F & F嫁の “FFree World”

※PCでの閲覧を前提とした構成です。文字サイズは「大」推奨です 

ローザンヌ・ガラ 2010

2010年08月11日 | Ballet

F log




ゾロ目バレエ 第 1 弾となるローザンヌ・ガラ 2010 を観に、F 嫁と青山劇場まで行ったのは酷暑が少しだけ和らいだ日曜日。
ローザンヌ国際バレエコンクールを経て世界に飛び出した俊英たちの里帰り公演として定着しつつあるガラ。


F はなんといっても大大大ファンである、英国ロイヤル・バレエの 崔 由姫 ( Yuhui Choe / チェ・ユフィ ) ちゃんを観るのが楽しみ。
F 嫁はベルリン国立バレエのプリンシパル、SHOKO さんが大好きなので、そちらも楽しみにしながら開場入り。


 





コンテンポラリーから王道のクラシックまで様々な踊りが繰り広げられた楽しいガラ公演だった。
とはいえ全体を公平に語ることが出来るほどバレエ的にオトナではない(笑) 良くも悪くも印象に残った演目、演者は…




神戸里奈さん/蔵健太さんの「眠れる森の美女」GPDD は、急遽参加が決定した急造ペアというハンデを比較的感じさせなかった。
より印象的だったのは、ロイヤルのソリスト蔵さんの安定したリード ( ←この書き方ボールルームダンスの影響だなぁ、自分w ) だ。
立ち振る舞いはノーブルでありながら、ケレン味を感じさせるほど自信に満ちた表情。 
やり過ぎ一歩手前で留まっているが、それが決して不快ではない。
いや日本人でここまでノーブルな王子オーラを放出できる人は少ないだろう。 
加えて長身でパートナーのケアも上手いとなれば、このダンサーの行く末が楽しみということになる。 




K-Ballet のペアが見せた「ロミオとジュリエット」のバルコニー PDD
唯一セットらしいセット ( やや低かったが ) を組んでもらったことに、荒井祐子さん/清水健太さんの両プリンシパルは見事に応えた。
荒井さんはあいかわらずキュートだし、小柄な身体のバランスがジュリエットの衣装によく似合う。 清水さんもの疾走ぶりもよかった。
ハッと魅せる華もあり確かに上手いこのおふたり。 後進をキッチリ育てていくのは K 氏の責務だと思う。




F は基本的に古典全幕原理主義者だ。
コンテンポラリーは苦手としているのだが、この日はそれを裏付ける演目と、ちょっと魅力的と思わせる演目があった。
金田あゆ子さん/横関雄一郎さんの 「譜と風景」 はもろに前者だ。
おふりがたいへん優れたダンサーだということは会場中がわかっていただろうが、それと魅力ある舞台だったかはまた別。
コンテの人にはある意味メインディッシュである中村恩恵さん/首藤康之さんの 「The Well-Tempered」 には刮目させられた。
中村さんというダンサーはそれこそダンマガなど見ていると凄い方なんだなぁとはわかるが、どうにも食わず嫌いだった。
今回初めて動く中村さんを観てその身体能力の高さに驚いた。 隅々まで力と気がみなぎり、凛とした存在感も素晴らしい。
受けた印象は両極端な2作品だが、その多くの要因は私見だが音楽にあるように思う。
コンテンポラリーはいままさに創造された舞踏であり、振付家が自由な想像力で音楽と身体の表現を結びつける。
そうなのだ、両者の圧倒的な隔たりは音楽なのだ。
後者のそれは大バッハ。 それも鍵盤楽器史上にそびえ立つ「平均律」である。
もちろん音楽としての優劣を問うているのではない。 
F が現代音楽より古典音楽を好む‥というだけの話だ。 あれ、となるとコンテと古典の話に逆戻りか(笑
とにもかくにも苦手としていたコンテでも、ダンサーの強烈な磁場と好みの音楽が組み合わさせれば可能性が見えた。
その意味でもこの両作品は興味深いものだった。




















そしてここからは F が指折り数えて待っていたこの日のハイライト。
英国ロイヤル・バレエの 崔 由姫ちゃんと平野亮一さん ペアによる 「 タイス 」 パ・ド・ドゥ である。


ロイヤル・バレエの来日公演では残念なことに大好きなチェ・ユフィちゃんを観ることができなかった。
ファンとしての 「 飢え 」 は今回のガラで少しは癒されたが、いかんせん短かった。PDD であり GPDD ではないのだものねぇ。


暗闇に平野さんが佇んでいる。 オレンジと茶色をあしらった衣装。 
サー・アンソニー・ダウエルによるというこの衣装、胸を大きくはだけたその姿はまず修道士には見えないがエジプトというならありか?


