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和風らーめん秋葉家

2005-05-07 11:47:40 | ラーメン店調査 (46~50点)
有力店が比較的手薄である大森エリアの救世主となるべく登場した店。大森界隈は、大森海岸駅前の旭川ラーメンの店「ラーメン恭華」、大森駅前の「一本槍」などがあることにはあるのだが、これぞというエース級の店が少なく、隣接する大井町や蒲田と較べれば、どうしても格落ち感が拭えないような状況であった。

このような状況を打開すべく2003年の2月に大森の地を選んでオープンしたこだわりの店がここ「和風らーめん秋葉家」である。ちなみに、屋号に「家」の文字が付くが、横浜の家系とは一切関係ない。読み方も「あきばや」ではなく「あきばけ」と読むのでウェブ等で「秋葉家」を検索する際には御注意願いたい。

JR大森駅から池上通りを蒲田の方角に2、3分程度歩いたところにあるラーメン屋らしからぬ外観の店。むしろ高級な蕎麦屋などにありがちな店構えであり、入店時にはいささかの勇気を必要とするかも知れない。営業時間は11時30分から20時までということにはなっているが、現在は客数に供給が追いつかず15時、16時くらいには店じまいしてしまうという。定休日は月曜日。祝日の翌日も休業する。

この店は外観も変わっているのだが、それにも増して内装が非常にユニーク。石畳を用いた和趣味溢れるフロアーは寺社仏閣にも通じる趣があり、もはやラーメン屋がなし得るデザイニングの範疇を大きく逸脱している。壁に掲げられた情緒溢れる大きな絵もジャパニーズが本来持ち合わせているものであろうノスタルジーを否応なく喚起させる名画であり、外界の庶民的な商店街とは完全に隔絶された「和の小宇宙」を創造することに見事に成功している。

それだけではない。らーめんの作り方も独特のこだわりがあり、スープや麺を茹でる際には通常用いるようなガスではなく、何と備長炭と薪を使っているのだ。私には、なぜここまで備長炭に拘るのかその理由はよくわからないのだが、備長炭を使った方が素材の持ち味がより引き出されるからなのだそうだ。店内の隅々にまで漂う備長炭の芳香が店内の雰囲気と非常によく調和しており、「『食を楽しむこと』とはただ食べ物を食べることだけを意味するものではなく、店内の雰囲気やもてなす人間の心意気、食べる相手、そういうすべての要素を引っくるめたものなのだ」という至極当然の事実を改めて実感させてもらった。

メニューはらあめんとつけめんの2種類のみ。らあめんは700円、つけめんは850円であるが、とりあえずはらあめんをいただくことにした。一言で言えば健康食のようなラーメン。スープは個々の素材の旨味が突出しておらず、アッサリとまろやかな飲み心地。だからといって、全体として統一されたある種の旨味を主張するわけでもなく、味蕾が明確な旨味を感覚しない不思議な代物である。だが、決して不味いというわけではなく、これはこれで美味しいのだ。「旨味が判然としないのだが旨い」という一見、矛盾した結論を現実のものとする「秋葉家マジック」は脱帽に値する。敢えてスープ中に自覚できる旨味があるとすれば、それはアクセントとして投入された柚子の香りくらいであろう。さらに秋葉家のスープについて特筆すべき事項は、デフォルトのスープには一切油が入っていないということだ。ラーメンは油が多いとして忌み嫌う女性にとって、一切の油の投入がなされないこの店のラーメンの存在は貴重なものとなるのではなかろうか。

麺は中太縮れ麺。魚の鱗から抽出した高純度のコラーゲンが練り込まれており、健康志向の高い逸品だ。スープの持ち上げも極めて良好であり不満はない。

具のチャーシューは、いかにも良質なものだと思しき肩ロース肉を惜しげもなく使用した名品であり、非常に大きく切り分けられたそれは、単なるラーメンの具といった役割を超越し、もはやサイドメニュー感覚で食するべき存在感すら放っている。

麺:12点、スープ:16点、具:4点、バランス:8点、将来性:8点の合計48点。

この店のラーメンの出来については、フリークの間でも賛否両論があり、スープの旨味があまりにも感覚できないため、美味しくない、不満であるといったコメントも多いところなのではあるが、我がラーメン課としては「支持」に一票を投じておきたい。


所在地:大森
実食日:04年2月

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