Four Season Colors

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読書のよもやま(2024.03.11)

2024-03-11 | 雑文
「そこにある山 人が一線を越えるとき」角
幡唯介(中公文庫)

極地(北方面)旅行家でノンフィクション作
家である著者の、ノンフィクションではない
系のものとなる。

年齢的なことや探検先が固定されてきたこと
などから、最近はノンフィクションよりもこ
うしたエッセイ的な作品が多い角幡さん。

本作も、ご自身の結婚からGPS、脱システ
ムに始まる生死などなどを、極地での経験も
踏まえて述べている。

「も」と書いたのは、まあ、6,7割は過去
の作品との重複があるため。

といって、別に角幡さんを否定したり、批判
したりがしたいわけでもなく、そんなつもり
も当然ない。

重複が分かる程度には出ている文庫本を買っ
ているし、自己体験によるノンフィクション
はとても面白いし、好きである。

ただ、事実として、ノンフィクションではな
いエッセイ系は、割と作品による重複が多い
ということはある。

文章が焼き直しということはないし、日常の
新たな出来事や、座学で得た知識などは過去
作にはない。

のだけれど、軸、論点、そして結論は、基本
これまでの主張に同じく、補強という表現が
合うように思う。

あくまで自分にとってではあるが、本書で初
めてで、かつ面白かったのは、ジョージ・マ
ロリーと植村直己についての部分。

植村直己その人については、これまでも触れ
ているが、また一歩これまでにない感じで踏
み込んでいる印象を受ける。

そしてタイトルにもある、有名なフレーズに
ついての部分。

やはり、角幡さんはノンフィクションの作家
なのである。

ということで、なんだかんだ北方極地のお話
は鉄板で、これは重複していても面白く読め
る。

とはいえ、そのあたりは読む人の好みなので、
なにかしら角幡さんの著書を読んで、面白か
った方は、読んでみても。

角幡さんの作品を読んだことないけど、興味
ありの方は、できればノンフィクションを先
に読んだ方が、吉かもしれない。


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