経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

バイデン大統領 働らく! (下)

2022-08-25 07:31:28 | アメリカ
◇ 格差の是正にも乗り出す = インフレ抑制法案のなかで、最も重視されているのは大企業に対する課税強化。アメリカの法人税は21%だが、大企業のなかには各種の控除制度を活用して節税しているところも多い。たとえばアマゾンやインテルは13%、ファイザーは7%の法人税しか払っていない。この大企業優遇を是正するため、どんな場合でも最低15%の法人税を支払わせることにした。

さらに企業の自社株買いに対しても、来年から1%を課税する。また個人の富裕層についても、徴税を強化するため税務署の体制を見直すことになった。その一方で個人に対しては、主として医療の面から負担を軽減する。薬価の引き下げと医療保険への補助金が、その中心。こうして国民の間で不満が高まっている貧富の格差を是正することに、一歩を踏み出したと言える。

こうした結果、財政面でも歳入が歳出を上回り、10年間で3000億ドルの赤字が削減される。これがインフレ抑制につながるというわけだ。ただ、これでアメリカの格差是正が大きく進むとは考えられない。その一歩を踏み出したという方向性が、重要なのだろう。現地のメディアは「資本主義の修正だ」と解説した。いわば‟新しい資本主義”である。

大企業寄りの共和党議員が議会で半数を占めるなか、バイデン大統領は健闘したという評価が高い。最近の世論調査では、支持率が40%にまで回復した。アメリカ経済の構造改革にもつながると考えられたからだろう。一転して日本の状態をみると、岸田首相の‟新しい資本主義”は言いっ放しの感じ。少しも具体化されていない。だから岸田内閣の支持率も下がっている。

        ≪24日の日経平均 = 下げ -139.28円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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バイデン大統領 働らく! (上)

2022-08-24 07:30:05 | アメリカ
◇ 重要法案が相次いで成立 = アメリカで2つの重要な経済法案が、次々と成立した。半導体法案とインフレ抑制法案(歳出・歳入法案)である。いずれもアメリカ経済の構造改革を促進する力を持っており、企業活動や国民生活に及ぼす影響は大きい。議会で与野党の勢力が拮抗するなか、中間選挙を前にバイデン大統領が得点を挙げたとみられている。

半導体法案は、半導体の生産や研究開発に527億ドル(約7兆1000億円)を支出する内容。中国との競争を意識したもので、特に半導体の国内生産を重視する。このため国内の生産工場に対して、5年間で390億ドルの補助金を支給することになった。これまでアメリカの半導体メーカーは中国を含む海外生産の拡張に努力してきたが、今後は国内回帰に転換することになりそうだ。

インフレ抑制法案は歳入・歳出法案とも呼ばれてきたが、最終的にインフレ抑制法案に統一された。予算規模は4300億ドル(約60兆円)。その内容は、気候変動対策と大企業に対する課税強化の2つに分かれる。このうち気候変動対策は、EV購入者への税額控除と再生エネルギー普及のための補助金が主柱。EV購入者は最大7500ドル(約100万円)の税額控除を受けられるが、対象となるエコカーは「北米で最終組み立てが行われた車」に限られる。

半導体とEVは、急速な発展が期待される最も重要な戦略産業。これらを国内に囲い込もうとするバイデン政権の政策が、きわめて明瞭になった。こうした政策はこれまで中国の独擅場だったが、アメリカも政府が先頭に立ってこれら産業の育成を支援する。ここでも米中の対決が始まるわけで、日本の半導体・自動車メーカーにとっても大きな影響は免れない。

                       (続きは明日)

        ≪23日の日経平均 = 下げ -341.75円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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株式市場は 別世界??

