「姿勢保持のために広背筋が収縮するくせ」がついてしまうと、肩や腰を傷めやすくなります。
胴体が短くなり、内臓の居場所も少なくなります。
「姿勢保持のために広背筋が収縮する」と、腕で体を支える体制に入るため、腕・肘・手首を伸ばす筋肉(伸筋)も持続的に収縮します(注1)。
そうなるくせがついている人は「腕の力を抜いているつもりでも、いつの間にか力が入っている」ことが多いです。
ですから、そのような場合は「腕の力を抜く練習」を行うと、「姿勢保持のために広背筋が収縮するくせ」も改善できます。
このエクササイズは介助者が必要です。
1 いすに座ります(注2)。最初から最後まで、膝~足には力を入れないでください。
両腕は机にのせます。最初から最後まで、両腕には力を入れないでください。
2 あごを引き、背すじを伸ばします。
このとき、広背筋ではなく、大殿筋+短背筋群+腹横筋下部を50%位収縮させるよう意識します。
3 介助者は、片腕の前腕を軽くつかみ、不規則なリズムでわずかに回内・回外させます(注3)。
このとき、本人は回内・回外せず、ただ脱力しているように意識します。
4 介助者が腕を回内・回外させた際、抵抗がありスルスル動かない場合は、腕や広背筋が持続的に収縮しているサインなのでNGです。
また、介助者が腕を回内・回外させるのに合わせ、本人が腕を回内・回外する場合も、腕や広背筋に力が入っているサインなのでNGです(注4)。
5 NGの場合、介助者は「腕に力を入れないで」と指示しながら、回内・回外のリズムを変えてみます。
介助者が「腕の力が抜けている」と判断した場合は、「今はOK」と声かけします。
6 反対側も同様にします(注5)。
※1セット2回程度、1日2~3セット、週3~5日を目安に行います(注6)。朝・昼・晩など間隔をあけてください。
(注1)伸筋・屈筋をともに収縮させることで、腕を棒のように固める場合もあります。
(注2)腕の力がとても抜けにくい場合は、座位よりもまず仰向け(図13-1を参照)で行うとよいです。
仰向けでも腕の力が抜けにくい人は、就寝時も筋肉が収縮をやめないので過労→短縮の進行が早かったり、就寝中に肩や腰の痛みが悪化しやすかったりします。
仰向けでも腕の力が抜けない場合は、下腹部中央に介助者の手やタオルなどを置きそこに意識を集中したり、腹横筋エクササイズを行ったりすると、中枢(体幹中心部)が安定するため、末梢の余計な力が抜けやすくなります。
また、支持面のうち体重がかかる部分(座位の場合は坐骨、仰向けの場合は背面~おしり)が安定していることを感じたり意識したりすることも、余計な力を抜くのに有効です(いすやベッドはぐらつかないものを使用してください)。
しかしながら、このとき余計な力が入っているせいで本人の感覚が鈍っていると、安定していることを感じることができません。
その場合は、介助者が両手で骨盤の左右をつかみ支持面に数秒間押しつけると、安定していることを感じるので、余計な力が抜けます。
ただし、強く押しつけたり長時間押しつけたりすると、かえって血行不良となり感覚が鈍ったり褥創の原因となるので気をつけてください。
ちなみに、「左半身の安定&右半身の自在」となっている人の中には、仰向けでも体重を左に多くかけている人がいます。
その場合は左右均等に体重をかけるよう意識してください。
(仰向けでも、大殿筋の薄い方に骨盤は傾くので、気になる方は薄い方に折りたたんだタオルを入れ、大殿筋の厚さ不足を補ってください)
(注3)前腕をつかむ際、強くつかむと、強く回内・回外してしまいやすくなるのでNGです。
強くもしくは大きく回内・回外してしまうと、本人の力が入っている場合、本人の腕を傷めやすいのでNGです。
そのためには、介助者も背すじを伸ばし、広背筋や腕に余計な力が入らない状態で行ってください。
