一 閑 堂

ぽん太のきまぐれ帳

メイキング・ドラマ

2005年09月17日 | 閑人思案
71%という投票率で終わった先日の衆議院議員総選挙。投票に行っても行かなくても、自民党圧勝という決着が予想外だった人は多いのではないだろうか?私は、予想外だった。というか、民主党があそこまで惨敗するとは思っていなかった、というのが正直な気持ちである。政権交代にまでは至らなくても、だ。
ところで私は、選挙は「お祭り」という、非常に軽薄な考えである。
譬えとして適切かどうかわからないのだが、競馬をみるのに馬券を買わないとつまらないのと同じで、開票速報を堪能するためにも選挙には参加しておくべし、と思っている。国民の権利を行使するしないはさておき、選挙も所詮は勝負事。勝った負けたの現場をよりビビッドに味わうには、投票するのが一番と感じる弥次馬体質なのだ。
今回の選挙は「劇場型」と呼ばれているようだ。それだからこそ、投票率が上がったのかもしれない。

さて、結果を受け、政治的な話題を扱うブログでは、ひとしきり様々な分析が飛び交っており、マスコミ各社およびブログ周辺を拾い読みすると、衆愚政治の恐怖および小泉流に対する警鐘が多いようだ。
かつて世界一民主的だった憲法を擁したワイマール帝国から、かのヒットラーが誕生した流れになぞらえて批判する人もいるし、与党で衆議院2/3以上を獲得してしまった以上、日本の平和憲法も改悪されるに違いない!と語る人もいる。「優先民営化」という実体のない言葉だけが一人歩きし、政治の空洞を生んでいるという批判もある。いずれも、自民党の歴史的勝利を危惧する声だ。反小泉という文脈も相当にある。

私は、こういった言説に違和感を覚えている。あまりにも紋切り型だ。
そう総括してみせたところで、日本人のメンタリティが突然変異のように変わり、次回の選挙から「本来的に正しい投票行為」ができるようになるとも思えない。そも、絶対的正しさなんて、ある訳がない。
自民圧勝を支えたムードに、やたらと絶望するのも「きっとこうなるに違いない」といった恐怖を演出するのも、いかにも暴論で陳腐だ。小泉流の暴論に異を唱える人が、自らの暴論を許すというのもよくわからない。

この選挙では、小選挙区制度のすさまじさを実感することができた。
小選挙区は、一選挙区から一人しか選べない制度。つまり、得票率以上に差がつくということだ。51%と49%であっても、ほぼ半数に達している者同士のいずれかが必ず落ちる(死票になる)という制度なのである。
民主の惨敗は都市部に象徴的だった。これだけ自民が都市部で当選した様子を、私も久しぶりにみた。しかしながら、もしも中選挙区制度だったら、ここまで自民一色にはならなかったろう。
まさしく小選挙区制度は、政権を国民の意思で変えるための制度だ。その非情さは、まったくすごい!

勝ち組の自民がただ喜んでいるなどと思っている人がいるとしたら、大間違いだ。いずれの政党も、浮動票掘り起こしでしか勝てない以上、都市型浮動票をどう握るかの再勝負が、本腰を入れてリスタートしたにすぎない。
原則的に多数決で決定される民主主義政治にとって、投票率を上げることは必須であると同時に、諸刃の剣でもあることが、こんなにも明確になった選挙はいまだかつてない。日本の政治が二大政党制を目指すのであれば、あっちの支持者はバカばっかりだ、あっちのやり方は衆愚だ、といったレベルの低い論法では決して勝てない。
それがくだらなかろうがなんだろうが、大衆、特に都市型浮動票を味方にできない政党では、まずもって政権をとれないのである。
惨敗の民主党および民主党シンパは、くだらないごまめの歯ぎしりととっととオサラバし、真にタフな政党に生まれ変わってほしい。特に声の大きなシンパの人に言いたい。自民に投票した人間を愚者よばわりしていると、その愚者から手ひどいしっぺ返しを喰らうだろう。選挙結果が意に沿わなかったからといって、世界の終わりのようにいうのもくだらない。あまりに大仰な嘆きぶりは、結局批判している「劇場型」そのものである。
もっというなら、小泉なき後の次の選挙こそ、大大大チャンスに違いないのだ。大勝した側には、それに見合った期待が寄せられ、その期待が足枷ともなる。フトしたことで、形勢がひっくり返るのが小選挙区制度。これだけの支持を次の選挙まで有利に導くのは、おそらく至難の業だろう。
次の争点を考えると、間違いなくもっと是々非々になるに違いない。

