F & F嫁の “FFree World”

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長野バレエ団定期公演「眠れる森の美女」

2018年08月23日 | Ballet

F log



2018年8月19日(日)、F & F 嫁は長野バレエ団の定期公演を観るため長野にいました。

じつは前日から長野入りしており、F 嫁のリクエストによる某所へと足を延ばしました。
そのお話についてはまた後のエントリーにて。


どうして長野バレエ団を観に来たかといえば、我々夫婦が応援している K-Ballet プリンシパルの浅川紫織ちゃん が出演するからです。
長野出身の彼女は長野バレエ団の OG でもあるのです。

とはいえ新幹線と宿代を使って長野まで駆けつけたのは、彼女がこの秋に現役ダンサーを引退していまうからに他なりません。

オーラスの K-Ballet 公演「ロミオとジュリエット」楽日はもちろん押さえてありますが、今回の演目である「眠れる森の美女」の
オーロラ役はこの公演が最後となります。

小さな舞台はおそらくあるものの、全幕主役でのクラシックチュチュはこの日が見納めとなりそうです。





日曜朝、早朝からとある場所に行き、ホテルで朝食を摂った F & F 嫁はチェックアウト後、長野駅に荷物を預け、
会場であるホクト文化ホールへと向かいました。
住宅街にそびえ立つホールは大変立派なもので大、中、小と大きさの異なるホールを備えています。

ロビーで待っている間、このホクト文化ホールがウィーンの楽友協会ホールと姉妹提携していると知りました。
壁面いっぱいの公演フライヤーを見てもとても充実しており、文化発信度の高い施設だと感じました。

長野バレエ団については地方の一バレエ教室という括りではとうてい収まりきらないレベルの団(そもそもバレエスクールではない)で、
傑出した活躍をする卒業生を数多送り出しております。
浅川紫織ちゃんもその一人であることに間違いありません。



長野バレエ団









RICOH GR


さて御大やカンパニーからの生花が並ぶ入り口を抜けて大ホールへ入場します。
プログラムは800円で販売されていましたが、残念ながらスタッフの方々が着用している鮮やかなブルーの長野バレエ団Tシャツは
市販していないそうです(笑)


シートは 1 階後方でしたが、とても観やすいホールです。
そして座席はほぼ満席。我々の様に団に関係なく観に来られた方々も相当いそうですね。


SHV41










「眠れる森の美女」全幕の前にバレエ団全員顔見世の「オープニング」、そして「アイレス・デ・アンダルシア~アンダルシアの風~」という
いわゆる発表会形式の小品がありました。
小品といっても団に所属するちびっ子からシニアクラスの生徒さんまでたくさん出演されていました。

ここだけ観るとよくあるバレエ教室の発表会みたいですが、そのレベルの高さには驚嘆しました。
なにしろ一番小さなお子さんであってもレヴェランスの所作から見事なのです。

さらにポワント履き始めのお子さんたちも、ポージングから次の動きに移る際に心憎い「タメ」があるのです。
これは素人が言葉で説明するのは難しいのですが、とにかく見事な表現力です。

そして全員に共通するのはその素晴らしい表情ですね。
もちろん中にはテンパって硬直しているお子さんもいましたが、総じてよい笑顔が並んでおりました。

長野バレエ団は練習が厳しいことで有名らしいでずか、この一演目を観ただけでそれは感じられました。
それが数多の OG OB を輩出する源泉となっているのでしょうね。



浅川紫織ちゃんを K のドン・キで発見したときもそうでしたが、F & F 嫁が同時に「あのダンサー良い!」と一致する事があります。
(初台で紫織ちゃんを見初めた時もまったく同様でした)
今回「アンダルシアの風」でセンターを務めた長野バレエ団 OG の 桐山結衣さん はふたりとも注目すべき踊り手と捉えました。

パンフレットによれば桐山結衣さんは長野バレエ団の後、名門ボリショイバレエ学校に留学し現在は東京シティバレエ団に属しているそうです。
シティなら家からも遠くないし、今後注視していきたいバレエダンサーだと思いました。



※追記

その後の情報で桐山結衣さんは K-Ballet のオーディションを経て、この秋から順団員として K で踊る事になったそうです。
浅川紫織引退後もウチは K-Ballet から離れられない様です(笑)