やがて上手からやはり鮮やかなオレンジの衣装、同色のヴェールを被ったユフィちゃんが登場する。
パ・ド・ブレで下手に移動。 その脚元だけで魅せる。 ああ、ユフィちゃんのジゼルも素敵だろうなぁ、と一瞬だけ夢想。


双眼鏡を持つ手にググッと力が入りブレる。 ああ、久しぶりに観る動くユフィちゃん。 オジさん感激である。


ヴェールを被ったエキゾチックな衣装はニキヤを彷彿とさせる。 スチルでしか見ていないがユフィちゃんのニキヤは可愛かったなぁ。
直立の姿勢ではないが、平野さんがヴェールをサッと取る。 ようやくユフィちゃんの素敵なお顔が見えるようになった。


可憐だ、あまりにも可憐だ。 可憐過ぎて娼婦には見えんが。
まぁ改悛しつつあるすれば、半分は神の僕なのか。


マスネの 「 タイス瞑想曲 」 はあくまで優雅で美しい曲。 
ふたりの舞も優美なことこの上ない。 特に毎度毎度絶賛しているユフィちゃんのアームスは本当に絶品。


リフトを多用するアシュトンの振付け。 とはいえマクミランのように生々しく絡みつく男女ではなくあくまで優美。 
ユフィちゃんの頭部を後ろから支えるような仕草、ポワントの先をツツツ~と滑らせるような振りが面白い。


平野さんはその身長を生かした大きな踊り。 しかしリフトを含めたパートナーの扱いは慎重過ぎるほど。
もう少し大胆でもよかったのではないか。 ユフィちゃんを空中に放り投げ、ガッチリと受け止めるところはよかった。


リフトされる側のユフィちゃんは磐石。 
空中での姿勢が柔らかさを表現しながらもガッチリ決まっているので、リフトする側はやりやすかったのでは。


ふたりが離れて平野さんがソロでピルエットを廻るために移動していく途中、彼の首飾りが舞台に落ちた。
かなり大きな飾りで、舞台のちょうど真ん中に落ちたのでハラハラ。 ふたりとも上手く避けていたのでよかった。


平野さんの背中に担がれて頭が逆さに下を向くユフィちゃん。 血流が頭部に集中しそうなものだが涼しい顔をしている。
「 タイス 」 としての役柄もあり、切なげな表情をずっとキープし続けたユフィちゃん。


平野さんが後ろから両手でユフィちゃんのお尻を支え、垂直にリフトするという大技がある。
申し訳ないけれどここでの平野さんのスカート捌きはいまひとつ。 もっともっと経験を積んで欲しいと思った。


平野さんと F の身長はほぼ同じ。 なるほど自分が舞台でユフィちゃんのとなりに立つとああなるのか‥との妄想炸裂 (笑
もっとも鍛え上げられたプロバレエダンサーの身体とメタボおやじでは、そのシルエットに雲泥の差があるわけだが。


やがて寄り添って踊っていたふたりが離れた。 
一瞬見つめ合ったまま静止し、ユフィちゃんがそっと近づいてゆく。 


いやな予感がした (笑


トウ立ちのユフィちゃんが平野さんに顔を近づけていったとき、あろうことか F は双眼鏡から目を外したのである。( ←バカ )
ふたりの唇が重なる瞬間、急激な焦点距離の変化に戸惑う老眼寸前の目には、ひとつのシルエットとして写った。 


やがてユフィちゃんはヴェールを再び纏い、静謐に消えゆく音楽とともにポワントのまま上手にゆっくりと捌けた。
ヴェールは俗世との隔たりを示し、平野さん演じる修道士から神のもとに去っていったのだ。


暗転後、盛大な拍手に包まれた会場。
再び緞帳が開いてふたりが前に歩き出した瞬間、僭越ながら 「 ブラヴォー 」 の一声を。


いやしかし短い。 あまりに短い。 
平野さんにしてもいろいろ書いてしまったが、舞台映えするダンサーだと思うし、ふたりそれぞれのソロが観たかった。


ユフィちゃんは俗世から決別し信仰へと進むタイスを、平野さんはそれに翻弄される修道士を見事に演じた。


「 タイス 」 パ・ド・ドゥと同時に候補に上がったという 「 春の声 」  そちらの演目だったらどうだっただろう。
にこやかに微笑むユフィちゃんが観られたのは間違いないだろうが、片手リフトなど難易度が高い技が目白押し。


「 春の声 」 をやるなら磐石なパートナーと踊って欲しい…というのはファンとしての願い。
コジョカル ちゃんとコボーのようにね。










F 嫁が楽しみにしていたベルリン国立バレエの両プリンシパル、SHOKO さんとヴィエスラフ・ディデックさん「 アダージェット 」
ふたりの踊りをこの日に観られたことだけで奇跡。 
舞台人 SHOKO だけではなく、中村祥子としての輝きも垣間見えたことをもって良しとすべきだろう。




















