大航海時代~ロイルート編~

大航海みたいな日々の事。そんな日のこと。

『この虹の先へ…』第十六回

2006-10-22 | 小説
部屋に戻った俺は、寝るにいたらなかった。せっかくの土曜日の夜だし早く寝るのはもったいないと思ったからだ。とりあえず、テレビをつける。ニュースだ。この前起きた飲酒運転による事故について報じていた。
「ほんと、無くならないよな」
そう呟いていた。そういえば、親父が昔、レストランで酒を飲んでから運転しようとしておふくろに怒られていたっけ。ちなみに、おふくろは怒る時も笑顔だ。それがまた恐いのなんの。声が笑ってないというのではない。声も笑っているんだから恐い。 それよりもどうするかな。外でも散歩してくるか。ゲーセンに行ってもいいしな。上着を羽織って外に出た。
「兄さん!待って下さい!」
驚いて振り向くと麗菜が追ってきていた。なんだ?いったいどうしたんだろう?
「どうした?」
「お散歩なら、ご一緒してもいいですか?」
危ないとも思ったが、平穏な場所だし、何かあっても抱えて走れば良いと思い頷いた。
 ゆっくり歩く。人影もなく気配もない。まぁ、この辺は住宅街だしな。
「星が…いっぱいですね。綺麗……」
空を見上げ微笑んでいる。
「麗菜は星が好きなのか」
こちらを向き頷く。
「はい。でも…」
再び空を見上げる。
「もっと好きなものがあります」
俺が尋ねるまでもなく、麗菜は静かに目を閉じて言った。
「虹が…好きなのです」
虹か…。
「虹ってさ、なんだか…」
今度は俺が静かに言った。
「先に…行けそうだよな。虹の向こう側に…」
                         続く


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