親の愛

　ねー私若い頃きれいだったー？？鏡を見ながら　余りの老けた自分の顔に目をそらし

　９０才になった母に　　問いかけた

　椅子に座り　庭を見ていた母は　　急に生き生きとした目をして

　うーん　綺麗だったよー　と幸せな顔で私を見た

　私は　きれいだ　と人に言われた事は　今まで一度もない

　でも母にとっては　綺麗な１人娘だったのだろう

　１人住まいの母が　ここに来て１所に住んではもらえないだろうか　　と遠慮がちに

　電話がかかってきた　

　夫も亡くなり７０歳になっていた私は　五年近く母と二人で暮らした

　２０歳でお嫁に行き　何もかも甘えていた五十年

　この５年が無ければ　今頃どんなに悔やんだことだろう

　もつと早く一緒に住んであげれば良かった　　　今　母の年に近くなって　

　自分の幸せばかり　追いかけていた自分が悔やまれる

　最後近くになって　一緒に寝よう　と言って布団をめくってくれたのに　　

　おかあさんと　寝ると　眠れないからと　断り　隣で寝たのが　悔やまれてならない

　一緒に寝てあげればよかった　　　おかあさん　ごめんね