「眠れる森の美女」


プロローグ -オーロラ姫の洗礼式-

オケピは無く音楽は録音ですが、すぐに気にならなくなりました。
舞台背景もプロのゴージャスな装置に比べたらシンプルですが、地方のバレエ団としては充分過ぎるほど立派なもの。

シティから賛助出演の男性ダンサーや団の教師が主要な役を務めるだけあってしっかりと骨太な舞台でした。
幹がしっかりしているので枝葉である生徒さん…いや長野バレエ団では「研究生」と呼ばれる子どもたちもしっかりと務めていました。

立役の貴族たちも少しお姉さん、妖精たちと呼ばれる小さなお子さんたちも観ていて不安がありません。
舞台周辺でのマイムも自然。いや~これは相当指導されているなぁ。



眠りのキーパーソンであるリラの精は長野バレエ団の教師である齋藤愛里さんで温かみがあってリラらしいリラで巧い。
リラ配下 5 人の妖精の内、4人は高校生クラスの研究生でした。

彼女達もみな素晴らしかったのですが残りの1人、勇気の精を踊った桐山結衣さんはやはり好きな踊りでした。
ここでも F 嫁との意見が一致。彼女は終幕の宝石にも出演するそうで楽しみです。


もうひとりのキーパーソン、カラボスは長野バレエ団副団長の倉島彩納さんが演じました。
これまた大きな迫力あるマイムを伴った圧巻の演技。

カラボスの手下は可愛らしい 4 人の黒衣の女の子でした。
一瞬数が少ないか‥と思いましたが、とてもダイナミックな踊りでまったく不足を感じませんでした。

カラボスの倉島副団長は今回の「眠れる森の美女」演出・振付を一手に担われたそうでそのご苦労は大変なものだったでしょう。
倉島副団長が長野バレエ団に携わった経緯をお聞きしてたいへん感銘を受けました。

それだけの覚悟を持ってこの伝統あるバレエ団を担っていこうと思われた決意に敬意を表するものであります。








第 1 幕 -オーロラ姫16歳の誕生日-


第 1 幕となりやっとお目当ての浅川紫織ちゃん登場です。
チャイコ先生の期待値たっぷりのイントロとともに下手奥から紫織オーロラがやって来ました。

いや~美しい!!

見事な刺繍のクラシックチュチュがたいへんお似合いです。
オーロラ出のヴァリエーションは 16 歳の輝きを表現しなければなりませんが見事に成功していたと言えましょう。

個人的にはパ・ド・シャが可愛く見えるかを基準にしていますが紫織オーロラはバッチリでしたね。
うんまったく個人的な意見ですが(笑



オーロラに求婚する 4 人の応じは東京シティバレエ団から賛助出演の男性ダンサー達です。
ローズ・アダージョはリハの時間もあまり無かったでしょうけど良い出来でした。

紫織ちゃんのバランスも良く、王子の入れ替わりで若干もたついた部分があったもののウットリと見ることが出来ました。
事このあたりに及んではもう生オケなのか録音なのかも意識しなくなり舞台に没頭できました。



F が幕間に F 嫁に話したのは 4 本のバラの扱いでした。

4人の王子からバラを 1 輪づつもらったオーロラは、上手の玉座に居る父母の元に持っていきます。
舞台やよってはバラを玉座の足元にポンと放り投げる演出もありますが、長野バレエ団では丁寧に母親である王妃に手渡ししました。

細かな箇所ですが F はたいへん気に入っています。
演出・振付の倉島先生ありがとうございます。



オーロラが幸せに囲まれ幸せの内に踊っていると、老婆に変装したカラボスがやって来ます。
糸紡ぎを直で渡す場合もありますが、倉島先生の演出は糸紡ぎを仕込んだ花束を渡すというものでした。

キレイな花束をもらったオーロラは喜んでさらに踊りますが、見ず知らずの人からもらった花束に王妃は心配そうに見守ります。
その心配が的中してオーロラは指先を針で突いてしまいます。

オーロラは意識を失い 4 人の王子に担がれて退場していきました。
その後は大混乱に陥る城内をリラの精が静め、城全体を百年の眠りにつけて第 1 幕は終わりを告げました。