終演後、三年前と同様にユフィちゃんを応援する会主催のranranさんに食事会に誘っていただいた F & F 嫁。
図々しくも、しかしイソイソと指定されたお店へと赴く。


メイクも落としてリラックスした服装のユフィちゃんとご対面。
F はあいかわらす緊張して上手くおしゃべりが出来ない。 F 嫁が気を使っていろいろ話題を振ってくれた。


美味しい食事と旨いお酒に F の緊張もほぐれてきたが、ややほぐれ過ぎの面もあり失礼なお願いをしてしまった。
ユフィちゃんはにこやかにリクエストに応えてくれたが、プロフェッショナルなアーティストに対する態度ではなかった。


オジさん深く反省。


そうこうしつつも会は盛り上がって終盤へ。 ranranさんが用意した 「 We Love Yuhui 」 のプレートが乗った
ケーキが登場したときのユフィちゃんの嬉しそうな顔が印象的だった。


そういう点では頼りっきりなのだが、F 嫁がちょっとした小物をプレゼントとして用意してくれていた。
それをユフィちゃんに渡すと、そのお返しにとなんと…







E-3 / ZD ED 50mm F2 Macro



ほんの数時間前、本番で使ったポワントをいただいたのだ。





これには F & F 嫁もビックリして大感激。 オジさんは血圧が上下とも 20 は上昇した。
F が常備している ( 笑 ) ペンで、サインと日付け、演目を書いていただいた。


本当にありがとうございました。


また我が家の家宝が増えた。
しかしこんなに立体的なものは初めて。 さっそく展示ケースの選定に入らなければ。


お店を出たところで我々夫婦とも記念撮影をしていただき、タクシーで滞在先へと帰るユフィちゃんを見送った。
大阪での最終公演は今夜である。 また素晴らしい舞台をになることを確信している。











情報伝達の齟齬で当初、出演しないのではといわれていた時期もあったユフィちゃんと平野さん。
無事に踊った姿をみて本当に安心した。


今回舞台を観て、またその後に直接お話させていただき、ますますユフィちゃんのファンになった F である。
ほんとうに良いお嬢さんなのよ。 これからもユフィちゃんの舞台を見逃さないようにしたい。


成長していく過程であり、初役も次から次へとやって来るはず。
そのどれもが必見だと思われるが、古典の全幕は特に期待大なのである。


オデット/オディール、ジゼル、スワニルダ、シルフ、メドーラ・・・・・そしてジュリエット。


インタビューでジュリエットを踊るのが夢、との発言を読んだことがある。
たった数分の 「 タイス 」、たった 1 度だけのキスシーンであの反応を示した F のことである。


マクミランの 「 ロミオとジュリエット 」 全幕に F の心臓は耐えられるだろうか (笑
まぁそんな与太話はさておき。


これからも父親のように……いやそれは失礼だな。
遠い遠い親戚のオジさんオバさんとして、ユフィちゃんの活躍を心から応援したいと思う。

















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4 コメント

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す、凄ぉ~ぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (トミー)
2010-08-11 00:31:03
素晴らしく、やや偏り気味の(爆)レポ、楽しませて頂きました。
いやはや勉強になりました。

ユフィちゃまとお食事までされたとは、、、よかったですねー。(^^)vvv
本当に羨ましい限りです。
ぜひいつかご家宝をみせていただきたいです。
彼女のますますの活躍、ボクも応援しております!



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素晴らしい! (sora)
2010-08-11 01:46:27
ユフィさんが出られていたのですね。
Fさんのブログでお名前とソアレス?と踊ったロミジュリの花嫁候補(でしたっけ?)のyoutubeを観ました。ふわっとしてて素敵だなぁと思ったもので、ロイヤルで観られないかなぁと密かに期待していたのですが。
kissから目をそらすFさん。想像してしまいました(笑)
返信する
トミーさん、こんばんは!! (F)
2010-08-12 23:10:46
以前から偏り気味ではありましたが、今回のは「やや」なんてものじゃありませんね。
お世話になっている方々のおかげで、今年も楽しい思いをさせていただきました。
偶然の出会いから始まったご縁。大切にしていきたいと思います。
トミーさんにも機会があったらユフィちゃんを観て欲しいです。
その時は・・もちろんご一緒させていただきます。
返信する
soraさん、こんばんは!! (F)
2010-08-12 23:15:12
コメントありがとうございます。
お元気でしたか??
ユフィちゃんはまだファースト・ソリストということもあり、市中に出回っている映像は多くありません。
それでもロイヤル市販の映像作品などでは、徐々にソロなどの役がつきつつあります。
はやく主演の舞台が観たいものです。

いちいち目を逸らしていたら、「マノン」や「ロミジュリ」はまったく観られませんねぇ(笑)
困ったオヤジです。

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