任務完了

2022-10-27 22:18:20 | よのなか

任務遂行

やたらとその通りには、警察官がいた。

何か事件があったのだろうか、と思いつつ。

正午5分前、正午に約束をしていた。

自転車に乗って急いでいた自分は、駐輪場を目指して真っしぐらだった。

警察官たち、中年と若いふたりの前を通り過ぎた。

若いほうの警察官が、スピードをだしてる自分を呼び止めた。

「ちょっと、イイですか?」と。

気がついたら、路面の自転車通行方向とは逆走していた。

そのことかと思い、「ごめん、ごめん」と路面の逆の方向表示を指して、

もう目の前の駐輪場に飛び込むように、

「嫌です!」と言って駐輪場に駆け込んだ。

若い警察官は、走って追いかけて来た。

自分にとっては、自転車と警察官は鬼門である。

駐輪場に置いて、立ち去ろうとする自分に、

必死で車両番号を端末で確かめ、「名前は?」と訊かれ、

「自分の名前」を応えた。

照合が取れたのでしょう「ご苦労さまです」と認められ解放された。

そりゃ、自分の自転車で、先を急いで、あわてていたから、

ただ尋問がわずらわしく面倒で断っただけだから。

昔の友だちのことを思い出していた。

留置場の留置数が少ないと言って、

軽犯罪で十日以上も留置されたことを。

 

以前だったら、「もっと大事なことがあるだろう」くらいの

捨て台詞を警察官に吐いていただろう、と思いながら、

苦笑して先を駆け足で急いだ。

 

警察官も、人間だからな。

しかし、お上に忠義がすぎる。

どんな任務か知らないが、ね。

用事がすみ、帰りぎわに同じ警察官がいたら

「ご苦労さま」と言って何があったか

興味本位で聞こうと思っていたが、

もう、警察官はひとりもいなかった。

「任務完了」

どっちの、だ。

 



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