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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻- Vol.017 運命を導く女神

2013-06-08 14:33:25 | 梗概/兄妹の秘密
フィレンツェのジェンナ・ミシェル邸を探すのは誰もが知っていて簡単に探す事が出来た。
ナポリと同じ建物で、森林の中にジェンナ・ミシェル邸はあった。

左右芝生の間の道を歩き建物に近づくと見た事のある車が止まっていた。
玄関の前に立つと聖子は急に緊張感に襲われながら、震える指先で玄関のベルを鳴らすと、扉は開き母の付き人が出て来た。

「お嬢様」

付き人は驚いた表情をして、聖子の母を呼びに行き、母は聖子を連れアトリエの部屋へ。
アトリエの部屋の中には、ジェンナ・ミシェルが二百五十号のキャンバスをじっと見つめていた。

「とうとう知ってしまったのね」

母は、聖子に声をかけ、ジェンナ・ミシェルとは挨拶を交わす。

二百五十号のキャンバスに描かれた絵を観た時、聖子は鳥肌が立つくらいだった。

ジェンナ・ミシェルは、一通の手紙を聖子に手渡した。

「ごめんなさい聖子、本当にごめんなさい」

聖子が手紙を読む前に、母は聖子に自分の過ちを話し涙を流していた。
銀河は、聖子の母が最初に結婚したイタリア人との間で生まれた子供であった。

母はイタリア人と離婚後、日本へ帰省する時、駅のロッカーに産まれて半年の自分の子供を置き去りにしていた。
日本へ戻ると、一年後、現在の夫と結婚し、二年後に聖子が産まれた。

「銀河(アキラ)は、聖子の兄」

聖子は手紙を読むと、それは遺書であり、財産の全てを聖子に渡すという事が書かれていた。

もうすでに、銀河は、病死していた。

銀河は、聖子が自分の妹である事を、ミシェル邸での日々の食事の時間とダンスパーティーの時間で、感じていたのだ。

「そんな事ってあるの」

聖子が鳥肌が立った二百五十号の油絵には、森の中を歩く兄と妹が描かれていた。

「これが最後の絵、私達はロミオとジュリエットそれとも最後の晩餐」

聖子は涙を流しながら、その油絵に手の平を添えた時、冷静さだけの銀河ではなく彼の全ての思いを感じる。
聖子は病死と聞かされていたが、銀河の絵に触れた時、自殺をしたのだと思った。

この絵には血の匂いがする、凝固材の代わりに銀河自身の血液を使い描いたもの、こんなにも荒々しい銀河の絵画はなかった
聖子は母に対し、嘘で固められた偽りと裏切り、恋おしいものを失い憎悪が満ち、画材置きのテーブルの上にあるナイフを手にした。

その後の聖子の生き先の歯車は壊れ、この日を境に聖子の姿も消えた。

ジェンナ・ミシェル邸のアトリエには、最後の晩餐の壁画が描かれていた。
兄の銀河は、自らの最期を考えていたに違いないと聖子は思った。

「・・・・・・・・・・・」

幼き僕達は、言葉を覚えると、聖書を読みはじめた。

僕達は、聖書を読みながら、ヨルズの魂をもつ、聖子の運命を、脳裏に映し出していた。

窓の外を眺めながら、僕達は紅茶を1口。

そして「はぁ~」ため息をついた。

僕達は、さらに聖書を読み続け、未来の聖子の抱く感情や思いを、脳裏に映し出していく。

「次は、フランスか」

人類とは、常に夢を見て生きているのかもしれない。
そして、愛するという事を心で永遠に見続けるのかもしれない。

人類の進化は、愛するという事、いつの日もあきらめないという事か。

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