F & F嫁の “FFree World”

※PCでの閲覧を前提とした構成です。文字サイズは「大」推奨です 

K-Ballet 『眠れる森の美女』 in Cinema

2016年12月04日 | Ballet

F log



2016 年 6 月 11 日、12 日の週末。
たった 3 公演のみ K-Ballet スプリングツアーとして 「眠れる森の美女」 が上演されました。

F、F 嫁ともに都合で舞台は観られなくて残念でしたが約半年後、映画館で観るシネマとして上映されることになりました。
当然勢い込んで前売りを購入しましたよ。

上映期間は 11 月 26 日(土)~12 月 9 日(日)という短期間でしたが何とかなると甘く見てました。
11月末は F が一年で一番忙しい時期、F 嫁もダンス関係のイベント頻出でふたりの都合がまったく合いません。

せめて夜の上映があればなんとかなったのですが、近隣のシネプレックスは 10 時、13 時と 1 日 2 回のみ。
結局今週末までとお尻が見えてきた日曜、一緒は諦めて別々に行くことにしました。

まず F が日曜 10 時の上映に向かいました。
F 嫁は翌々日、火曜日に行く予定です。





au AQUOS SERIE mini SHV33




窓口で前売り券を入場券に交換します。
お客さんの入りは 1/5 ~ 1/4 といったところでしょうか。

笑ったのは F を除く全員が女性。
親子連れも多くいましたが、すべて母・娘の組み合わせでした。

日曜の朝からクラシックバレエの映画を観に行く男は珍しい部類なのでしょう。









特典としてトップ写真のクリアケースとともに配られたのは配役表。
よく見ると今年 6 月 11 日(日)マチネのもので、その日が収録日ということなのでしょう。

F の目当ては主役であるオーロラ姫の中村祥子さんではなく、リラの精の 浅川紫織ちゃん あるのは言うまでもありません。
もちろん祥子さんは素晴らしいバレエダンサーであり尊敬していますが、当たり役といえるリラを踊る紫織ちゃんの魅力に抗えるはずもありません。






上映が始まって最初の印象は「画質」対する疑問でした。
シネマらしい落ち着いたといえば肯定的ですが、昨今ボリショイ作品の様な衣装の縫い目まで見えそうなくっきりハッキリのフル HD 画質に慣れていると物足りません。

フレームレートも低いのか、ダンサーのアームスの残像が目立ちます。
K-Ballet の映像作品は DVD で発売されますが、この様な収録では BD は無理なのでしょうか。

K-Ballet のパフォーマンスや舞台美術は素晴らしいので少しでも高画質で残してもらいたいです。



まぁ画質に対する違和感などは舞台が進行すればすぐに消えてしまいます。
K の全幕ものはそれだけ見応えがあります。

まずフロレスタン王のスチュアート・キャシディさんの存在感に圧倒されます。
気品があって華やかで、一国の王たる威厳も持ち合わせておりここら辺りは日本人ではなかなか表現しきれないところです。

5 人の妖精が踊った後、リラの精が 2 人にリフトされて登場します。
K のリラはリフトを多用しますね。

以前より定評のある紫織ちゃんのリラはとても素晴らしいです。

微笑みを湛えつつも凛とした雰囲気で他の妖精との格の違いを表現します。
ゆったりとしながらも的確なマイムは以前(かなり昔)と比べて段違いの成長を感じる美点です。

そして 5 人の妖精と横一列に並んで同じ振りを踊る場面が何回かあります。
その際、身贔屓ではなく本当に紫織ちゃんのポール・ド・ブラは抜きん出ているのです。

注目している訳ではないのについ目が惹き寄せられる。
優美なアームスはファンならずとも観る人々を大いに楽しませるのではないでしょうか。



K 初期のドン・キホーテ役等で名演を残すルーク・ヘイドンさんのカラボスもカッコよかったです。
「眠り」の中でカラボスは毎回その演技や存在感自体を楽しみにしている好きな役柄です。

カラボスといえば一般的には魔女ですが、バレエの舞台では男女とも演じられてきました。
F が好きなロイヤルバレエのダウエル卿のカラボス (1994年) は鋭利で恐ろしい、けれど品もある雰囲気を醸し出しています。

ルーク・ヘイドンさんのカラボスは咆哮する表情は怖いんだけどもう少し人間寄りというか。
糸紡ぎを落としてしまうところなどドジな部分もありなんだか憎めないですね。



クラシックバレエの舞台を映したシネマ作品ですから当然カット割りがある訳です。
基本的には舞台中央の主役を中心に、その時々で観るべき人がアップで捉えられており満足すべきものです。

ただニキヤの悲しみの舞いを一瞥だにせず、ガムザッティとソロルのやり取りを注視している F の様な天邪鬼には少々物足りないところもありました。
それでもこればっかりは生の舞台ではお目にかかれない素晴らしいカメラアングルに感動したシーンがあります。

