私ども県南落語組合には、発足当時から活動の上で、ルールにしている事柄がいくつかあります。
その中のひとつが、出張寄席の主催の方にお伝えしている「お酒の席では演りません」というお願いです。
少々生意気に聞こえるかもしれませんが、我々メンバーには“教え”とも言えるこの鉄則は、活動を始めて間もない頃にかなり痛い目(修羅場)にあった経験から来ているものなのです。
お酒を飲まれている皆さんの前では、我々のような素人の芸は無力で、とてもお酒の力(魅力、魔力?)に勝てるものではありません。会場の皆さんは、落語には耳を傾けず、ひたすらお酒の徳利を傾けるばかり…と、そのような状況となり、主催者のご期待に応えられない結果になるということでありました。
とはいえ、40年に及ぶ活動の中では、居酒屋さんのご厚意で定期的に店内で寄席を開催していただくこともありました。
そこに集まるお客様は、まずは落語を聴いて楽しんでくださり、終演後は飲みながら、我々も参加しての芸談に花を咲かせるという大変勉強になる会でありました。落語とお酒。程よく組み合わされることで、絶妙の相性が発揮されるようです。
これからも、我々のこのルール、大切に守らせていただく所存であります。
※写真:落語に集中してくださる、某居酒屋のお客さん。