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軍需品の市場

2021-08-12 15:07:00 | その他
先日、麻生財務大臣が防衛費増額に理解を示したという報道がなされた。
世界の不安定化は軍事費用の増大をもたらす。防衛省の公表資料によれば、2015年から2019年にかけて米中2大国、日本や韓国といった中国周辺国で軍事費が増大を続けている。(ドイツなど増えている理由が謎な国もある)
中国の台頭は、日常でニュースを見ていれば感じているだろうが世界の不安定化をもたらしており、全体として世界の軍事費は増大に向かうだろう。

そして金額をみると、防衛省にはぜひ単位を統一してもらいたいところだが、米国は圧倒的である。朝日新聞のまとめ記事によれば2020年支出で多い順に、
・米国 約7500億ドル(75兆円ほど)
・中国 約2500億ドル(25兆円ほど)
・インド 約700億ドル(7兆円ほど)
となっていて、米国の軍事大国ぶりが明瞭にわかる。

日本は5兆円ほどで、世界では第9位だ。
世界合計では約210兆円になるという。
これは紛れもなく巨大市場である。
調査会社の試算によればスマホ端末市場が世界で約70兆円であることや、
トヨタの全世界での売上合計が約30兆円であることも併せて考えると大きさが伝わるかもしれない。

それでは、この内訳は何だろうか。一般社団法人日本航空宇宙工業会が米国の2020年10月〜2021年9月にかけての軍事予算約70兆円を丁寧に説明してくれているところによると、
・200万人ほどの軍人人件費約15兆円
・作戦実施の費用約25兆円
・装備品約15兆円(但し軍事以外の予算でも軍の用いる装備品を買うらしく、米国予算では軍需品に約25兆円用意する)

といったところが主な項目である。
割合はどこの国でもそれほど変わらないと考えてここからは米国の比率で検討する。

軍需品には、70兆円から15兆円と約2割を使い、さらに他からも10兆円を持ってきている。約25兆円の内訳をみると、
・作戦支援に約7兆円
 (↑壊れる装備や消耗品?)
・戦闘機関連に約6兆円
・戦艦関連に約3.5兆円
と、今や予算のうえからも主力は戦艦ではなく戦闘機(空の戦い)である。
関連と付けているのは、そこに戦闘機運用に用いるレーダーや無人航空機も入っているからだ。

この米国予算から推定されることは、
・70兆円の軍事予算といっていて25兆円の軍需品購入なので、世界全体約210兆円からしたら、約75兆円が軍需品市場となるであろうこと。
70兆円のうち6兆円ほどが戦闘機関連に使われているので、世界では約20兆円ほどの戦闘機関連市場があること。
であろう。

また、内容には無人航空機が入ってきた。コリン・パウエル(かつて米軍制服組トップを務めた)の回顧録では、米軍の被害を最小限に抑えながら作戦を成功に導く努力が何度か出てくる。この思想からすれば、この新登場の武器はこれから市場を拡大していくだろう。

以上から、
・軍需品市場は巨大で、世界の政治情勢によって変動しつつも直近については拡大しそうである
戦闘機関連に軍事費全体の1割程度が用いられており、軍需品市場の中で最大である
・戦闘機関連の中では無人航空機が最近あらわれたが、ダメージを抑えようとする米軍(軍需品市場の最大顧客)の思想からして今後拡大が見込まれる
というのが僕の推測である。

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