いや~紫織ちゃんのオーロラ素晴らしかったですね。
これは言っても詮無いことですが「引退」という事が未だに信じられません。

幕間に紫織ちゃんの母上にご挨拶しました。今日もバレエ団のスタッフとして受付等の業務をされているとのこと。
キャスト変更(後述)による混乱や、この舞台にかける倉島大先生の思い、紫織ちゃんの近況などお話を伺う事が出来ました。









第 2 幕 -100年後の森の中~目覚め-


さて K-Ballet からもうひとりの賛助出演である宮尾俊太郎さんがデジレ王子として出演する第 2 幕です。
ところが大ホールに入場した途端、この張り紙を見て驚愕。



RICOH GR



なんとデジレ王子役の 宮尾俊太郎さん が怪我で降板、急遽同じ k-Ballet から 堀内將平さん が踊る事になったのです。
バレエダンサーに怪我は付きものとはいえ、紫織ちゃん最後の長野で息の合った宮尾さんと踊らせてあげたかったです。

また F & F 嫁が紫織ちゃん目当てで長野まで来たのと同様、宮尾さんのファンで遠征した方も少なからずいらしたはず。
その無念はいかばかりでありましょうか。

堀内さんは宮尾さんほど上背は無いものの、端正なダンサーで好印象でした。
デジレ王子が狩りにやって来る場面もお付きの人々を省略してリラの精につなげる演出で巧みでしたね。

リラがオーロラの幻影を見せ、それに魅せられたデジレ王子がオーロラが眠る森の奥の城に向かいます。

通常はここでカラボスとの対決が見られるのですが、倉島副団長の演出ではカラボスを登場させません。
デジレ王子はリラの精に導かれて城を訪れ、眠っているオーロラにキスをします。

ここは第 3 幕を見据えたスピーディーな演出ということでしょう。
ただ倉島カラボスがもう一度見たかったので残念ではありました。


宮尾さんの怪我の一日も早い治癒をお祈りします。










第 3 幕 -オーロラ姫とデジレ王子の結婚式-


幕ごとに休憩が入った長野バレエ団「眠れる森の美女」ももう終幕。
ハッピーエンド中のハッピーエンド、オーロラとデジレの結婚式です。

ご承知の通り華やかな式で、おとぎ話の数々のキャラクターがお祝いに駆けつけます。
白い猫、シンデレラ、赤ずきん、フロリナ王女と研究生達が踊り、相手役はシティの男性陣が務めました。

いやみんな上手いなぁ。
本当にこのあたりでは普通のプロの公演を観ているといっても違和感ありませんでした。

「宝石」ではダイヤモンドがバレエ団教師である森畑先生、銀が研究生、そして金は前述した桐山結衣さんでした。
これで三度目ですが、やはり桐山さん良いです。

長い四肢と首、踊りにメリハリがあってアラベスクひとつとっても大きく空間を感じる素敵な舞いでした。



各キャラクターの露払いが終わり、いよいよオーロラとデジレの登場に大きな拍手が湧きます。
これから最後の見せ場であるグラン・パ・ド・ドゥです。

ドン・キの様に空中戦こそないものの、フィッシュ三連発などふたりのペアリングが求められるパ・ド・ドゥです。
そのフィッシュ三連発では堀内さん健闘しましたが、さすがに脚の踏ん張りを感じさせてしまいました。

とはいえ大きな破綻もなくアダージョは終了。
デジレのヴァリエーションでは堀内さんの躍動に会場内から大きな拍手が送られました。


オーロラのヴァリエーションでは思わず落涙しました。


幸せの絶頂のはずなのに… もちろん紫織ちゃんも端正に丁寧にヴァリエーションを踊っていきました。
しかし本当にこれで見納めなのだと思うとたまらなく悲しくなります。

指先つま先まで神経の行き届いたヴァリエーションは体感あっという間に終わってしまいました。
自分の語彙の乏しさを嘆くばかりですが、本当に素晴らしかったです。


その後はチャイコ先生の音楽の盛り上がりとともにグラン・パ・ド・ドゥも終焉へ。


堀内さんのサポート力不足(ごめんなさい今回だけはそういう事にしておいて)で若干回転に不安を残したものの、
長野バレエ団「眠れる森の美女」を締めくくる大団円は万雷の拍手、歓声とともに終わりました。

