
定番なら八方尾根から唐松岳を登り、五竜岳まで縦走して遠見尾根を下るものですが、
下りの方が苦手なプカプカ(足が痛くなる)は、標高差の大きい遠見を登りに選びました。
それに、夏の八方尾根は高山植物の見事な場所。あのお花畑はゆっくり時間をかけて堪能したかったので。
以前八方尾根を歩いた時のレポはこちらからどうぞ →


計画当初は、乏しい山小屋情報の中、特に唐松岳の頂上山荘については男女同室の大部屋だとかあまりよい評判が得られなかった為、かなり小屋泊まりを懸念していました。(実際は改築されてカイコ棚式。詳細は山小屋レポでどうぞ)
単独テント泊で行こうかと散々迷っていたところ、この年の8月初旬に燕岳で知り合ったばかりの女の子と連絡し合ってる内、彼女も同じ週に五竜・唐松を縦走する予定だということが分かりました。
この偶然を活かさない手はない。女二人で一緒だったら山小屋が混んでて相部屋になっても気にならないかも。
相談して日程を合わせて同行することにしました。 久しぶりの相方のその名はSちゃん。 お花が大好きな人です。
いつも単独で山に登るプカプカにとって、パーティ登山はまだたったの5回目で泊まりは初めて。
よっぽど気心の知れた人でない限り気を使ってしまって、パーティは絶対無理と思って避けていたけれど、
女同士だったら体力的にも生理的にも全く気兼ねがいらないので、楽にいけるような気がしました。
燕岳の時はお花の写真を撮ったり眺めたりするのも、一緒に歩いた下山も、とてもペースが似通っていたし。
それでも基本的に一人で歩くのが好きなプカプカは念の為、一緒に歩くというよりは山小屋で落ち合うつもりの感覚で個々のペースで、別々に歩けたらいいなと思ってそれは伝えておきました。
【行程】
一日目[遠見尾根]:エスカルプラザ(テレキャビン乗車)→アルプス平→小遠見山→大遠見山→五竜山荘
二日目[縦走]:五竜山荘→五竜岳→大黒岳→唐松頂上山荘
三日目[八方尾根]:唐松頂上山荘→八方池→八方池山荘(アルペンライン乗車)→白馬八方(バス乗車)→エスカルプラザ
マイカー登山の参考:花三昧バス (←2009年夏の情報)夏季限定運行。
八方~五竜 間を20~30分で低予算で移動できるので、マイカーを置いて縦走するのに最適。

前日仕事を終えてからそのまま白馬まで車で移動し、少し仮眠してから待ち合わせの白馬五竜エスカルプラザ内テレキャビン駅へ。
始発に乗って着いた先はもう稜線です。
北アは乗り物が便利で本当に助かります。
天気予報では三日間晴れ時々曇りマークだったけど、早朝から既に曇り気味…
向こう岸に見えた白馬岳はこの時だけで、後はほとんどガスの中でした。
やっぱり定番コースと逆のせいか、遠見尾根から登り始める人は思っていたより少ないようです。
のっけからのんびりペースのプカプカチーム。
ほとんどの人はどんどん先へ行ってしまい、多分今日中に五竜に行く人の中で最後尾から二番目くらいを歩いていたかも。
なんてったって二人とも、お花と見れば立ち止まりますから。
晴れてたら北アルプスのいろんな眺めを楽しみながら稜線漫遊できたはずなんですが、残念ながら何も見えないので、お花を探して登り続けました。花って不思議。天気が悪かったり眺めのない場所でもいつも楽しさと元気を与えてくれる。
“白馬五竜はお花三昧、遠見の尾根もお花三昧” というイメージを長年持っていたので、少ないのが気になりました。
大遠見付近
近くには水溜り状の池があって、小規模なチングルマ畑があります。
大遠見山は思っていたより狭い場所で、休憩できる場所があまりありません。
通行の邪魔にならないように登山道の隅で休もうとしたのですが、このあたりは恰好の排泄コーナーになっているらしく、汚臭が漂ってきました。

こっちの尾根は長い道のりのどこにもトイレがないから、仕方ないのかもしれないけど。
大遠見で用足しする人達は、もう少ーし場所を考えてほしい。
「人が休むかもしれない場所」という配慮を忘れないでください。
以前他の山で、登山道のどまんなかでお尻を出して用達をする中年女性に会ったことがありますが、
あんな風に後先のことや他の登山者のことを考えない人が、山にはいっぱいいるんでしょうか。
西遠見ノ池
草陰のリンドウの小さなお花たちが、これから開こうとして生き生きしてるのがきれいでした。

