経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

米中の思惑が 激突 / Hong Kong (上)

2020-06-24 08:08:08 | 中国
◇ 独立機運の高揚を恐れた習近平政権 = 中国が香港に適用しようとしている国家安全維持法の内容が明らかになった。その主眼は①中国の公安当局が香港に出先機関「国家安全維持公署」を設置②香港の現行法と不一致の場合は、この法律が優先――の2点。香港で高まる独立機運や過剰デモを封じ、民主派を抑え込むことが狙いである。近く法案を成立させ、7月には施行する方針だ。

この法律が施行されれば、いわゆる“一国二制度”の現行体制は危うくなる。“一国二制度”は、香港がイギリス領だったころの資本主義・民主主義を認めるという中国の政策。1997年に返還されたとき、イギリスと中国の間で結ばれた約束だ。国は中国だが、本土とは異なった行政・立法・司法権を認めるという内容なので、こう呼ばれる。

いち早く、対抗措置を打ち出したのはアメリカだった。トランプ大統領は「一国一制度になったからには、香港を特別待遇する理由はなくなった」と言明。これまで香港に与えてきた関税やビザ発給、技術輸出など多くの優遇策を停止すると発表した。またG7(主要7か国)やEU外相会議なども、中国に自制するよう求めている。だが中国は「内政干渉だ」と反発、聞く耳は持たない。

香港市民の反応は複雑だ。もともと本土から逃れてきた人たちの子孫が多いから、反中国的な人は多い。また若者は「自分は中国人ではなく、香港人だ」と考えている。だが本土との貿易で生計を立てている人や、しばしば暴力的になるデモを苦々しく思う人たちは親中国だ。そんななかで目立ってきたのが、香港からの脱出を真剣に考える人たちの急増である。

                              (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 上げ +111.78円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

無味乾燥! 政府の月例経済報告

2020-06-23 08:03:53 | 景気
◇ 学生リポート並みの公式見解 = 政府は先週19日の関係閣僚会議で、6月の月例経済報告を了承し発表した。まず景気の現状については「下げ止まりつつある」という判断。4-5月の「悪化」という判断から上方修正している。また個人消費については「緊急事態宣言の解除に伴い、持ち直しの動きがみられる」とし、企業の業況については「改善の兆しがみられる」と表現した。

まったく、ごもっともと言うしかない。4-5月は緊急事態宣言が発令され、外出の自粛や店舗の営業休止が要請された。それが6月になると徐々に解除され、19日にはほぼ正常化されている。したがって景気が「下げ止まる」のは当たり前。企業業績に「改善の兆し」がみられるのも当然だ。少し経済に関心を持つ人なら、だれでもそう考えるに違いない。

月例経済報告というのは関係閣僚会議が了承する、政府の公式な見解である。それがこの程度の内容であることは、まことに嘆かわしい。経済学部の学生なら、このぐらいのレポートは容易に書けるだろう。たしかにコロナの世界的な蔓延で、将来の見通しは不明瞭だ。だが、それだけに政府が経済の現状をどう考えているのか。もっと丁寧に伝えるべきだろう。

たとえば一律10万円の給付は、景気にどんな影響を与えた、あるいは与えると考えているのか。給与や家賃補助、また日銀の緩和策の効果、国債の大増発でもインフレにならないのか。さらにワクチンや治療薬の開発見通し。オリンピックが延期されたことの経済的な影響などなど。国民が知りたいと思っている事柄は数多い。そんなことまでは書き込めませんと言うのなら、月例報告などは止めてしまった方がいい。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -41.52円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-06-22 07:43:42 | 株価
◇ 財政金融政策の優勢勝ち = ダウ平均は先週266ドルの値上がり。火曜日には527ドルも上昇したが、下げた日も多く終り値では2万6000ドルを割り込んだ。日経平均も同じような動き。火曜日には1051円と大幅に上昇したが、週間では173円の値上がりにとどまった。終り値では2万2500円を割り込んでいる。日米ともに、売りと買いがせめぎ合った結果だ。

株価を上昇させた要因は、主として財政金融政策に対する期待。アメリカではFRBが量的緩和政策の拡充を発表、またトランプ政権が1兆ドルのインフラ投資を追加するという観測が広まった。日本でも大型の第2次補正予算が成立、日銀の緩和拡大にも期待が寄せられた。その一方、株価を下落させた要因はコロナ・ウイルスの蔓延。世界的な大流行やアメリカでの感染者増加が、市場の警戒感を強めていた。

