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山と葉っぱと猫が好き

ヘタレなりに独学で女性単独登山を楽しんでます。
悩んでくじけて、いつも一人で起き上がる。
山がわたしを育ててくれる。

乗鞍高原・三本滝 初めての一人山歩き

2006年05月27日 | ◇トレッキング/散策




[2010年9月 再編集]


初夏の乗鞍高原散策
このブログを始めるより二年前の2004年、長野県の乗鞍高原まで一人でドライブに行きました。
6月中旬の乗鞍高原は新緑が真っ盛り。


いつだって  貧乏     節約派のプカプカは、この日も当然
『下道 徹夜ドライブ』
千葉から一睡もしないで一般道だけ走って長野県まで行って、また一般道で帰って来たのです。
もちろん日帰りで!


千葉県から長野県の乗鞍高原って、そりゃもう遠いんです。
前日の夜に出発してもう朝の5時。7~8時間かけてようやく高原まで到着です。
6月は朝が早いですね。5時でもうこんなに明るい。







目的の畳平駐車場まであと数キロ。
そして目の前にはこれから目指す大好きな乗鞍岳さんの雄姿が







あと1,2時間もすればあの山頂のどこかに私がいるのねぇ…
なんて気分はもうルンルン。
と こ ろ が …
6月中旬は乗鞍高原から先が冬季通行止めだったのです。
ガビビーン

三本滝入口付近から畳平へ向う道路はゲートでふさがれてました。
「冬季」という言葉が高原地帯では6月にも及ぶって事を、この時のプカプカはまだわかってませんでした。

「徹夜で何時間もかけてやってきたのに、ここで終りなんて…」
そびえる乗鞍岳を目の前にして、手も足も出ないとは。

時間はまだ朝5時台です。気を変えればこれからどこへだって行けるはず。
なのに、プカプカはすっかり落ち込んで、やる気がなくなってしまいました…。
心の切り替えが下手なんですね。

他にどこか早朝の内に行ける山を探そうと、旅行雑誌を手に取ってみてもその気になれません。
「あーあ、このまま車の中で寝てから帰ろうかな…。こんないいお天気でそんなのつまんないなぁ…」
そんな時、停まっている車の窓から見えた「三本滝入り口」という文字に目が止まりました。

調べてみたら、滝まで片道30分位歩けばいいという簡単な内容。

でもこの当時のプカプカはまだ「一人で樹林帯の山の中を歩く」なんて経験がなく、
しかも早朝で他に人気のない山の中を女一人って、何かあったらどうすんの!?
などなど、持ち前の不安症で、とてつもなく怖い、危険なことのように思えました。

「あぁどうしよう…クマが出たらどうしたらいいんだっけ…」
「足を滑らせてどこかに落ちたらヤダだぁ…でも歩きたい気もするし…うぅ~ん…」

行く・怖い・行かない・行きたい・怖い・しかし・んがー・ふがー
悩みに悩んで“わたし会議”を繰り広げ30分経過。(30分も悩める自分が逆にすごい)
駐車場にはさっきから一台だけ車が停まっています。
三本滝に行ってる人の車とは限らないけど、

「きっと誰か先に行ってるはず。危ないことが起きたら大声をあげて助けを求めてみよう。
 もう 行くんだ、行くぞっ 初挑戦だ~!

サンダルをトレッキングシューズに履き替え、帽子をかぶり、
ドキドキしながら、おそるおそる滝へ続く散策路に入って行きました。

歩き出してしばらくは大好きな葉っぱの茂る木々に囲まれた喜びよりも、緊張や恐怖の方が勝ってました。
当然でしょう。本当に人っ子一人いない山の中を初めてひとりで歩くんですから…
周りの景色をゆっくり眺める心の余裕なんか、全然ありましぇん…

心臓がドキドキして苦しい…。
風に揺れる草の音なのか小動物か何なのか、時折ガサガサと音がするたびにビクビクッ
心の中で悲鳴をあげながら、小走りで進みました。(声に出して叫んだらもう恐怖に負けそうな気がしてた)
今となっては懐かしい初々しさです。