余計な力が入ると、力加減の調節が難しくなるため、前腕を強くつかみ強く回内・回外してしまいやすくなります。
それに、余計な力が入ると感覚が鈍ったり狂ったりしやすくなるため、「広背筋や腕が脱力できているか否か」の判別もしにくくなります。
(注4)「腕の力を抜いているつもりなのに、介助者が動かすと、つられて動かしてしまう」のは、「腕・肘・手首を曲げる筋肉(屈筋)や回内・回外する筋肉が、ちょっとした刺激で収縮しやすくなっている」からです。
冒頭でも述べましたが、「姿勢保持のために広背筋が収縮する」と、腕・肘・手首を伸ばす筋肉(伸筋)も持続的に収縮します。
よって、作業の際は、屈筋や回内・回外する筋肉が「伸筋に打ち勝つ強さ」で収縮しなくてはなりません。
すると、筋肉が頑張るため、ちょっとした刺激でも収縮しやすくなるのです。
しかし、このような状態だと、余計な力が入ったり、力加減の調節が難しくなったり、感覚が鈍ったり狂ったりして、繊細な作業がしにくくなります。
それに、このような状態だと、筋肉がとても疲れます。
よって、伸筋だけでなく屈筋や回内・回外する筋肉も過労となり、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となりやすくなります。
そのため、将来はさらに作業がしにくくなってしまうことになります。
すると、繊細な作業の練習や筋トレが足りなかったのだと考え、さらに行ってしまう人がいますが、そうするとA~Bが余計悪化してしまうことになります。
ですから、いつまでも上手に作業するためには、まず、しっかりと力を抜けるようになることが大切です。
(注5)「左半身の安定&右半身の自在」としてしまう人は「右に比べ左腕の力がより抜けにくい」ことが多いです(「書字の極意」の項を参照)。
(注6)広背筋や腕がうまく弛緩しない場合は、「腕の力を抜く練習」の回数を減らし、「腹横筋エクササイズ」「おじぎエクササイズ」「呼吸エクササイズ」などを先に行ってください。
胴体が短くなり、内臓の居場所も少なくなります。
「姿勢保持のために広背筋が収縮する」と、腕で体を支える体制に入るため、腕・肘・手首を伸ばす筋肉(伸筋)も持続的に収縮します(注1)。
そうなるくせがついている人は「腕の力を抜いているつもりでも、いつの間にか力が入っている」ことが多いです。
ですから、そのような場合は「腕の力を抜く練習」を行うと、「姿勢保持のために広背筋が収縮するくせ」も改善できます。
このエクササイズは介助者が必要です。
1 いすに座ります(注2)。最初から最後まで、膝~足には力を入れないでください。
両腕は机にのせます。最初から最後まで、両腕には力を入れないでください。
2 あごを引き、背すじを伸ばします。
このとき、広背筋ではなく、大殿筋+短背筋群+腹横筋下部を50%位収縮させるよう意識します。
3 介助者は、片腕の前腕を軽くつかみ、不規則なリズムでわずかに回内・回外させます(注3)。
このとき、本人は回内・回外せず、ただ脱力しているように意識します。
4 介助者が腕を回内・回外させた際、抵抗がありスルスル動かない場合は、腕や広背筋が持続的に収縮しているサインなのでNGです。
また、介助者が腕を回内・回外させるのに合わせ、本人が腕を回内・回外する場合も、腕や広背筋に力が入っているサインなのでNGです(注4)。
5 NGの場合、介助者は「腕に力を入れないで」と指示しながら、回内・回外のリズムを変えてみます。
介助者が「腕の力が抜けている」と判断した場合は、「今はOK」と声かけします。
6 反対側も同様にします(注5)。
※1セット2回程度、1日2~3セット、週3~5日を目安に行います(注6)。朝・昼・晩など間隔をあけてください。
(注1)伸筋・屈筋をともに収縮させることで、腕を棒のように固める場合もあります。
(注2)腕の力がとても抜けにくい場合は、座位よりもまず仰向け(図13-1を参照)で行うとよいです。
