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トマトのビジネス

2021-03-30 13:29:00 | 企業分析
トマト料理が好きで、家でも外でもトマト料理を食べている。ジュースもトマト好きで、トマトが豊かに手に入る社会で良かったと思う。
今後も豊かにトマトが手に入る社会であるか考える時、トマト関連の大企業カゴメについて、経営環境をみていくのが分かりやすい。
【基本情報】
カゴメはトマトの生産からトマトジュース、トマトケチャップ等への加工・販売も行う従業員2,600名超の企業だ。
2020年12月期で売上約1800億円、営業利益約100億円を誇ることからもインフラとしての活躍ぶりがうかがわれ、東証一部に上場していて、時価総額は2020年末でおよそ3400億円程となっている。
海外展開もしていて、売上のうち約400億円(つまり20%以上)はアメリカなど海外で得ている。

事業の様子は農水省のサイトにも取り上げられており、農業〜食品加工までを順調に運営している様子がうかがわれる。

【これまでの経営実績からみて、これからもトマト製品を提供してくれそうか】
企業なので、利益が出ていれば今後もトマトビジネスを続けるし、出ていなければ他の事業を考えるだろう。つまり、これまで通りのトマト製品提供の可能性を考えるには、それぞれの事業で効率良く利益を出せているか確認することが有効だ。

2020年12月期(コロナ禍で環境に大きな変化のある、経営の難しかったはずの年)をみると、当社の指標である事業利益(定義を見ると営業収支+投資収支である)について、
・飲料…約80億円黒字
・加工食品…約50億円黒字
・農業…約3億円黒字
・海外…約2億円黒字
と、いずれも黒字を確保している。前年比をみても成長軌道にある。

利益率はどうだろうか。
カゴメ全体として資本約1100億円、純利益約60億円なのでROEはざっくり6%ほど。
これだけ見るとかつて伊藤レポートに言われた経営効率性の基準「8%」を下回るので不安になるが2019年度は超えており、やめるようには思われない。

利益の中身はどうだろうか。
先ほど飲料・加工食品・農業・海外の比率は見たが、トマトかどうかは見ていない。カゴメはトマト事業以外も行っていて、そちらがもっと順調だからそこに移動する…という可能性は無いだろうか。
(念のため調べたが、企業理念にトマトという言葉は出てこない。たまたま今はトマトを扱っているだけの可能性もある)

これについては、トマトとその他の事業の比率が不明だった。
しかし比率は分からないものの現時点では日常感覚からほとんどトマト事業だと思うので、経営効率の観点から見てトマトインフラは保ってもらえそうだと考える。

【これからの経営計画からみて、これからもトマト製品を提供してくれそうか】
カゴメの経営計画をみると、長期計画として「野菜の会社になる」そうなのでトマト以外についても社会のインフラになる方針である。キャベツなのか白菜なのか、どんな野菜かまだ分からない。

消費者目線だとトマトの生産〜加工を世界に広げても勝てそうに思うのだが、世界の人々が日本ほどトマト好きではないのか、トマトに対する好みが違うのか、気候の問題でトマト生産にコストがかかるのか…何かトマト一本ではいけない理由があったのだろう。

今後も美味しいトマトを届けてほしいし、他の野菜でも生活が豊かになるようなら嬉しい。


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