山の奥深く進んでいくうちに少しずつ、新緑の木々のあまりにも美しいことや、
どこかで聞こえる野鳥のさえずりの心地よさに、気づき始めました。

草葉がサワサワと揺れる爽やかな風の音色。
朝の木漏れ日を浴びて透ける若葉の美しさ。そういうものが全部感覚にしみこんできたのです。
   なんてきれいなんだろう…

さっきまで足早に進んでいたのに、次第にペースは遅くなり
木々を見上げて立ち止まったり、野鳥の声に耳を傾けて佇んだりする余裕が生まれてきました。

いろんな種類の葉っぱが並び合ってる。ああ、すてきだなー 山って面白いなー
 
なんだかすごーく気持ちがいい

今までは必ず誰かと一緒でした。おしゃべりしながら、笑いながらハイキングするのが常でした。
人が一緒の時は意識がそちらへも向かってしまうから、
自然をここまで体中で感じることができていなかったんだと、この日初めて気付きました。
怖いという感覚は人が一緒だとまぎれます。
気持ちいいという感覚もまた、人が一緒だとまぎれるんです。

単独っていうのはなんてすばらしいんですかねぇ…
この気持ちよさは、同じように単独を味わった人にしかわからないと思います。

いや、もしかしたら元々これが自分に向いていたのかもしれない…

今、山の中で自分がたった一人ということがすごい不思議で、
背の高い木々に囲まれた自分がとても小さく感じ、
それがとても心地よかったのです。
森の動物になったような心境でした。

歩いているとどこかから水の流れる音が聞こえて来たので進んでいくと、幅1m位の小川が流れており、その上には小さな橋が渡してありました。
冷たい山の水。乗鞍岳の雪解け水かしら。
小さな川が大好きです。
水の流れるチョポチョポ…チョロチョロ…という音が気持ちいい。
絶対ヒーリングパワーがあるに違いないぞ!
あぁ、この音をぼんやり聞いてるだけで体が楽になる…


やがて滝に近付いたのか ゴウゴウという大きな水音が。
吊り橋です。
水流が強くてすごい音。
なんだか怖くなりました。
でも上から見下ろす川の水は青く澄んでいてとってもきれい。



吊り橋を渡ると三本滝がありました。   着いた~!
そこでは先に来ていたおじさんが一人熱心に写真撮影をしていました。

私の撮った写真では何が三本なのかちょっとわかりませんけど「日本の名滝100選にも選ばれた 趣の違う三本の滝が一カ所に集まる所」なんです。
実際はすご~い大きい滝なんですよ。すいません写真がセコイです…

滝のすぐそばまで近寄れるようになっていて、そこにちょうどよく倒木があったので腰掛けました。

大きな滝から幾筋にも分かれる水の流れが、目の前の岩に小さな糸の滝を作っていました。
光の粒がぱらぱらと落ちてくる姿を眺めていると、頭の中が空っぽになっていきます。
粒の前にうっすらと虹が見えました。

滝を一人で眺めることも初めてです。
なんだろう、この気持ちよさ。この開放感。すべてが初めてだ…


来る時は下ってきた道を今度は登ります。
来る時は恐怖心と闘いならが下って来た道も、帰りは登りなのにすごくあっという間に感じました。
改めて落ち着いて眺める木々の葉っぱのまぶしさ、美しさ。たまりませんでした。
クマ遭遇の恐れのことなんかすっかり忘れて、何度も何度も、立ち止まっては木々を見上げていました。


車に乗って今度は白骨温泉に移動します。途中の車道でもう一度振り返り見る乗鞍岳。


乗鞍高原の展望スポットで有名な、橋の上からの景色。 うわ~ 新緑がたまらーん!