仰向けでも腕の力が抜けにくい人は、就寝時も筋肉が収縮をやめないので過労→短縮の進行が早かったり、就寝中に肩や腰の痛みが悪化しやすかったりします。
仰向けでも腕の力が抜けない場合は、下腹部中央に介助者の手やタオルなどを置きそこに意識を集中したり、腹横筋エクササイズを行ったりすると、中枢(体幹中心部)が安定するため、末梢の余計な力が抜けやすくなります。
また、支持面のうち体重がかかる部分(座位の場合は坐骨、仰向けの場合は背面~おしり)が安定していることを感じたり意識したりすることも、余計な力を抜くのに有効です(いすやベッドはぐらつかないものを使用してください)。
しかしながら、このとき余計な力が入っているせいで本人の感覚が鈍っていると、安定していることを感じることができません。
その場合は、介助者が両手で骨盤の左右をつかみ支持面に数秒間押しつけると、安定していることを感じるので、余計な力が抜けます。
ただし、強く押しつけたり長時間押しつけたりすると、かえって血行不良となり感覚が鈍ったり褥創の原因となるので気をつけてください。
ちなみに、「左半身の安定&右半身の自在」となっている人の中には、仰向けでも体重を左に多くかけている人がいます。
その場合は左右均等に体重をかけるよう意識してください。
(仰向けでも、大殿筋の薄い方に骨盤は傾くので、気になる方は薄い方に折りたたんだタオルを入れ、大殿筋の厚さ不足を補ってください)
(注3)前腕をつかむ際、強くつかむと、強く回内・回外してしまいやすくなるのでNGです。
強くもしくは大きく回内・回外してしまうと、本人の力が入っている場合、本人の腕を傷めやすいのでNGです。
そのためには、介助者も背すじを伸ばし、広背筋や腕に余計な力が入らない状態で行ってください。
余計な力が入ると、力加減の調節が難しくなるため、前腕を強くつかみ強く回内・回外してしまいやすくなります。
それに、余計な力が入ると感覚が鈍ったり狂ったりしやすくなるため、「広背筋や腕が脱力できているか否か」の判別もしにくくなります。
(注4)「腕の力を抜いているつもりなのに、介助者が動かすと、つられて動かしてしまう」のは、「腕・肘・手首を曲げる筋肉(屈筋)や回内・回外する筋肉が、ちょっとした刺激で収縮しやすくなっている」からです。
冒頭でも述べましたが、「姿勢保持のために広背筋が収縮する」と、腕・肘・手首を伸ばす筋肉(伸筋)も持続的に収縮します。
よって、作業の際は、屈筋や回内・回外する筋肉が「伸筋に打ち勝つ強さ」で収縮しなくてはなりません。
すると、筋肉が頑張るため、ちょっとした刺激でも収縮しやすくなるのです。
しかし、このような状態だと、余計な力が入ったり、力加減の調節が難しくなったり、感覚が鈍ったり狂ったりして、繊細な作業がしにくくなります。
それに、このような状態だと、筋肉がとても疲れます。
よって、伸筋だけでなく屈筋や回内・回外する筋肉も過労となり、A「乳酸・カルシウムがたまり、短縮・収縮したまま」~B「短縮がある程度進行したら、その後は収縮しないことで短縮の進行を防ぐ」となりやすくなります。
そのため、将来はさらに作業がしにくくなってしまうことになります。
すると、繊細な作業の練習や筋トレが足りなかったのだと考え、さらに行ってしまう人がいますが、そうするとA~Bが余計悪化してしまうことになります。
ですから、いつまでも上手に作業するためには、まず、しっかりと力を抜けるようになることが大切です。
(注5)「左半身の安定&右半身の自在」としてしまう人は「右に比べ左腕の力がより抜けにくい」ことが多いです(「書字の極意」の項を参照)。
(注6)広背筋や腕がうまく弛緩しない場合は、「腕の力を抜く練習」の回数を減らし、「腹横筋エクササイズ」「おじぎエクササイズ」「呼吸エクササイズ」などを先に行ってください。