これから進む稜線は相変わらず真っ白です。
今日の目的はとにかく五竜山荘。太陽が隠れているおかげで暑さはなんとかしのげたけど、逆に景色が楽しめない分単調に感じて辛かったり…
どっこいどっこいですね
ガスが少し薄れると、時々五竜のギザギザが見えます。ひょえーかっこいい
空の代わりに花の色。どれだけなぐさめてもらったことか。

岩を登ったところで少しだけ青空が広がりました。
喜びのガッツポーズもほんの一瞬の出来事。またすぐにガスの中へ。
このクサリ場を境界に、お花畑が始まります。
ガスで遠くまで見通せなくても分かる規模。
地図には“お花畑”なんて書いてないけど、あれは確かにお花畑でした。
たくさんのいろんな種類のお花たち。この縦走で出会ったお花のレポートです→遠見尾根から八方尾根のお花(五竜岳/唐松岳)
あの花 この花 そうだよこれ、これが見たかったの
いっぱい いっぱい 遠くの方までいろんな花が咲いてました。
そして、この山で見られるという珍しいお花、ミヤマアズマギク。
名前だけ先行していてお花がどんな姿なのか知らずに探していたけど、
ひと目見てこの子に違いないと分かりました。
ピンク色だったんだね~ なんてかわいいんだろ…
アズマギクだけが集まった群落が飛び飛びに位置していて、でもそれもここ一帯だけ。
先に進んでいくとまた新しいお花との出会いになり、さっきまで咲いてた花がなくなっていきます。
大好きなシモちゃん(シモツケソウ)がふわふわ、ふわふわ…
これ以外にもいろんな種類のお花が咲いてました。
天気は雨でも降り出しそうな薄暗さ。髪の毛先から水がしたたるほどの濃霧だけど
お花畑から離れられなくて、前に進むよりずっとここにいたい心境でした。
明日はもうここを通らない。 でももう16時半を過ぎちゃったから先へ進まないと。
またこんなにすてきなお花畑に出会えたらいいね、そう話しながらこの地を後にして小屋へ向かいます。

羽毛がすっかり霧に濡れて、しっとりしてます。
歩く先歩く先、羽ばたいてはこちらを見て立ち止まり、
追いつくとまた先に進む。
その繰り返しで登山道から離れようとしません。
追いかけてるのか導かれてるのか…
一人で霧の中を歩いている時にこの子に出会っていたら、いろんな空想にふけっていたと思います。
今日は感覚が抑制されて目の前のことを現実的に見つめてしまうだけなのでした。
再びクサリ場。
山小屋への分岐に着いた頃には
ますますガスガス。
そして17時半近くにようやく
五竜山荘に到着しました。
遅い到着も真夏ならでは。
五竜山荘レポートはこちらからどうぞ→
受付を済ました後は早速自炊室に移動して夕ご飯を作ります。
美しい夕景を見ることはできず夜は更けていきました。明日は朝から晴れる予定。
相談した結果、五竜岳の山頂までの道のりはクサリ場・ガレ場などあり夜目には険しいことと、途中の稜線上で日の出が見込める様子もないらしく、(実際は稜線からでも日の出が見える場所があった)
ご来光は小屋近くの白岳山頂から見ることになりました。
【二日目】
まだ真っ暗な内から支度。朝ごはんはしっかり食べて、大荷物は小屋にデポして白岳の山頂に向かいました。
今日の下界はかなり雲の分厚い曇り空。雲上の空もいまいちスッキリしません。
遠く、雲の海に浮かぶ八ヶ岳と富士山
今朝は天国のように輝いた景色(こんな感じの)は望めそうもありません。
五竜の山頂へ向かいました。今日中に唐松岳まで縦走するからまた戻って来なくちゃ…
唐松岳。あの稜線を歩くんだなぁ。今日の体調でいけるかしら
夕べは精神的に高ぶりがあったせいか全然寝付けなかったので、朝からどうも頭も体も重い。

もう五竜の山頂なんてどうでもいいー めんどくさいー
(また出た、めんどくさい病)
もし単独だったらいつもみたいに「面倒だから」ってやめちゃってたかも。 頭痛の時はほぼ確実にやる気がなくなります。
相方のSちゃんがいてくれたおかげで登りきることができました。
ぶーぶー言ってるプカプカをウザがるどころか、愉快がってくれたSちゃん、ほんとに花のようにやさしい人。
ごめんね、ありがとう


五竜岳山頂へ続く稜線は、岩峰の山腹辺りをトラバースしていく箇所が多くてその間は東の空(日の出の方角)が見られません。
トラバース道の様子→
でも途中で何箇所か、岩峰と岩峰の鞍部のようになった場所に出ると、東の空が見渡せる展望になります。
ご来光ハントの参考にどうぞ。
(五竜山荘レポにも日の出を見るためのマメ情報として少し書いてあります)
朝もやに沈む東の山々→
夏のにおい。