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チョコレートのビジネス

2021-02-14 19:59:53 | 企業分析
チョコレート業界の一大売上イベント「バレンタイン」は、今年は外出自粛の影響もあり例年ほど熱いイベントではないだろうとウェブ記事のいくつかでも言われているが、コンビニを歩けばバレンタインコーナーがあり、Amazonにはバレンタインチョコが大量に出品され、ここgooブログでもバレンタイン特集があり、やはり特別な1日なのだと感じる。

こうした日本におけるチョコレート事業はどのような推移をしており今後どう推移するのだろうか。
まず、この市場に製品を供給する最大手企業は、明治である。
同社の2020年統合報告書によれば、

・チョコレート事業は1926年から続けている
・日本のチョコレート市場におけるシェアは2019年の調査で24%で首位
・過去3年以上にわたり売上は900億円台後半から1000億円台前半で安定推移

ということが分かる。さらにさかのぼると、
・2013年3月期に約850億円
・2016年3月期に約950億円
・2020年3月期に約970億円
という推移だったので、この10年をみると15%程の微増と言えそうだ。
日本のチョコレート市場規模について、チョコレート・ココア協会の統計によると、
・2014年に約4900億円
・2019年に約5600億円
なので市場全体も15%程の微増だ。

つまり過去10年をみればシェアが高いレベルのままで保たれているのだ。
・顧客について、
高齢化が進んでおそらく食の好みは移り変わっただろうし、パンケーキやタピオカやパクチーなどのブームが起こっては去るなど若年層の食の好みも日々変化があった
・競合について、
ゴディバの躍進やその他海外高級チョコの進出がニュースになるほど起きていた

ことが明らかであるにも関わらず、この期間も「チョコレートは明治」という消費者からの安定的な支持を得てシェアを保っていたことがうかがわれるのだ。抜群の安定感である。
※明治ホールディングス全体の売上は1兆円を超えており、チョコレートは数ある事業の1つである(ヨーグルトの売上が約2000億円であるなど)。チョコレート事業からの収益を製薬事業等成長領域に向けているのだろうと推定される。

次に大きいチョコレート企業と思われるのが日経の取りまとめた製品ごと売上データから言ってロッテだが、ここはチョコレート事業の売上がみた限り分からない。明治に及ばないが大体同額とみてよいだろう。
ロッテについて公式サイトから分かることは、
・チョコレート事業は1964年に開始
くらいである。

※ロッテの売上も年間約9000億円ほどと大きいので、ここもチョコレート事業は数ある事業の1つという位置付けである。

以上から、日本でのチョコレート事業に関して少なくとも明治のチョコレートブランドが安定的に強く、ここまで消費者の心をつかんでいるとすると、例えばコカ・コーラのように今後も安定推移するのではないかと思う。
新商品の方向性という意味では、明治は統合報告書から製薬事業などヘルスケアの方向に成長をしていることが分かるので、手頃価格で美味しい商品ラインナップを守りつつ、「健康で美味しい」「食べるだけで各種の予防効果」といった物が出せるようになるかもしれない。

今後もチョコレート市場の変化は楽しみである。

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