レポートバンク

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コーヒー飲料ビジネス

2021-06-16 20:51:14 | 企業分析
今年の4月から、コスタコーヒー(Costa Coffee)ブランドのボトルがコカ・コーラ社から販売されている。
大々的にCMも展開され、また1つ有力なコーヒー飲料が増えたと感じる。

マーケット調査会社である富士経済社のリサーチによれば、清涼飲料の市場は微妙な上下はありつつも10年程の期間でみれば明確に伸びており、2020年の予測は
・約5兆2,000億円の販売額
・約2,700万klの販売量(=500mlのペットボトルで540億本)
となっている。ペットボトルを買う日本の人口(大体中学生〜80代前半あたり)を約1億人として、1人が1日1.5本、500ミリリットルのペットボトルを買っているような統計だ。
周りを見ていて、確かにこれくらいだと思える。

そしてこの清涼飲料市場において、特に成長している分野の一つがリキッドコーヒー(缶コーヒーを除くコーヒー飲料)だとされている。
ここのシェアを拡大するべく、コカ・コーラ社は既にジョージアがある中コスタコーヒーで追加参入しているのだ。

それでは、このような活発な動きのあるコーヒー飲料ビジネスは今後どのような変化をするのだろうか?
主な企業の戦略を探り検討したい。
まず直近の大きな動きをもたらした「コスタコーヒー」が何で、コカ・コーラ社がどのような考えを持っているかを明らかにする必要がある。

コスタコーヒーは元々イギリスで2,400店ほどを展開する有力カフェチェーン(日本のドトールコーヒーが約1,000店であることから規模がわかる)であり(BBC報道)、2018年8月にコカ・コーラ社により買収が発表され、2019年1月に買収完了がプレスリリースされた。

これらのプレスリリース・報道では、
①この買収の為に5,000億円ちょっとの金額をコカ・コーラ社が払ったこと
②コーヒー飲料市場は全世界でも年間6%の成長をしており、その「成長を取り込むため」の買収であること
③コスタコーヒーはヨーロッパではスターバックス以上に店舗をもつブランドであり世界2位のブランドであること

が述べられている。
つまり、日本でのコスタコーヒー販売は2018年から計画されていたコーヒー飲料市場でのシェア獲得戦略の表出であり、またコーヒー市場の競争激化は日本だけでなく世界で数年続いてきたトレンドであって、
ついに「カフェとして成功したコーヒーが国境を超えて持ってこられる時代」という新たなステージへ突入したのだと見ることができる。

※ちなみにカフェとして成功したコーヒーがコーヒー飲料として市場に登場する例はコンビニに行けば他にも見受けられる。スターバックス、ドトールコーヒー、上島珈琲(UCC)といった日本の有力カフェの商品は既に並んでいる。
今回のコスタコーヒー登場は、その商品ラインナップに日本にカフェを本格展開しない海外勢が入り込んでくる第一歩だと考えられる。

世界各国でコーヒー飲料の消費が増えているとなれば、大企業は(コカ・コーラ社のように)世界を舞台に売れるコーヒーの探索・商品化・グローバル展開を進めるだろう。

今後のコーヒー飲料市場は、大企業の参入戦略を受けて世界の美味しいコーヒーがますます投入され、消費者にとって多様で面白い市場に変化していく、
ということが予測される。

国内外のカフェ市場など、様々な市場・企業を分析した長めのレポートを置いている






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