「COMANDANTE(コマンダンテ)」は,キューバの最高指導者フィデル=カストロにオリバー=ストーン監督がインタビューを行ったドキュメンタリーです。
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現在は闘病中のカストロも,この映画が撮られた2002年には元気で,カーキ色の軍服で現れます。どこにでもあるデジタル時計(ブランドは不明)を腕にはめ,そして意外にもナイキのシューズを履いています。
インタビューは3日間のべ30時間以上にわたり,3台のハンディカメラで撮った映像はつねに揺れています。オリーバー=ストーンは,可能な限り密着してインタビューしようと,移動のさいもカストロと体をくっつけるように車に乗りこみます。映像も,まさにレンズがカストロの顔にくっつくかと思われるほど「寄り」で撮っています。みんなが知りたがるゲバラとの話や,キューバ危機の事情,さらに2000年に起こったキューバ人少年のアメリカから本国への送還事件なども話題に上りますが,とくに新しい話が出たわけではありません。ただし,すでに知っている情報でも,当事者,しかもカストロの口から聞くと重みがあります。また,さすがにカストロ,話をそらすのも上手です。独裁者かどうか聞かれ,「私は自分自身の独裁者であり,国民の奴隷だ」と,まるでプロイセンのフリードリヒ2世のようなことを言います。
オリバー=ストーンのインタビューは個人的な話題にも踏み込み,好きな映画や俳優を聞かれたカストロは,ハリウッド映画の「グラディエーター」や「タイタニック」をビデオで見たこと,女優ではソフィア=ローレンやブリジッド=バルドーが好きだったこと,そしてチャップリンの映画はもう一度見たいなどと答えます。女性関係については,答える義務はないと考えていると言いますが,それでもオリバー=ストーンのバイアグラのジョークには,笑いながらつきあってくれます。訪問先の学校や路上では,学生や市民に「コマンダンテ」「コマンダンテ」と呼びかけられ,握手を求められるシーンが出てきて,カストロがいかにキューバの人々に愛されているかわかります。
しかし,日本などでは,同じキューバ革命を戦った同志ゲバラの方が圧倒的に人気がありますね。その理由は,第一にもともとゲバラがハンサムであったことがあげられるでしょう。
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実はわたしの殺風景な部屋にも,ただ一枚,ゲバラの写真が飾ってあります。そして,下の写真はわたしが撮った,ゲバラとカストロの,想像上の再会の場面です。
「やあ,たいへんだったね」
「そうなんだよ。あのね…」