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CHABUYA JAPAN SIORAHMEN BRANCH

2005-05-07 11:33:48 | ラーメン店調査 (51~55点)
「柳麺ちゃぶ屋」が2003年7月に満を持してオープンさせた塩ラーメン専門店である。

まだ聞き慣れない言葉かも知れないが、最近の首都圏のラーメン業界では、あるラーメン屋が従来からその店で出しているラーメンとは全く種類が異なるラーメンを出す店を新たにプロデュースするという「コンセプト・チェンジ」が頻繁に行われるようになってきた。例えば「一風堂」の「五行」、「田中商店」の「つしま」、「せたが屋」の「ひるがお」と「大大」、「麺屋武蔵」の「二天」と「麺屋武蔵武骨」が代表例であるが、「柳麺ちゃぶ屋」と「CHABUYA JAPAN SIORAHMEN BRANCH」の関係も同じ。本体である「柳麺ちゃぶ屋」の方は醤油らーめん、味噌らーめんは作るが、塩ラーメンは作らない。単に本店が支店を出す場合とは異なり、本店が作るラーメンの味も低下せず、いや、むしろ全く違う種類のラーメンを店舗を構えて提供することができる程の実力があるわけだから、むしろ味は益々向上し、食べる側にとっても全く新しいラーメン屋が誕生することと同義であり、大歓迎というわけである。中でも、とりわけ「ちゃぶ屋」のコンセプト・チェンジであるこの店の評判は極めて上々であり、ラーメンのクオリティーも頗る高いことを保証しよう。

メニュー構成は2004年1月現在で、しおらぁめん(700円)、ちゃーしゅーめん(900円)、梅塩らぁめん(700円)など。冷ざるらぁめんなどという涼しげな品も用意されている。

繊細で優美なしおらぁめんを専門的に提供する店だけあって、店内の雰囲気もそれに相応した「雅」を感じる造りとなっている。2列に配置されたそれぞれ5席、合わせて10席程度のカウンター席は、フスマを模した衝立てに隔てられており、食べ手は落ち着いてゆっくりとラーメンを食することができる。漆黒のテーブル、深紅の椅子、足下を照らす柔らかい白色蛍光灯が、黒、赤、白のコントラストを鮮やかに浮き彫りにし、あたかも幽玄の世界に迷い込んだような錯覚に陥っていく。もはやラーメン屋が、女性ひとりが立ち入るのには勇気が要る場所である、という概念が過去の遺産になりつつあることを否応なく思い知らされる。

私は、ちゃーしゅーめんをオーダー。トッピングとして玉子を注文した。供されたちゃーしゅーめんは、例えようもない芳香を漂わせる半透明のスープの上に、青ネギ、白ネギ、焦がしネギがアーティスティックに盛り付けられ、紅一点である赤唐辛子が眩しげだ。秩序よく並べられたチャーシューは、食する前から既にそれが絶品であることを確信できるような見事な出来映え。控えめに載せられた玉子の白が無邪気で微笑ましい。

大きなレンゲでスープを啜る。名作だ。パーフェクトとしか申し上げようがない。気品すら感じさせる潮の香りが、まず鼻腔をくすぐり、舌でスープをそっと愛でれば、パッと弾けるような旨味が口内で花火のように炸裂する。アッサリとしているが、味に明確な主張があり、味に明確な主張はあるが、決して押しつけがましくはなっていない。このスープを青、白、焦がしネギの3種類と一緒に胃に注ぎ込めば、もはやその圧倒的な美味にただただひれ伏すしか術はない。「参りました」と。

具の3種類のネギはもちろんのこと、チャーシューについても全く何も申し上げようがないほど美味であり、舌の上でとろけていく傑作なのであるが、中でも特に玉子の出来は超絶的。中心部のみがわずかに半熟になっているのだが、スープに調和する見事な味付けが施されており、必食の逸品だ。

麺は「ちゃぶ屋」譲りの、細いストレート麺をやや柔らか目に茹でた品を用いているが、スープ、具と調和しており頗る美味い。ただし、スープと具の神々しいまでの完璧さと比較すれば、ややレベルが下がるかなといった印象は否めない。が、これはあくまでも相対的な話であって、一軒のラーメン屋の麺として考えた場合、美味いことに間違いはない。全体として美しい乙女を想起させるようなラーメンであり、完成度は極めて高い。

麺:12点、スープ:20点、具:5点、バランス:8点、将来性:9点の合計54点。

毎日のようにラーメンを食べている私でも、食べながら「これはうまい」と声に出して言ってしまったほどの絶品である。


所在地:護国寺
実食日:04年1月

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