人魚の鱗 2010-03-17 14:48:25 | Blue 声をなくした人魚の鱗は 真夜中の海に鈍くひかり 紡いだ日々 泡になって消えても 喉の痛みだけずっと熱い いつかどこかで 二本の足で うまれたときに また思い出せるように ちぎれた真珠の紐 夢のほとりに眠る珊瑚
手紙 2010-03-09 07:43:02 | 透明 希求の砂浜から ハンカチーフ手に 桜貝の爪でさがしあてた恋 夕暮れに出した手紙へ 深海のようなお返事が 夜明けにそっと届いては 草花の文字に祈り 行間の溜息をつつんだ そこに居てくださった 打ち寄せる白い波の感謝
嫉妬 2010-03-05 18:57:45 | Blue 嫉妬というものは 其の対象に寄り掛かり 己の本当を映したいのか 炙り出したいのか分からないまま 火の輪のようにジタバタと 焼け焦げ苦しんでいるかのようです 天を向き咲いた花の 僅かな色の違いを憂い 茎から生やした無数の棘で 風に吹かれて傷つけあいながら 語られない多面体の やわらかな心を護っている