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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー38話

2023-03-03 11:40:24 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


直也は駅前に沢村一騎がいなかった事を残念に思っていました。駅前のロータリーには多くの人通りがあり交番もあった。四学の学生達と話をしていた時を警察官が様子を見る為に外に出てきた事も駅前で喧嘩は出来ない事は計算していたのです。
「ねぇ直也君は四谷学園の学生たちと話をしてたよね怖くなかったの?」
「ん、怖いことはなかったなぁ」「なんで?」
「同じ学生でしょ話せばわかるって思うからね」
「あの連中に話してわかるわけないでしょ喧嘩しに来てるのに。それなのに、からかってたの見てたわよ」
典子の姉「玲子」は春樹のような直也に何かを感じていたようだった。
直也は典子の家の焼肉店に飾ってあった春樹と撮った写真のことが気になっていた。
「ねぇ、お姉ちゃんさ店の壁に春樹が映ってる写真でさ何か首からぶら下げてるものあるでしょ」
直也は気になるアクセサリーの事を玲子に聞いた。
「あれかぁ、お守りって言ってたと思うよ大切な子から貰ったんだってさ」
「大切な人って付き合ってるとか?」
「違うよ、あれはたしかねぇクーコって言ってたと思うけどな」
直也は鳥肌が立つくらい驚き言葉を失います。そして久美子が作ったドリームキャッチャーだと直也は思った。直也の周囲には久美子が作ったドリームキャッチャーを持ってる人間ばかりです。久美子が直也の周囲を取り囲む仲間達に渡していた事を感じましたが現実には久美子ではなく典子が渡していたのです。
「俺に、どうかしろってかぁ、久美子よ」直也は胸の内で思います。今は亡きクーコとは久美子の事で妹みたいだった。久美子は家の裏庭でいつもドリームキャッチャーを作っては直也の周りにいる仲間達に「お守り」と言って渡していた。このアクセサリーを持っているのが直也の仲間達だと言って今の典子のようだった。直也は久美子の事を玲子に全てを話しはじめます。家が隣同士であった事もいつも一緒にいた事も従兄弟の春樹がたまに遊びに来て久美子の事を知っていた事もドリームキャッチャーを最後に渡したのは直也であった事も久美子は春樹以上に直也の事を知っていた事も全てです。
「その久美子ちゃんって子は直也君の周りの人に渡していたってこと?」
「そういうことになるかな写真だけど、また見せてもらってもいいかな?」
玲子は直也の顔を見ながら言います。
「来なよ、店には、いつでも飾ってるからさ」
直也は玲子に連れられて店の写真を見に歩きます。喫茶店でその様子を見ていた仲間達は喫茶店を出て直也の後をついていきます。
「ただいま!」「あぁ、玲子、お帰り」
「玲子!お前何やってったんだ!忙しい時間に居なくてどうする!」
典子の父親が厨房の奥から怒鳴り声が聞こえてきます。店では忙しい時に篤志と後継ぎとして典子が手伝っていたのです。
「おねえちゃん何で?何で直也と一緒なの?それに店の前に居る連中は何してんの?」
店の前では松校の日向涼一(ひゅうがりょういち)氷河仁矢(ひょうがじんや)崔校の安斉英二(あんざいえいじ)加藤政次(かとうせいじ)がモジモジしながら店の中を覗いています。直也は連中を見て苦笑いし店の中に入れ、その仲間達を紹介します。
「こいつらは、仲間みたいなもんでさ色々あったけど、いいやつらなんだ」
典子は4人の顔を1人1人を確認するかのように見回します。玲子は壁に飾ってあった写真を直也に渡しました。直也は写真を見ながら懐かしさを感じながら春樹の首からさげているドリームキャッチャーを見つめていました。しばらく無言になる直也でした。樹との良き思い出を懐かしみます。春樹がこの世を去る事に関わったのは篤志と一騎です。篤志は更生していて一騎だけが過去からの悪夢に襲われ抜け出す事が出来なくなっているのだと直也は考えます。そして直也は自分が今すべき事は何かを見つけました。「春樹もう終わりにしようか、もう一人だけ話してみるよ。誰でもだめなら暴力を使うかもしれない。俺も疲れたよいいよなー春樹よ」と写真を見ながら直也は心の中で春樹に声をかけていました。直也は、過去を受け入れるすべを見つけはじめています。典子や玲子は直也の顔を見つめ厨房の中では篤志がちらちらと直也を見つめていました。直也は一度だけ篤志の顔をにらみ写真を玲子に返します。
「涼一、仁矢、英二、政次よこの夏休みで四谷学園の喧嘩の事は終わりにさせるよ、いいな情報屋に伝えておけ」
直也は4人に声をかけ家から出られない仲間に安心感を与える事になります。
「いいけど、どうやって?」
4人はか緊張した面持ちで首を縦に振ります。松校の涼一と仁矢は情報屋からすでに四学の溜まり場での情報を持っていました。溜まり場はここから歩って1時間程の廃墟となった三原倉庫で今では何も使われていない倉庫で四学の沢村一騎が狙うのは松陰高等学校の学生が多かったのです。一騎が持つ悪夢は「松陰中学校」から始まったからでした。松校の涼一は店内にあるピンクの電話で仲間を集めはじめます。店内は暇になり玲子は厨房で働く篤志(あつし)に直也の事を話していました。話を聞いた篤志は厨房から出てきて直也の胸ぐらを掴み、こう言いました。
「てめぇに何ができる一騎の気持ちがわかるのか、わからねぇで何ができる?」
「あいつは馬鹿じゃねぇきっと気づくからそっと静かにさせといてくれ!」
年が2つ上の篤志と顔をあわせる直也はそういう篤志の気持ちもよくわかっています。
「そういうわけにはいかねぇよ先輩!春樹への償いなんていらねぇんだよ!今一番苦しんでるのは沢村一騎だろ!あんたならわかるだろ助けてやろうぜ」
直也は無表情で篤志の腹を殴りつけます。しゃがみつく篤志は何も言わず床でしゃがんでいたままでした。直也は春樹達と仲間の写真をしゃがんだままの篤志に見せて言います。
「この頃は楽しかったろうよ、本当に楽しく生きるつうのは沢村一騎をもとに戻さねぇとならねぇんだよ、もう何人も犠牲になってるんだ!
たった一人の歪んだ感情の為に犠牲者は増やせねぇんだよ、仲間を守るんだ!」
直也の言葉は篤志に重く感じていたでしょう。春樹の言葉を直也が言葉にしたのです。篤志にも肩にのしかかった重荷があるのです。直也は中学時代に歪んだ感情を持ちながら怒りと憎しみでいた事を思い出します。店の中は静まりかえったまま時が流れます。


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