[追憶の一冊]人形絵本シリーズドイツ文学翻訳家・池田香代子 [ 朝日新聞2003年02月04日東京朝刊]
池田香代子さんの人形絵本の思い出話です。
’50年代に子供時代を過ごしたこと、当時は社会全体が貧しく絵本は宝物であり、高価なものであったことなど、当時を知ることが出来る貴重なお話だと思います。
池田さんのおうちも”とくに貧しい部類”だったそうですが、それでも親御さんが数冊の絵本を買ってくださったそうです。
”なかでも、トッパンの人形絵本シリーズ(フレーベル館刊)は目をみはるような美しさで、その感動はいまもまざまざとよみがえります。”
あとになって、飯沢匡さんや川本喜八郎さんや土方重巳さん、与勇輝さんが参加されたことなど知ったそうです。川本さんがこの時代の仕事を「情緒人形」と呼んで否定されてる話が印象に残りました。
池田さんの心に今もシンデレラや人魚姫たちが生きていること、人形の皮膚やドレスやアクセサリーやセットに物語の世界に誘われたことなど、当時どのように絵本の世界を受け止められていらしたのか分かって興味深いです。
ちょっと、気になるのは、池田さんの御年だと読まれてたのは多分トッパンのストーリーブックのころなのではと思うのですけど。与勇輝さんはトッパンの人形絵本のころはまだ参加されてないんですが。
なんにせよ、今やマイナーな人形絵本について語ってくださるのは有難いことではあります。