要するに、財政金融政策vsコロナの綱引き。先週は積極政策への期待が優勢勝ちした形。今後も当分は綱引きが続きそうだ。コロナ拡散は収まりそうにないが、財政金融政策の方はしだいに手詰まりとなって行くだろう。トランプ政権はまず1兆ドル投資を情報としてリーク、あとの手段を温存した。しかしFRBには、もう残された手がほとんどない。

今週は23日に、5月のデパート売上高。24日に、5月の企業向けサービス価格。25日に、4月の全産業活動指数。アメリカでは22日に、5月の中古住宅販売。23日に、5月の新築住宅販売。24日に、4月のFHFA住宅価格。25日に、1-3月期のGDP確定値が発表される。

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (15)

2020-06-20 07:26:24 | なし
◇ 南米とインドで死亡者が急増 = 日本時間19日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は11万7728人。増加数はやや減ったが、それでも4803人と多い。次いでブラジルとイギリスが4万人台。ブラジルの死亡者数はイギリスを上回った。イタリアが3万人台、フランスとスペインが2万人台。この両国は落ち着いてきており、特にスペインでは死亡者が出なかった。一方、インドは死亡者数が1万人を超えている。

世界的にみると、いま新型コロナ・ウイルスの猛威は最高潮に達している。感染者の総数は832万人、死亡者数は44万7000人に増大した。新規の感染者はブラジルをはじめチリなどの南米諸国、それにインドが中心。たとえばブラジルでは1日あたりの新規感染者が3万5000人。インドの1日あたり死亡者数は2000人を超えている。

第2波の脅威にさらされているのが、アメリカと中国。アメリカでは過去2週間のうちに、全米22州で新規の感染者が増加した。このためオレゴン州では規制緩和を停止、またテネシー州なども新たな経済活動の再開を見送っている。一方、中国では北京市で80人を超す新規の感染者が発生、一部の地区に封鎖命令が発動された。

日本の感染者数は1万8965人。死亡者数は954人となった。来週には1000人を超えるだろう。こうしたなかで19日には、ほぼすべての行動規制が解除された。その結果、感染者数がどの程度まで増えるのか。クラスター(集団感染)を中心に感染経路を追及する日本式の対策が奏功するのか、世界が注目している。

        ≪19日の日経平均 = 上げ +123.33円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

それでも カジノ やるんですか?

2020-06-19 08:18:31 | カジノ
◇ パチンコ店には自粛要請しておいて = パチンコ店の前に長蛇の列。緊急事態宣言が発令されても、営業を自粛しなかったパチンコ店。こんな映像が、たびたびテレビ画面で流されましたね。まだ覚えておられるでしょう。ストレスを解消するためには、どんな危険を冒してでもパチンコをするしかない。解説者たちは口を揃えて「こういう人たちはギャンブル依存症です」と断定していました。

ギャンブル依存症は、ギャンブルにのめり込んで止められなくなっている人。家族や仕事や生活よりも、ギャンブルを優先してしまう。WHO(世界保健機構)では、これを「病的賭博症」と名付けて立派な病気だと認定しています。こうした病人が、いま日本には320万人もいると推定されており、その多くが家族や周囲の人に多大な迷惑をかけているのです。今回のコロナ騒ぎで、そのことが浮き彫りにされました。

にもかかわらず、政府は依然としてカジノ建設計画を推進しようとしています。カジノというのは、言わずと知れた“ギャンブルの殿堂”ですね。これが何か所も出来たら、ギャンブル依存症の病人が増えることは避けられません。それでもカジノに執着するのは、地域経済の活性化と税収の増加が見込めるためでしょう。つまり病人の増加よりも、経済を優先するわけです。

しかし地域住民は、カジノを誘致してまで経済の活性化を望んでいるのでしょうか。少なくとも誘致の最終決定には、地域の住民投票が必要なのではないでしょうか。また国や自治体は緊急事態宣言のとき、パチンコ店に営業の自粛を求めました。パチンコ店の経済より病気の抑制を優先したわけです。そんな国や自治体に、カジノの建設を推進する資格があるのでしょうか。みなさんは、どう思われますか。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -100.30円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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