次に目指した白骨温泉では、のんびりお風呂に入ってから白骨温泉名物の温泉粥定食を久しぶりに食べました。
2007年に行った時の白骨温泉 公共野天風呂レポートです→

もうあれから二年になるんですね…。
プカプカの初めての「一人山歩き」の幕はこうして開かれたのです。

 三 本 滝sanbondaki(標高:1800m)
所在地: 長野県松本市安曇 乗鞍高原
駐車場: 三本滝レストハウス前にあり(無料)
トイレ: 駐車場敷地内にあり
問合せ: 0263-93-2147(乗鞍高原観光案内所)


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[2010年後日談:
今となれば写真に写る乗鞍岳の頂の雪を見て、この日の自分がたどり着けなかったのは正解だったと思います。
夏でも寒いのは知っていたとは言っても、6月の北アルプスの稜線はまだ雪でいっぱいのはず。
残雪の稜線の寒さまでは想定できてない程度の服装でした。トレッキングシューズだって布製だし。

この冬季通行止めのおかげで三本滝まで一人で行ってみることができたし、
これがきっかけで、また山の中を歩いてみたいと思えるようになり、
一人で高原のハイキングコースを歩く楽しみを覚えました。(八方尾根とか栂池自然園とか)
そしてやがて、今の単独登山に変わっていくのです。

プカプカが初めて登山をしたのは正確には2006年の黒斑山ですが、樹林の茂る山道を一人で歩き、
人と一緒の時には決して得ることのなかった感覚に目覚めたのは、この三本滝です。
事実上の単独行デビューってことですね。





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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Mr,Kuro)
2006-06-05 23:44:31
プカプカさん、こんばんは、Mr.Kuroです。

コメントありがとうございます。



乗鞍岳、私も昨年の夏に両親を連れていったのですが天候が...。

両親はこの写真の三本滝へ私は山頂へ、

しかしガスが出て何も見えずに下山。

残念でした。

プカプカさんの写真きれいですね特に新緑の

緑色が印象に残ります。それと、女性一人で

車を運転してそれも下道でなんてガッツありますね、感心します。私は無理です。

プカプカさんの自己紹介に書かれている

「木を見るのが好き。土の匂い,草の匂い,風に揺れる木の葉。山は好き...」私も同感です。山に行くと何となくうれしいんですよ。



さてさて、私は兵庫県の姫路市に住んでいます。ブログにあった明神山は姫路市にあり、

標高660m程度の山です。山頂はほぼ360度見渡せるため、結構私は好きです。観光客もあまりいませんしね。

それではまた、ちょくちょくお邪魔しますね。



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Unknown (プカプカ)
2006-06-06 00:38:26
ガッツって言うほどのものじゃないんですよ要するに貧乏なだけで。

一回でも多く山に行きたい、でも毎週毎週千葉から長野や山梨や群馬まで行ってたらお金がなくなってしまいます。

だから少しでも多く行くために、経費節約なんです。

いっそのこと引っ越してしまえばいいと思っているんですけど、まだそこまで人生設計が進んでおらず…

Kuroさんの人生の目標みたいにはいきませんが、私は山や田んぼや森がいつでも見えるような所に小さな古い木造の庭付きの家を中古で買いたいです。

庭には小さな畑を作って野菜を育てて、四季折々に違う花が咲く木を植えるんです。自分の子供はそういう自然に囲まれた所で育てたいと思ってます。

得意の料理の腕をふるって、毎日おいしくて健康に気遣ったごはんを食べさせたいです。

残念ながらまだ子供もだんなもいませんけどね



たいした人生設計じゃないですけど、しっかりとその姿をイメージして想像してます。あとは行動あるのみですよね。
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やってみれば (k,konishi)
2009-09-30 23:26:16
最近は山村も若い人が少なくなり、後を継ぐ人が無くなり空き家が増えているそうですよ。過疎になり村がさびれてゆくのを心配する人々が、「田舎暮らしをしないか?」と、空き家を提供してくれたり田舎生活を応援してくれるところが増えています。1か月ほどの体験生活をさせてくれるところも出てきましたよ。いろいろ考えずに一度試してみれば。案外簡単に溶け込めるかもしれませんよ。やってみれば?
返信する
プカプカより (◆k.konishiさんへ◆)
2009-10-03 23:58:38

あぁ、上に書いてあるコメントを読まれたんですねー
田舎暮らし、Iターン、いろいろ考えてますよ。三年前にこんなこと言ってる割に未だに進歩ないですけど…いろいろとありまして。
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