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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.022 導かれるままに

2013-06-25 09:28:32 | 梗概/兄妹の秘密
待ちに待った闇の地下室でのオークションの日がやって来た。
聖子は普段の服装ではなく、髪を金髪にして古ぼけた衣服をまとい闇の地下室へ入っていく。
一般の外国人もいたが、おそらく七割は闇の古美術商人であるように聖子には思えた。
オークションが始まると闇の地下室の雰囲気は一変し、静かで聖子は鳥肌が立つ思いを持っていた。
「この中にブロックは居るはず」
聖子はオークションに参加する事なく、後ろの壁に寄り掛かりながら辺りを見回していた。
オークションは二時間程で終わり、それぞれが立ち出口を出て行くが、聖子は全員が出て行くまで目立つように立ちすくんでいた。
最後の一人が出口を出ると、聖子は地下室の部屋を出て外の店頭の下に立ち、ブロックが声を掛けて来るのを待つ事にした。
「まいったな」
しばらくすると、聖子の周辺には誰もいなくなってしまう。
広い道を通らず、裏通りを歩いて行く聖子に一人のホームレスが声を掛けたのか、それとも独り言なのか?
「誰かさんを待つのもつらいよな」
聖子は一度通り過ぎたが、その場から動かないホームレスの前に戻る。
「私は聖子、あなたはブロックでしょ」
「まだ若い女なのに一人前の口をはくな!俺を捜してるとゴエモンからの連絡があったお前か?」
ブロックの見た目は、本物のホームレスにしか見れない装いで日本人、木製のパイプを口に加えていた。
聖子はブロックに海都の事を聞くが、ブロックは聖子に話そうとはしなかった。
「お嬢ちゃん、海都には関わるなよ、俺の血のつながらない息子だからな」
「銀河兄さんと海都の関係を知りたいの」
その場を離れようとするブロックに必死に声を掛ける聖子に、ブロックは振り向き聖子の前に立ち、銀河は死んじまったよと静かな声で囁いた。
銀河の妹という証明は?ブロックは聞いて来るとミシェル低で二人で撮った写真を聖子はブロックに見せた。
「ここじゃあ、話にもならんよ、ついてきな」
ブロックは聖子を連れ、パリのブロックの隠れ家へ案内をした。
聖子はイタリア・ナポリでの事を話し銀河との関係等も全てをブロックに話をする。
ブロックは木製パイプを吹かしながら、首を縦横に動かし黙って聖子の話を聞いていた。
すると今度は、ブロックが海都との関係を話し始めた。
ブロックと海都の出会いは、ル・アーブルの上方、モンティヴィリエにある日本人孤児院へブロックが立ち寄った時からであった。
十五才の海都は、里親の話はあったが人見知りが激しく、時は経ち十五になってしまった。
しかし海都はブロックに対しては人見知りをせず、ブロックは海都の絵画を観た時、自分の子供としようと思い、承諾を得て親子になった。
海都という名前の由来は、海と都、海都が捨てられたセーヌ川河口にある、ル・アーブルという街から名づけられていた。
ブロックは海都の絵画を観てからイミテイションを描かせ、二年間それを商品として売りさばき高い収益を得ていた。
海都はゴエモンと出会い、銀河と出会ってからイミテイションを描く事を辞めてしまった。
二年間の間にブロックと海都は財産を作り、二人は別々の道を歩く事になった。
ブロックは完全な闇商人となり、海都はスポンサーではないがオーダーがあれば、その家々の部屋に合った油絵を描くようになる。
「海都の事は知ったわ、私は海都に兄の事を聞きたいの」
「やめとけ、海都には、女はいらない、女に対してアイツがどれだけ憎しみを抱えているか」
海都は自分は捨てられた人間、生きていても意味のない人間であるという事を思い生きているという事をブロックは話した。
「そんな事は絶対ない」
聖子は心の中でブロックに叫んでいたが、どうしても海都に合わせて欲しいとお願いをする。
「会いたけりゃ、ル・アーブルの街へ行きな!アトリエがある、親が迎えに来ると思ってる馬鹿だ」
聖子はブロックに海都の居場所と行き方を聞いた。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.021 出逢いを求めて

