までは歩って10分ほどであります。その10分間2人は無言で歩き続けます。河川敷に2人が着くと由子は直也に言います。
「直也だったら、公立いけるよね」
直也と由子との関係は幼なじみで保育園から、ずっと一緒でした。クラスも一緒で由子は直也の苦しみ悲し、喜びを全て知っていたのでしょう。由子は必ず公立高校へ入ることを直也に話しますが直也は決めかねていました。
「私は、いつも一緒の方がいいな」
「どうして?」
「直也のこと、自分でもよく分からないんだけど、見ていたいって思ってるの」
直也は、ちょっと驚いた顔してこう言います。
「おまえ、おかしいよ、ずっと一緒ってどういうこと?」
「うん、だから、わからないって言ったでしょ、バーカ」
照れくさく直也に答える由子でした。
「直也ってさ、周りの人を小さい頃から助けてきたと思うんだ。直也ってさ、苦しかったでしょ、久美子ちゃんいなくなって、加藤君もいなくなってさ」
「喧嘩ばっかりだったのに、その喧嘩やめたよね、他の人たちにも喧嘩やめさせたよね」
由子は本当に小さい頃の保育園から直也のことを見てきたのです。言葉にできない思いだったのかもしれません。別々の高校へ行くと分かれることになるし直也の姿を見れなくなることが由子にとって大切なものを失うのと同じでした。その気持ちを、この時期だからこそ伝えたかったのでしょう。ボクシングジムに通っている直也の姿を由子は、いつでも思い出します。トーナメントの試合の時の直也は本当の姿を見せてくれたのだと由子は思うようにしていました。由子にとってあの時、客席への感動を与えた直也の姿は忘れることはできません。
4回戦の試合で受けた傷、顔は腫れあがり右目は見えない状況、それでも最後まで勝ち続けたのです。由子は距離をおき久美子以上に直也のことを思い考えていたのです。
「運命ってあるよね、信じられる?」
そう言われると直也はそんなことは考えたことがなく由子の顔をちらちら見るくらいで言葉はありません。
「本当に馬鹿だよね、直也って」
「オレな、由子の気持ちって考えたことないんだよな、いつも一緒にいると思うのが普通だと思ってたから」
直也は正直にそう答えます。
「女心、全然わかってないよね、本当馬鹿みたい、直也の鈍感なところも好きなんだよね」
「ごめん」
謝る直也に由子は自分の気持ちを言い出せなくなってしまいます。しばらく利根川を見ながら無言の状態が続いていました。
「その答え、試験終わってからでいいか?」
「えっ?」
直也は今まで由子と2人で話をすることはありませんでした。由子と2人の時間で直也はこれからどうすべきかを考えさせられます。試験前に教室内で会う2人は周囲から見ると変な感じに見えていたでしょう。試験が終わると約束した日に2人は河川敷で会いました。夕暮れ時まだ陽は高く涼しい風が流れています。
「ごめん、一緒には居られない、私立に行くことになった」と直也は由子に話します。
由子は公立高校へ行くことを決めていたが直也は公立高校も受かったが私立高校へ行くことを決めていたのです。
「どうして、私立なの?」と由子は聞いてきます。
直也は何も言わず無言でその場を去りました。直也は地元での苦しい気持ちをこれからも持っていくことは出来なかったのです。久美子を失った地元で由子と一緒にいることは出来ないと思いました。直也は出来ることなら由子と一緒でもいいと最初は考えます。でも地元にとどまることが出来なかった。由子は直也への気持ちを告げました。そして直也は仲間たちとも離れることになったのです。
「ごめん・・・」
直也は成長と共に体験した苦しみと悲しみ怒りと憎しみから逃れようとしていました。しかし直也は自分に負けたくはない自分の心の葛藤に打ち勝とうという思いもあったのです。直也に「打ち勝つ」という思いを持たせたのは由子の言葉と行動でした。3年間由子には尻を叩かれているようで情けなく思っていた直也でした。由子の注意する言葉は常に的を得た言葉使いで簡潔にわかりやすかった。ボクシングジムでの練習時間には常に由子は椅子に座りいつも応援をしていたのです。一度きりのボクシングトーナメントでチャンピオンになったことで直也は勇気と自信を手に入れました。強くなったような気がしますが和志との喧嘩の際に怒りと憎しみだけで喧嘩をしたときのことは忘れられません。対人関係には恐怖心というものもなく過ごしていましたが、いつ爆発するかわからない怒りと憎しみへの恐怖が直也の心に残されています。仲間たちとの別れ久美子との永遠の別れ転校した真一との別れ、ある気持ちから逃れるために地元を離れる直也でしたが従兄弟である春樹のいた世界に向かっていくことになります。永遠に別れてしまった春樹の世界の中で直也はどう生きていくのでしょうか。直也は地元を離れる前には、あの遮断機のない踏み切りに行き誓いを立てます。
この頃の中学校では偏差値という世界で生きる生徒、偏差値という名の世界で先輩にいじめなどを受ける生徒、偏差値の世界ではなく就職という世界で生きる生徒、偏差値とは全く関係なく自由という世界で生きる生徒たちがいました。不登校や引きこもるものもいます。どの世界で生きるにしても成長過程を経て生きていきます。見た目の身長や体重とは関係ない自分の心との戦いをしていたのです。直也とその仲間たちは自由の中で生きていましたが失うものが多かった。仲間たちは離れていても仲間だという直也の言葉を信じて地元の公立高校へ入学します。仲間たちは直也の気持ちを考えていましたが直也の心の中では仲間という言葉はありません。離れた瞬間に直也は仲間というものをリセットしてしまいます。


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