◇ 戸惑ったウオール街 = 長期金利が上昇して、株価が大幅に下落した。これが一時的な調整なのか、それとも下降局面への入り口なのか。すべては金利の上昇を良質とみるか、悪質とみるかで変わってくる。ニューヨーク市場はその見極めを巡って、大いに戸惑ったようだ。じっさい金利上昇の原因はいくつもあって、その善悪を判定することはきわめて難しい。
パウエルFRB議長は、議会の公聴会で「金利の上昇は景気回復への期待を反映したもの。金融緩和政策は長く続くことになるだろう」と力説した。つまり現在の金利上昇は“良質だ”と説明している。だが市場は半信半疑。景気が回復すれば、FRBが緩和政策を続ける必要はなくなるのではないか。そうなれば、株高の原動力となっている過剰資金の供給が途絶えることになる。金利上昇は“悪質”かもしれない、と警戒心を強めてしまう。
下院は先週、総額1兆9000億ドルの追加コロナ対策を可決した。ワクチンの接種も進んでおり、ことしの後半には景気が急拡大するだろう。そうなれば資金需要が増えて、金利は上昇する。また国債が大幅に増発されるから、これも金利の上昇要因になるはずだ。こうした思惑が先行し、10年もの国債の利回りは先週1.6%を超えた。株式の平均配当利回りは1.5%だから、資金は株式市場から債券市場に流れやすくなる。
金利が上昇すれば、企業の負担は重くなる。住宅ローン金利も上昇するから、株価にとってはマイナス材料になる。つまり全く奇妙なことだが、現在の株式市場にとっては「景気回復が悪材料」になりかねない。振り返ってみれば、これまでの株高は「コロナ不況下」で達成された。株価と実体経済の関係は、これまでの“乖離”から“逆乖離”へと進行するのだろうか。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +697.49円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
パウエルFRB議長は、議会の公聴会で「金利の上昇は景気回復への期待を反映したもの。金融緩和政策は長く続くことになるだろう」と力説した。つまり現在の金利上昇は“良質だ”と説明している。だが市場は半信半疑。景気が回復すれば、FRBが緩和政策を続ける必要はなくなるのではないか。そうなれば、株高の原動力となっている過剰資金の供給が途絶えることになる。金利上昇は“悪質”かもしれない、と警戒心を強めてしまう。
下院は先週、総額1兆9000億ドルの追加コロナ対策を可決した。ワクチンの接種も進んでおり、ことしの後半には景気が急拡大するだろう。そうなれば資金需要が増えて、金利は上昇する。また国債が大幅に増発されるから、これも金利の上昇要因になるはずだ。こうした思惑が先行し、10年もの国債の利回りは先週1.6%を超えた。株式の平均配当利回りは1.5%だから、資金は株式市場から債券市場に流れやすくなる。
金利が上昇すれば、企業の負担は重くなる。住宅ローン金利も上昇するから、株価にとってはマイナス材料になる。つまり全く奇妙なことだが、現在の株式市場にとっては「景気回復が悪材料」になりかねない。振り返ってみれば、これまでの株高は「コロナ不況下」で達成された。株価と実体経済の関係は、これまでの“乖離”から“逆乖離”へと進行するのだろうか。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +697.49円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