2013-06-23 09:59:14 | 梗概/兄妹の秘密
フランスにはイタリア同様に古美術商人が多くいるが、イタリアのように店を持つ商人は少なく個人で古美術商人をしているのが多い。
フランスの芸術は多くの芸術家がフランスで創作活動を行い「ファン・ゴッホ」や「パブロ・ピカソ」「ル・コルビュジエ」はフランスで創作活動を行った芸術家の国として広く知られている。フランス国内には、世界遺産に登録された文化遺産が三十三件、自然遺産が三件存在し、フランス・ルネサンスの文学やフランス現代思想といった独特な文学の歴史も多く残る。宗教面では、カトリックの歴史も古くフランス国家はカトリック教会の長姉とも言われ代表的な教会はノートルダム大聖堂、サンドニ大聖堂などが挙げられる。
主な河川は北から、セーヌ川 、ロワール川 、ガロンヌ川 、ローヌ川があり、河口付近にある街はル・アーブル、その上にモンティヴィリエがある。

パリに到着した聖子は迷う事なく、古美術商人達を探し始める。
聖子にとって古美術商人を探す事はたやすい事で、同じ匂いのする人間を捜せば良い事だった。
パリは観光客が多くいて、その中には商人達はいない。
聖子はパリの地図を見ながら、細い道を捜し歩きながら同じ匂いのする人達に声を掛けていく。
ブロックという商人を捜すが、名前は知られているものの、パリでブロックの居場所を探すのは時間がかかりそうだった。
ブロックはフランス中を周り商売をする、ブロックは居場所を転々とし落ち着いた場所がなかったのだ。
しばらく聖子はパリに滞在する事にし、夜のパリを歩く事にした。
古美術商人の顔には表の面と裏の面がある事をゴエモンの言うとおり、そして両親からも学んでいたからだ。
数日を過ぎると、夜開く飲み屋街では同じ匂いのする静かな人達が集まる店を見つける事が出来た。
店に女性はほとんどいない、聖子は珍しげに見つめられ、声を掛けられるようになるが、その中には日本人の商人もいた。
何度か日本人の商人と会うと、そろそろパリで各国の商人達が集まるオークションがあるという情報を手に入れた。
聖子は、そのオークションには必ずブロックは来るような気がして、パリでの滞在を延ばした。
ゴエモンからブロックへ連絡はされている、古美術商人で女性は珍しい事、必ず声を掛けてくると思っていた。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.020 アキラの分身

