◇ 中国経済は非常事態に = 中国共産党は先週31日の政治局会議で「外部環境に新たな変化が起きている」と指摘。景気を維持するために、財政・金融面から刺激策をとる方針を確認した。これまで中国政府はリーマン・ショック後に生じた地方政府と国有企業の過剰債務を縮小するため、財政政策を抑制的に運用してきた。それを一転して積極財政に転換するわけで、それだけ貿易戦争の悪影響を重視し始めたことを意味している。
その背景には、中国経済の鈍化傾向がある。ことし4-6月期のGDP成長率は6.7%で、前期よりも0.1ポイント減速した。インフラや不動産に対する固定資産投資は政府の抑制方針で鈍化、個人消費も伸び悩んでいる。景気を下支えしたのは輸出だったが、アメリカの輸入制限でその輸出が減退しそう。そこで過剰債務には目をつぶり、内需の拡大に方針転換せざるをえなくなった。一種の非常事態宣言である。
すでに関税引き上げの影響で、アメリカ国内での6月の中国車販売は前年比20%も減少した。人民元の対ドル・レートは前年比5%の低落、上海市場の株価も2年4か月ぶりの安値に落ち込んでいる。こうしたダメージは今後も拡大して行くが、それを景気対策で補えるのかどうか。見通しは必ずしも明るいとは言えないだろう。
アメリカの輸入制限で、日本など海外メーカーが中国で生産している製品は、アメリカへ輸出しにくくなる。また中国がアメリカに輸出している電子機器や医療機器などは、その部品の多くを日本などアジア諸国から輸入している。したがって対米輸出が減れば、部品の輸入も減るだろう。さらに中国経済の成長鈍化が進行すれば、各国の中国向け輸出が阻害される。こうして米中貿易戦争によって惹き起こされる中国発の不況が、世界に波及する心配が現実のものとなりつつある。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -18.43円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
その背景には、中国経済の鈍化傾向がある。ことし4-6月期のGDP成長率は6.7%で、前期よりも0.1ポイント減速した。インフラや不動産に対する固定資産投資は政府の抑制方針で鈍化、個人消費も伸び悩んでいる。景気を下支えしたのは輸出だったが、アメリカの輸入制限でその輸出が減退しそう。そこで過剰債務には目をつぶり、内需の拡大に方針転換せざるをえなくなった。一種の非常事態宣言である。
すでに関税引き上げの影響で、アメリカ国内での6月の中国車販売は前年比20%も減少した。人民元の対ドル・レートは前年比5%の低落、上海市場の株価も2年4か月ぶりの安値に落ち込んでいる。こうしたダメージは今後も拡大して行くが、それを景気対策で補えるのかどうか。見通しは必ずしも明るいとは言えないだろう。
アメリカの輸入制限で、日本など海外メーカーが中国で生産している製品は、アメリカへ輸出しにくくなる。また中国がアメリカに輸出している電子機器や医療機器などは、その部品の多くを日本などアジア諸国から輸入している。したがって対米輸出が減れば、部品の輸入も減るだろう。さらに中国経済の成長鈍化が進行すれば、各国の中国向け輸出が阻害される。こうして米中貿易戦争によって惹き起こされる中国発の不況が、世界に波及する心配が現実のものとなりつつある。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 下げ -18.43円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