F log
いえね、最初から 月刊「丸」 を買いに行ったんじゃないんですよ。
本当は 月刊「世界の艦船」8月号 が目的だったんです。
うっかり「丸」も買っちゃったばかりにすっかり 戦艦「扶桑」改装計画 に夢中になっちゃって。
「世界の艦船」の特集は 世界の新型水上戦闘艦 です。
加えて「シャルンホルスト」級のミニ特集もあるというのは KM 好きにはたまりません。
もっともいまさら姉妹の目新しい写真があるわけじゃないんですけどね。
で、世界の最新鋭水上戦闘艦を眺めていたんです。
某小説で大活躍の「フリーダム」級、スッと落ち込んでいる艦首だけは好みの「インディペンデント」級
あたりには 機能美の終焉 を感じずにはいられません。
表紙はジブラルタルにおける欧州共通ともいっていいミサイル駆逐艦 HMS「ドラゴン」です。
戦艦「扶桑」の様に背の高い前檣楼が好きとはいえ、このビヨーンと伸びた先に丸いレドームは萎えますな。
どうにもこうにもステルスを突き詰めると皆同じ形になってしまい個性がありません。
我らが海上自衛隊からはミサイル護衛艦「あたご」と汎用護衛艦「あきづき」がエントリー。
日本におけるイージスの代名詞である「こんごう」をベースとしたエースの「あたご」もいいんですが、
F の好みは護衛艦にしては珍しく “悪い顔” の 「あきづき」級 です。
以下2枚 海自HPより
おでこに大小 1 個づつのフェーズドアレイレーダーを備えた満載 6,800 トンのワークホースです。
「あきづき」級は後部フェーズドアレイレーダーが後楼(というかヘリ格納庫上)に分散配置されています。
本年度から建造が始まるという 25DD 級は「あたご」級のように艦橋前後にまとめられています。
個人的には分散配置の「あきづき」が好きですね。
先代「秋月」の長10cm砲に相当する長い槍、国産短 SAM システム 3 型 A に期待しています。
水上戦闘艦の話はここで終い。
「世界の艦船」8 月号で興味を惹かれた記事は、ブログタイトルにある PBCF (プロペラ・ボス・キャップ・フィン) についてです。
もう 8 年前になりますがブログを始めた頃、Untersee (2005 年 7 月 2 日)という記事で韓国海軍の増強について書きました。
韓国海軍がドイツから最新の通常動力型潜水艦を購入するという記事に触発されたものです。
ドイツ海軍が運用する現代の U ボート、212 型潜水艦は大好きなんですよ。
212A の U-34 です。
たいへんコンパクトでセイル前のハッチがアヒルのくちばしみたいでカワイイんですw
とはいえこの娘が本気を出すと怖いですよ。
記事によればこの 4 月に U-32 が AIP のみでドイツからアメリカまで 18 日で潜行状態のまま試験航行したそうです。
もう「可潜艦」とは言わせませんね。
トップ写真も U-34 です。
セイル横の扉の下に足場が出っ張っているところが好きです(どんだけニッチやねんw)。
前出の過去記事では ~U-31、U-32 が就役、U-33 も来年頭に公試を終え~ と書かれていました。
当然月日は流れるわけですから、U-34 も海に出ています。
その後 U-35 も就役して「世界の艦船」8 月号で、212A の最終艦バッチ2 の U-36 が命名式を迎えた様子がレポートされていました。
こうして見ると上の浮上している写真のイメージよりはデカいですな。
紙面では写真 3 枚のトピック扱いなのですが、最後の写真に潜水艦の命ともいうべきプロペラ部分がバッチリと写っているんです。
掲載の写真ではありませんが、7 翼のスキュードプロペラとキャップ部分からまっすぐ伸びた プロペラ・ボス・キャップ・フィン の様子がよくわかります。
これだけ明け透けにしかもアップで撮られていることに驚きです。
潜水艦の推進器といえば秘中の秘であり、昔は艦の前方からの撮影のみか写っていても厳重にカバーされてましたね。
別の 212 型。
カバーの下にボス・キャップ・フィンらしき突起が見えますが、バッチ 2 の U-36 のそれより明らかに短いですね。
そうそうこうして秘匿してくれないと。
フルオープンじゃ色気がありません(贅沢)。
バッチ 2 との違いは U-36 の X 翼稼働基部には整流フィンのようなものが見られますがバッチ 1 と思われるこちらにはありません。
更にバッチ 1 では採用されなかった耐圧殻非貫通式の潜望鏡もバッチ 2 では装備されているとのことです。
こちらはアメリカの SSN779 New Mexico です。
シュラウドリング付きのポンプジェット推進ですが、これまたガッチリとガードされていますね。
同装置は通常動力型潜水艦で使用するとかえって効率が落ちると聞いたことがあります。
Mk48 ADCAP 魚雷 に興味を持っていろいろ調べていた時期がありましたが、ポンプジェットの情報は極端に少なかったですねぇ。
もっともインターネット普及以前の話ですけど。
でも水中兵器はこれくらい神秘のベールに包まれていないと…と思ってしまうのは冷戦時代の名残でしょうかw
PBCF (プロペラ・ボス・キャップ・フィン) は、プロペラ後端のボスキャップ部分から発生する渦を減少させ整流効果による推進効率の向上を図るものです。
開発は日本の 株式会社商船三井 で、日本のオリジナル技術として世界 12 カ国で特許を取得しています。
PBCF ホームページ
技術的な詳細は こちらのプロモーションビデオ をご覧ください。
U-36 における PBCF は商船用と違って筒状の長いものですが原理は同じでしょう。
詳しい理論は物理学や流体力学の世界なので文系人間には難しいですが、日本発の海運技術として世界に誇れるものですね。
海自HPより
AIP といっても燃料電池の 「212A」級 と、スターリング機関を採用した我らが海自「そうりゅう」級。
「そうりゅう」級に PBCF が装備されているか否か、そもそもスクリューの形状は防衛機密で知ることができません。
排水量が異なるとはいえ省力化で差をつけられてますが、X翼 AIP のライバルとして「そうりゅう」級にも頑張ってもらいたいです。