それはカラボスがリラの精に撃退されて捨て台詞を叫びながら舞台下手に退場していく場面です。
カメラは上手側からリラの背中越しにカラボスを映します。

カメラは大きな口でこちらに向けて絶叫しながら逃げ去るカラボスに合焦している訳です。
必然的に手前にいるリラの背中はアウトフォーカスになっており、それがリラの神秘性を増しているように感じました。

もちろんそんな意図のアングルでないのは分かっていますが、あのほんの数秒のシーンにはたいへん感銘を受けました。




例によって重箱の隅をつつく様で本筋を捉えきれていないのが当ブログのバレエレポです。




第 1 幕になってやっと主役のオーロラ姫の登場です。
日本に活動拠点を移した中村祥子さんがオーロラを踊ります。

祥子さんの舞台は何度も観ていますが、毎回その盤石なテクニックと安定感には唸らされます。
今回も見事なローズ、終幕のパ・ド・ドゥと見応えたっぷりで文句のつけようがありません。

とはいえ祥子さん本人のどうしようもないところで F は複雑な思いを抱えてしまうのです。
ボリショイの映像でザハロワのオーロラを観た時に近い‥と言えるかもしれません。

F 個人における「眠れる森の美女」デフォは 2006 年収録ロイヤルバレエのメイソン版です。
言わずと知れたオーロラはアリーナ・コジョカルちゃん。

16 歳の誕生日にワクワクする音楽とともに登場して踊った後、フロレスタン王役のクリストファー・サウンダースに近寄ります。
長身のサウンダースが上から屈むようにしてオーロラの額に口づけするシーンが印象に残っています。

コジョカル熱がピークに達した 2002 年には渡英までしてコヴェントガーデンで「マイヤリンク」の初役を観に行きました。
その熱も覚めやらないままに観た「眠り」の映像作品には強く影響を受けました。

今から思えばコジョカルのオーロラはロイヤルスタイルではなかったのかもしれません。
しかし 1994 年のヴィヴィアナ・デュランテしかり、オーロラは小柄で愛らしいという刷り込みがされているのです。



祥子さんが愛らしくないという意味ではありません。
登場時の無邪気にパ・ド・シャも可愛かったし、4 人の王子を見てはにかむ仕草も素敵でした。

大胆なフィッシュを含むローズはもちろん、結婚式でのパ・ド・ドゥでは王子とともに素晴らしい踊りを楽しみました。
祥子さんのオーロラについては本当に好みの問題で、素人がその存在についてあれこれ言う余地はありません。







遅沢さんのフロリムント王子も端正で素晴らしかったです。
長身の祥子さんがポワントで立っても遜色のない体躯、派手さこそありませんが K の男性陣随一の安定感です。

K の王子はリラの精に導かれはしますが、最後は自ら闘ってカラボスを打ち倒します。
その逞しさを遅沢さんは見事に表現していました。

前述しましたが最後のパ・ド・ドゥでは祥子さんを見事にサポートしつつ自身も輝いていました。
特にコーダは本当に踊るふたりが一体化してまるで火の玉でした。

最後の最後、マントを羽織って登場したおふたりは素敵でしたね。
「眠り」における王子の出番は少ないものの、遅沢さんの存在感は確かで舞台を成功に導いていました。




結婚式に登場する数々のキャラクターの中では、宝石精たちのパ・ド・トロワに惹かれました。
女性二人も素晴らしかったですが、唯一の男性である井澤さんが見事でした。

ふわりと優雅に浮くジャンプ、キレのある動き、ノーブルな立ち振舞いで目を引きつけられました。
井澤さんはファーストソリストですが、もっと上を目指せるダンサーだと思いました。



長靴を履いた猫で白猫を踊った湊まり恵さんも素晴らしかったです。
エンドクレジットにも登場する様に K のアシスタント・バレエミストレスを努めてもいます。

仮面を着けたままなんですが、その雄弁なつま先で F を魅了しました。
セクシーでありコケティッシュであり、今まで観た白猫の中で最も好きな猫です。



青い鳥ではフロリナの湧田美紀さんが可愛らしかったですね。
ブルーバードの池本さんの驚異的な跳躍と身体能力は特筆すべきですが、K を離れてしまわれた様で残念です。

最後舞台の下手から上手にふたりで手を取りながら移動する場面ではもう少しふたりに一体感が欲しかったです。
ここの個人的なデフォはユフィちゃん&キャンベル君なんですが。

ファーストアーチストの湧田美紀さんはフロリナらしい品があって好きなダンサーなのでちょっと注目です。






アポテオーズが流れると世界バレエフェスティバルを思い出してしまいますね。
ゴージャスな K の舞台でも登場人物たちが一同に会しエンディングを盛り上げます。

ここでも最後の最後にリラの精が登場します。
幕が下りる間際には登場時と同様、ふたりに高々とリフトされ結婚したふたりを上空から祝福します。

やはり紫織ちゃんのリラは良いです。
今日はひとりでの鑑賞でしたが、火曜日に観る予定の F 嫁の感想が楽しみです。

超個人的な感想を羅列しました。
F 嫁は明後日にやはりひとりで鑑賞する予定ですが、その後追記もしくは怒りの訂正をするかもしれません(笑)
それはそれで楽しみにしています。













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