2013-06-19 07:17:23 | 梗概/兄妹の秘密
汚らしい狭い部屋で埃まみれ、聖子は雑巾でテーブルの上を吹いていた時、部屋の隅の方に埃まみれの六十号の絵画が二つ、両方とも同じ絵画であった。
そして聖子はサインを見た時、驚きを隠せず鳥肌が立つほどであった。
「どうして?」
絵画に書かれていたのは「銀河」と「海都」というサインだった。
聖子はゴエモンに聞かなければならないと思い、強い口調でゴエモンにサインの事を聞く。
「もう、昔の話だ」
ゴエモンは不思議そうな瞳を初めて聖子に見せていたが、ゴエモンは聖子に答えた。
聖子は何故ゴエモンが銀河を知っていたのか?海都とはいったい誰なのか?をゴエモンに聞いた。
ゴエモンは軽い食事を運びながら、淋しげな声で聖子に話す事になる。
銀河と海都は同じ境遇の中で生まれ育ち、銀河はロッカーの中で見つかりバチカンにある孤児院で育ち、海都はフランスにある日本人だけの孤児施設で育てられ絵画に打ち込んだ。
銀河は里親に引き取られ芸術を学びスポンサーがついたが、海都は古美術商人に引き取られ十六から十八才までイミテイションを作らされながらも小銭を貯めていた。
銀河と海都は同じ瞳をして芸術家としての道を歩いたが、人生の道は違った。
二人は十八から二十才の二年間は、良くゴエモンの店に足を運び、ゴエモンは芸術と商業を二人に教えていた。
ゴエモンに言わせれば、一番幸福であった時であったと酒をあびていた。
「銀河は死んじまったが、海都は生きている」
ゴエモンは聖子に二人の事を懐かしさの中で話をしていた。
聖子はゴエモンの話を聞くうちに、海都に会わなければならないと思い、海都は何処に居るのかとゴエモンに聞く。
「そんなに会いたいのか?」
ゴエモンは聖子に言うが、海都はスポンサーは付けない芸術家で、大金持ちの家の壁に似合う絵画を描き生活をしていて、聖子が会ったとしてもスポンサーにはなれない事を話す。
聖子は、どうしても海都に会う必要があるように思えてならなかった。
スポンサーになる必要はなく、ただ銀河の事を知りたいとゴエモンに話していた。
「海都なら銀河の全てを知ってるだろうよ、そんなに会いたいか?」
会いたいと思う気持ちを抑えきれない聖子の姿に、ゴエモンは自分の知る限りの事を話す。
「お前は銀河とどういう関係だ?」
ゴエモンは聖子に聞くが、聖子は銀河との関係を話す事はなかった。
ゴエモンは海都の居場所を知ってはいなかったが、知っている商人を紹介をし連絡をとってくれた。
「フランスのパリへ行き、ブロックと呼ばれる商人を見つけろ」
この日の二日後、聖子は荷物をまとめフランスのパリへ向かった。
「兄の事が聞ける」
聖子は、この思いだけで列車に乗り、心の高鳴りを抱きながら窓の外を眺めていた。
ゴエモンの話の内容で、聖子は銀河と海都がどんな思いで生きていたのかをイメージをする。
聖子がゴエモンの家で見た二人の絵画は、イミテイションではなく、同じデッサンをして描き上げたものではなかったのか。
ゴエモンは銀河と海都の絵を表に出さず食卓に置いていたのか?ゴエモンは何時までも銀河と海都の事を忘れたくなかったのかもしれない。
銀河は本当に死んでしまったのだろうか?聖子は銀河の病死、自殺ばかりを考えていたが、死だけでなく生という選択肢を持つようになる。
ゴエモンの話は、今でも銀河が生きているかのように話していた。
幾つもの受験をして考える事はあったが、それは両親のレールの上での話で楽なものだった。
聖子はこれまでの人生の中で、こんなに自分の人生や他人の人生を考える事はなかった事に気づいた。
「カチカチ、カチカチ、カチカチ」
この気づきが聖子の人生の歯車を動かし始め、聖子の人生は懐中時計の秒針よりも早い勢いがついていく。
聖子はポケットに入れておいた懐中時計を握りしめ蓋を開けると、蓋の裏に映る自らの瞳を見つめている。
聖子は銀河の墓の前で牧師に言われた「神からの祝福と導き」という言葉を思い出すと、これからが聖子自身の人生が始まったのかもしれないと思うようになる。
考えている間、列車の走る音が聞こえず、懐中時計の秒針だけの音しか聞こえなかった聖子。
列車の走る音が聞こえてくると、フランスのパリに到着した。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.019 導きの始まり

2013-06-16 10:30:41 | 梗概/兄妹の秘密
小さな店で古美術品を扱っているが、表に出されているものはイミテイションいわゆる模造品ばかりで本物は極わずかである。
どの店を見てまわっても同じような店であったが、聖子には気になる一つの店があった。
その店は陶器ばかりではなく絵画が多く飾られていた。
聖子はしばらく、その店から離れず居た時であった。
店の奥から白髪に白髭、帽子をかぶり煙草の煙を吐きながら年配の日本人ゴエモンが店に出て来た。
「何か用かい、あんた日本人だね、珍しいな」
聖子はイタリアに来て久々に日本語を話せる古美術商人と出会った。
この出会いが聖子にとって自らが歩く道へと導かれるとは、この時は思ってもみなかった。
「この骨董品は偽物でしょ、飾られてるのもほとんどが偽物」
聖子はゴエモンに怒るような思いを持ちながら強くきつい言葉を吐いた。
「ほお、あんた若い女が商人してるのかい?」
コエモンは言い当てられた事に、驚きもせず聖子に返事を返す。
「私、この店で働かせてくれない?」
聖子はゴエモンに言うと、給料は払わない、住込みの料金は貰うと返答した。
「なんて人?」
聖子は心の中で思ったが、ゴエモンの言う通りに住み込みで働く事となるが、商売をしているのに売り上げはほとんど無し。
ゴエモンは常に酒の瓶を片手に持ち煙草を吹かしているだけ、酒がなくなると聖子に買って来いと言うだけだった。
こんな日々が一カ月も続くとゴエモンは聖子に辞めたらどうだと話をするが、聖子は何かを感じていたのか辞める事はなかった。
毎月のように家賃だけを払い、酒を買いに行く、給料はない日々だった。
時が経つのも早く住み込みで働き一年が経った頃の事だった。
ゴエモンは聖子を見る目が変わってきたようでゴエモンは聖子を食事に誘った。
聖子が誘われた場所は、ゴエモンが食事をする汚らしい部屋である。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.018 牧師からの導き

