~蒼い時の中で~  いまボクの声はキミに届いてますか?

ボクは今日も蒼い空を見上げています。キミもどこかで見ているだろうか、この空を。
     ー愛しきものへー

『 舞姫 』

2008-05-01 | Weblog
・・・舞姫・・・


風の中でキミが舞う
柔らかな草の上に
素足をおとし
艶やかな唇結んだままで
凛と遠くをみつめるキミは
ひとり何想う

まとめあげた黒髪に
燃えるようなデイゴの
一枝
それが今の
キミのこころ映す

黒と赤と紫の
あでやかな着物の裾が
風にゆれ
頼りない
細い足首がのぞく

朱に染めあげた爪と
しなやかな白い指先が
音もなく風にしなるとき
キミは緑の風になり
白い雲になり蒼い空になる

嬉しいときも哀しいときも
寂しいときもせつないときも
想いのたけを胸に秘め
いつもキミはひとり舞う
すべてを隠し風に舞う

デイゴの紅と衣の赤は
キミの慟哭そのままに

『 泣き虫のくせに 』

2008-05-01 | Weblog
・・・泣き虫のくせに・・・



出かける予定のない雨の日になると
キミは決まって楽しい遊びを思いつく

アイシテルって言わないごっこ
スキだよって言わないごっこ
キスしたいって言わないごっこ
アマエタイって言わないごっこ

そして
当然どちらか先に言い出したほうの負けとなり
バツゲームは
勝ったほうの言うことを何でも聞くというルールで
今日もふたりのゲームが始まる

キミが静かにしているからボクも静かにする
部屋が静かになると
お互いの鼓動の音だけが部屋いっぱいに広がって
ふたりが出会った頃の緊張感にも似た感情が
ボクタチの間に流れ出すころになると

不安になったキミとボクの距離が
少しずつ少しずつ縮まってゆく気配があって
結局いつも
言いだしっぺのキミが先に口火を切ることになり
“ねぇ・・・” のキミの言葉でゲームが終わる

本当は泣き虫のクセにいつも強がってばかりのキミに
今日は少し意地悪をしてみようという気になった

ねぇ とキミが言い出す  返事をしない
ねぇ ねぇ とキミが甘える  スルーした
愛してる?と聞かれる  そっぽを向いたまま
嫌いになった?とボクの顔を心配そうに覗き込む
それでも笑いをこらえて唇をきつく噛んでいると

少しの沈黙のあとに
キミの伏せたまつ毛の間からポロポロと涙が溢れ出す
今度はボクが慌てることになり
他愛のないゲームはそこで終了するのだけれど

これでボクの負けだなんて言われてしまうのだから
ことの始まりが何だったのか府に落ちないままに
キミのペースにはまり込んでゆくことになり
なぜだかいつも最後にはキミをなだめているんだよ

“今日もキスがお望みなのかい?泣き虫くん”