終わってしまいました。










いや泣けました…マジで。

楽しい時間は速く過ぎますが、この日などその最たるもの。
カーテンコールもプロの舞台の様に積み重ならず、最小限でしたから拍手し足りません(笑)

最後に細かな紙吹雪が舞ったのは粋な、そして感動的な演出でしたね。
カテコでの紫織ちゃんの充実した表情、長野バレエ団団長のカリスマ倉島大先生のスピーチも感動的でした。

団長、副団長の両倉島先生、教師の先生方、ちびっ子からシニアまで研究生の方々、賛助出演、OB OG 応援出演のダンサー
そしてスタッフとして裏方を支えた研究生達のご家族様、本当に素晴らしい舞台でした。









RICOH GR




終演後のロビーはバレエ教室の発表会よりもやや大人な雰囲気。
F & F 嫁は再び紫織ちゃんの母上にお会いできないかと入り口付近で待っておりました。

そうしたら出てくる観客の中にお馴染みの長身美女が‥
やはり浅川紫織ファンで出待ちでよくお会いし、拙ブログにも時折コメントいただける N さんでした。

ご友人 4 人とともに長野まで遠征してこられたそうです。やはりそんな紫織ファンがここにもいました!!
お話を聞くと我々同様、土曜日から来られ同じような旅程(これについては後日)を辿っていた事が分かり笑いました。

N さんは紫織ちゃんの本当の最後のツアー「ロミオとジュリエット」のチケットも押さえてあるそうです。
ただ残念ながら F & F 嫁とは別の曜日なのだそうです。

N さん、ご友人の皆さんもお疲れさまでした。
10 月までもう僅かですが最後まで一緒にバレエダンサー浅川紫織を応援しましょう。




最後にホール出口で再び紫織ちゃんの母上とお会いできました。
拙い感想を述べ長野まで導いてくださった御礼を言い、再びロミジュリでお会いしましょうと伝えてお別れました。

灼熱の関東地方に比べ、土日の長野はとても涼しい気候でした。
その中でバレエダンサーとしての浅川紫織を育んだ長野の地、長野バレエ団の全幕を初めて観られた事はたいへん幸せでした。

長野バレエ団の今後益々のご発展をお祈りします。
厳しく的確な練習指導で、これまで同様またこれまで以上に世界に羽ばたくダンサーを輩出していくことでしょう。







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2 コメント

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こんにちは‼︎ (N)
2018-09-04 18:05:26
なんだか登場しにくい文面いただいて恐縮です(笑)
相変わらずの素晴らしい解説、ありがとうございます!!
幸せな時間のはずなのに、なんだか悲しい気持ちになったこと、とても共感しました。まだ引退が受け止められずにいます...。でも、長野まで追いかけて行ってよかったです。笑

ロミジュリの日にちが違うのはとても残念ですが、精一杯客席からエールを送りたいと思います!!日曜日は本当の引退公演ですから、そちらのレポも今から楽しみにしております。毎回プレッシャーをお掛けしてすみません。笑

実は、いつしかご夫妻に会えることが紫織さんの舞台を観に行くことの楽しみの1つになっておりました(o^^o)出逢いに感謝致します。

これからもちょこちょこ覗かせていただきますね(^^)
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Nさん、こんばんは!! (F)
2018-09-04 21:09:36
いいえ、これでもまだ控えめな表現です(キッパリ)

紫織ちゃんの舞台を観に行ったはずですが、長野バレエ団の底力に圧倒されました。
彼女があそこまで成長したのはこの厳しい団での日々が素地になっているからだと確信しました。
もちろん彼女のパフォーマンスも最高でしたね。

ロミジュリは本当に楽しみではありますが、その日が来て欲しくない複雑な心境です。
難儀な仕事が入らず予定通り楽日を観に行けたら渾身の力で目、耳はもとより全身で感じたいと思います。

いつも老夫婦を気にかけて頂きありがとうございます。
ブログは新幹線編~戸隠神社編~長野の食編~善光寺編と延々と続きますのでお時間許せばぜひご覧ください。
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