
本当に幕は上がるのかしら。
前日7日の夜にやや大きい地震が東京でもあり、そんな心配が一瞬よぎりました。
8日の夜、帝劇に向かう足取りは、いつもとちょっと違っていました。
観劇なのに緊張してんの。なんでだかわからないけど。
帝劇に入ると、帝劇100周年を記念した花のアーチがお出迎え。
そういえば、100周年なんだ。そういえば・・・。
華やかにお祝いのはずの100周年のことはすっかり忘れていました。
初日の華やかさもあるのでしょうが、何か違った雰囲気。
キャストの人たちの思いはメッセージビデオで分かっています。
マダムテナルディエ役の森公美子さんはご友人をこの震災で亡くされています。
どんな舞台になるのだろう、そして、どうか揺れないで・・・と思いながら
幕が上がるのを待ちました。
・・・舞台の人たちはさすがです。
もの凄い舞台を見せてくれました。
無事幕が上がり、山口さん演じるジャン・バルジャンの歌が終わると
拍手なりやまず・・・・。
最初こそ喉に引っかかったような感じでちょっと心配しだけど
私の気持ちは舞台のバルジャンの世界にどんどん引き込まれて行きました。
山口バルジャン・・・、うまく言えないのですが、なんかね、バルジャンなんですよ。
バルジャンの人生そのまま、舞台で生きてるんです。
バルジャンが引き取り育てた娘コゼット。そのコゼットを愛するマリウスに向けて
静かに歌う「彼を帰して」は、
柔らかく暖かい光に満ちていて、その光に包まれている幸福感でいっぱいでした。
最後、神に召される直前にコゼットに向かい「私は父ではない・・・」という
くだり、歌というより語りかけている感じでしたが、
ああ、もう駄目・・・涙で私の祐様の顔が見えないじゃありませんか。(><)
終演間際に歌われる「民衆の歌」は
・・・世に苦しみの炎消えないが どんな闇夜もやがて朝が・・・
もうここで涙腺大決壊でしたぁぁ。
出演されていた方の貴重な感想はジャベール刑事をやっていた岡幸二郎さんのブログを
ご覧いただければ・・・。
忘れられない初日になったとおしゃっています。
あの熱い熱い拍手が、演じている方々にも伝わっているんだなと。
生きる意味を問い、明日を信じて前に進もう!というメッセージが込められた作品が
直接被災はしていないけど、ちょっと凹んだ気持ちになっていた私を
元気付けてくれました。
子供店長・・・加藤清史郎くんもちっちゃいけど、エネルギッシュに
舞台所狭しと駆け回っておりました。
帝劇を出ると、日比谷通りはすべて街灯が消され、それはそれは暗いこと。
信号機の明かりだけです。
お堀の向うは石垣とその上の木々が見えるだけ。
昔・・・江戸時代の暗さってこれよりももっと暗いのだな・・・
江戸時代にタイムスリップしてみたいと常々思っている私は
こんなことを思いながら、家路につきました。
月と星がよく見えた夜でした。
今まで観劇前はただ楽しみなだけでしたが、今回はちょっと違い、私もちょっと緊張気味です。もちろん、祐一郎さんの声を久しぶりに聞けるのは楽しみですが…私も涙腺決壊しそうです。
本当に、今回はワクワクするというのとは違う期待感みたいなのが
あったように感じました。
あの包まれるような声を聞けるだけで、充分幸せだ!と
思えますよ。