2022-08-23 07:48:58 | 株価
◇ 債券・商品市場は景気後退を警戒 = 株式市場の空気が明るい。ニューヨーク市場では先週、ダウ平均が一時的に3万4000ドル台を回復。次の目標は3万5000ドルだという楽観論も広まった。東京市場でも日経平均が2万9000円前後まで戻し、あと400円ほどでことしの最高値を更新しそうな勢い。利益確定売りは出そうだが、市場の楽観論は消えそうにない。

ところが、債券市場や商品市場の空気は重苦しい。アメリカでは10年もの国債が買われて、長期金利はひところの3.5%から2.8%前後に下落した。WTI(テキサス産軽質油)の先物相場も、1バレル=114ドルから90ドル前後に低落。金や非鉄金属も値を下げている。いずれも景気の先行きを警戒した動きだ。このように株式市場と債券・商品市場の空気が全く違ってきたのは、なぜだろう。

いまアメリカやユーロ圏では金融引き締め政策が進行しており、景気後退は避けられないという見方が強まっている。加えて中国の景気回復も遅れがちだ。すると需要が伸びないから、商品の価格は下がる。また比較的に安定した国債を買う動きも出る。これらは自然の成り行きだとも言えるだろう。だが、どうして株式は売られないのだろう。

たとえばアメリカの場合。金融引き締めは始まったばかりだから、市中にはまだ豊富な資金が存在する。したがって投資家は、その資金をどこかで運用しなければならない。景気が後退するとしても、企業業績が悪化するまでには時間がかかる。FRBの引き締めが和らぐかもしれない。それまでは株式を買えるのでは。こうして現在の株式市場は‟別世界”となりつつある。もちろん、そんな時間はきわめて短く、株式市場もすぐに暗転するという見方も少なくない。現実がどうなるかは、間もなく判るだろう。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -135.83円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2022-08-22 07:24:37 | 株価
◇ 株式市場は楽観ムード = ダウ平均は先週54ドルの値下がり。終り値は3万3707ドルだったが、火曜日には3万4000ドルに到達した。5月上旬以来の高値である。さすがに利益確定売りが増えて株価はやや反落したが、市場は楽観ムードに包まれている。物価の上昇率がわずかに鈍化し、長期金利も2.8%台で落ち着いているためだ。パウエルFRB議長の「いずれ引き締めの程度は和らぐだろう」という発言も、楽観論を元気づけた。

日経平均は先週383円の値上がり。終り値は2万8930円だったが、17日には2万9000円台に到達した。1月上旬以来の高値である。東京市場でも、楽観論が優勢となっている。その1つの要因は、ドル・ベースでみるとまだ1月の高値に比べて13%も低いこと。それだけ割安感が強く、外国人投資家にとっては魅力が大きい。

ニューヨークでも東京でも楽観論が強いから、重大なマイナス材料が発生しないかぎり、株価は上昇基調を続けそうだ。ダウ平均は3万5000ドル、日経平均はことしの新高値を目指すことになる。ただ、そこまで上昇すると、利益確定の動きも活発になるだろう。株価がそこを突き抜けて新たな環境に進めるかどうかは、主として企業業績の見通しにかかってくると言えそうだ。

今週は25日に、7月の企業向けサービス価格。26日に、7月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、7月の新築住宅販売。24日に、7月の中古住宅販売。25日に、4-6月期のGDP改定値が発表される。

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (126)

2022-08-20 07:20:40 | なし
◇ 死亡者はウソをつかない = 世界の感染者は累計5億9328万人、この1週間で580万人増加した。この増加数は前週より107万人少ない。死亡者は644万5398人で、週間1万8072人増加した。この増加数は前週より426人多い。新規感染者はやや減ったが、死亡者はやや増えた。感染者数は今月中に6億人に達するだろう。世界的にみて、コロナが鎮静化する兆候はまだ見えない。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計103万9026人。この1週間で3477人増加した。続いてブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。アメリカ・ブラジル・ロシアで、増加数がやや拡大した。

日本の感染者は累計1646万4925人、この1週間で132万2094人増加した。この増加数は前週より18万6000人少ない。しかし18日には、過去最大25万5534人の新規感染者を出している。死亡者は3万6289人で、週間1706人の増加だった。この増加数は前週より303人多く、第6波のピークを上回った。お盆休みの影響もあって、コロナの勢いは衰えていない。

感染者の急増で、医療体制が逼迫し始めた。このため政府は感染者の全数把握を放棄、病院や保健所の負担を軽減する方針。一部の医療機関だけに報告させる定点把握に切り替える見込みだが、それだけ精度が落ちることは避けられない。するとコロナの状況を判断するためには、死亡者の増減をみることが必須になってくる。死亡者は正確に算出されるからそれでもいいが、判断が遅れがちになる危険性は免れない。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -11.81円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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