2013-06-14 17:31:06 | 梗概/兄妹の秘密
母からは、聖子の兄は病死と聞かされるが、聖子は自殺をしたのではないかと思った。
聖子の兄、銀河(あきら)の絵には血の匂いがする、凝固材の代わりに銀河自身の血液を使い描いたもの、あんなにも荒々しい銀河の絵画はなかった。
聖子は母に対し、嘘で固められた偽りと裏切り、恋おしいものを失い憎悪と殺意が満ち、画材置きのテーブルの上にあるナイフを手にした。
母は聖子がナイフを持った時、脅える事もなく聖子の殺意を知りながら、母は殺される覚悟を決めていた。
その時、ミシェル夫人は兄銀河の素顔を話し始め、ナポリにある銀河の墓の場所を聖子に教える。

これから歩く先には、もう一つの銀河の墓がある事を知る聖子。
この兄銀河の二つの墓の意味とは何か?

聖子は実の母への殺意を持ちながら、ミシェル夫人に教えられた墓地へと向かった。
その墓地は教会の牧師に管理され、木々に囲まれ自然の中にあり、亡き魂を天国へ導くような墓地であった。
聖子は牧師に声をかけ銀河の墓の場所を聞き、牧師に案内されながら牧師は聖子に銀河の話をする。
「世の裏の世界でしか生きて行けない事もある」
牧師の話を聞く聖子の気持ちは、悲しみに包まれながらも安らかさを持ち、母への殺意は消えていく。
銀河の墓の前には花束が毎日交換され、常に新しい花束が置かれている事に疑問もつ聖子だが。
「兄さん、安らかに、お眠りください」
聖子は心の中で祈りを奉げ、これから自分はどう生きるべきかを考えるようになる。
これまで両親のレールの上でしか生きていけなかった自分を嫌になる聖子。
「牧師さん、私はこれからどう生きて行けばいいのですか?」
牧師は、しばらく無言で聖子の涙する瞳を見つめ、そして。
神からの祝福と導きによって聖子の生き方は決められると導き、聖子の傍から離れていく。
この日、聖子の懐中時計の秒針は止まり、右回りの時計の歯車は左回りの反時計回りする事になる。
聖子は一度日本へ戻り、自らの身の回りの整理をし、数千万円の資金を持ちイタリアのローマへ行き、その後の消息は解らなくなった。

ローマへ行着くと、日本円で一日二千円程の小さな宿に泊まり、これからの人生を考え始める。
聖子はイタリアの南方へ下る事は出来なかった。
ナポリへ行けば、また同じ思いを抱くに違いない、母への憎しみと殺意に捉われてしまうと考えるようになっていた。
牧師の言葉を思いだす聖子であったが、自らが歩き始めなければ神の祝福も導きもないと思い、イタリアの上方へ向かう事にした。
まず最初に泊まった地はテルニ、ドルーニャを越えてフィレンチェに泊まった。
このフィレンチェには古美術商人達との出会いがあり、イタリア商人達の情報を得る事が出来た。
次に向かった先はミラノで、この街の現代ではファッションというものが中心に動いていた。
イタリア最後に泊まったのはトリノで、この街では表向きは静かな住み心地は良いが、古美術商人達は裏の顔を持ちながら商売をしていた。

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