私にとって、この選挙は「一にも二にも、小泉流」だった。メイク・ドラマという言葉その通りである。
それをくだらないと切って捨てる識者も多いが、投票率を上げる力にはどこの国でも、とことんくだらないものがついてまわるのが常である。切って捨てては、明日はないだろう。
もしも、日本が内乱などで混乱のさなかにあり、明日の命、糧さえもままならぬ環境にあったら、政治は死活問題である。生きるか死ぬか、生かされるか殺されるかの選択でもある。けれども、今の日本は国力そのものはかなり減退しているにしろ、一年や二年、政治が空洞化しようが、滅びるような国でもないし、国民が即座に死んでしまうような状況にない。
「郵政民営化」が切実な生活動向と乖離したただの口当たりのいいスローガンだと批判する人もいるが、だからこそ、公平に民意が問えたし、多数決で押しきれるテーマだったと私は思っている。
これが憲法改正や増税だったら、話はまったく違う。それをしなかった小泉流がずるい、卑怯だという人もいるが、野党はなぜそれを争点にしきれなかったのか?真に国民にとって重要な政策こそが、いつも決まって正しく選ばれるはずなら、当然そちらが勝ったはずだ。
そもそも、自国の将来を四六時中真面目に考えている人などは、世間にそういない。これはどこの国でも、だ。
進退窮まった国情になければ、よけいに政治は「+α」でしかない。欧米の政治モデルは、政治に奇麗事を求めすぎる日本的なアプローチとは異なる。政治はもっともっと形而下、卑近な事象なのだ。
たとえば、革命の国フランスなどでも知識階級と呼ばれる人々の影響力が低くなっており、政治の大衆化路線をとらざるを得ない傾向にある。限られた人だけが「フランスの理想」を語っていればそれでいい時代は過ぎ、もっと現実的な利害に敏感になってきているのだ。同時に、ユーロという経済的枠組みをより効果的に発展させていこうとする意志も強い。アメリカという敵がいるから、識者同士のプラットホームがあるといえる。
しかるに、日本はむしろ、政治が孤立高邁すぎるあたりに問題があるのだと思う。共通の敵もいない気がする。

党首を選ぶ合議制の選挙の結果、党の公約として「郵政事業を民営化する」と名乗った候補者が当選した。
結果、党の基本公約である民営化をいかに推進するか?について、戦後最長に近い時間をとって国会審議した。
ところが、最後の最後に至って「郵政よりももっと重要な案件がある」「今の法案じゃあ嫌だ」と言い出した党員が出た。どこかの国が核兵器を日本に向けて今まさに発射しようとしているとか、カタリーナのような大災害があった訳でもないのに、最後の最後で「嫌という意見も尊重してきたのが、これまでの党の空気のはず」とばかりに、平然と反対にまわった。その上、覚悟を決めての反論のために、党を離脱することさえしなかった。
これはありえない展開だと思う。党首が議会を解散することも当然だろう。
民主主義的に合議を尽してコトを決めるといっても、無制限に合議することが目的ではない。決定することが目的なのだ。より最善の策をめぐって合議することも正しいし、事態を一歩先に進めるために、妥協につぐ妥協をすることも正しい。「決定」そのものが目的化する局面もあるのが現実というものだ。
同時に、異論は現場で出せともいえる。対案も必要だ。「郵政民営化」は党の公約なのだから、「私は反対です。でも、変わらず党員です」では話にならないのだ。
小泉流の刺客戦術だって、私自身はまったく問題と思わない。郵政民営化に対し反対と賛成、二つの選択肢があるのは、公平だし、当然だろう。
だが、憲法など、日本の立ち位置を根底から変える争点ならまた別である。数の論理だけでは判断を誤る問題というものはあって、より慎重かつ冷静に考えないといけないからだ。
また、落下傘候補だが、これも不思議ではない。そもそも「国」を考える国会議員が、特定地域の利害の代弁をすることこそ変だ。地盤といったことも所詮はどうでもいいと私は思っている。

党は、たとえゆるやかであっても、政策上で一致した者同士の集団であるべきだろう。政策の違いは「党同士」のぶつかり合いで止揚していくべきだ。党内に右から左までありとあらゆる人間がいて、唯一の利害が「政権与党」というのは、やっぱりいびつだし、おかしいと思う。
民主党が惨敗した背景には、「政権をとる」利害一本やりで、考え方に大きな隔たりのある政策集団同士がむすびついた便宜主義的古臭さがあったからではないか?とも感じている。
もちろん、自民党なんてその最たるものだ。国会で青票を出した人間が、突如賛成といいだしたことでも明らかである。が、しかし、党首である小泉さん個人にはその揺らぎが一切なかった。彼の非情な純化路線こそに、何がしかの期待を感じた人が多かったのだろう。
もっとも、下野することも含め、政治である。野党が効果的に動けるのも、政権が変わることが前提にあってだろう。だからこそ、民主党には「チャンスはそこまで来ている」と強くいいたいのだが、あまりそういった見解がないあたり、私にはとても不思議である。

小泉さんのような奇妙きてれつ、しかしながら強烈なカリスマ性のある政治家は、今後登場しないと思う。
彼の出現は、日本政治のターニングポイントであるかもしれない。
「自民をぶっこわす」を掲げ、現実にそうしてきた。それも国民の信任という論法でだ。「小泉劇場」をみてしまった国民も、今までの国民とは異なる。たとえ、絶対多数を獲得していても、今の自民もかつてと同じではない。
盤石と思えたものがすべて流動化したのだ。特に、今後小泉さんを失う自民には相当にしんどいだろう。
そして、壊すはたやすく築くのは困難でもある。
手軽に結果がほしい気風のわたし達日本人が、じっくりと検討検証したりできるくらい、政治的に成熟するかしないかは保留するとして、今後を私なりにみていきたいと思う。
<なお、このブログのカテゴリー別総目次は こちら

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9 コメント

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トラックバックへの対応 (ぽん太)
2005-09-17 15:42:32
この記事をアップした直後、突如トラックバックが送られてきた。今までまったく接点がないと思われる方々からである。

初めての経験だ。そのあまりに早さに、サーチエンジンを巡回し、あるキーワードにひっかかった記事に対し、内容確認せずに自動的にTBする手段があるのだろうか?と思ってしまったほどだ。



私のブログを読んでくださっているのかも知れないけれど、私個人はTBに対してはかなり慎重で、自分から勝手に相手にTBすることもないし、TBする場合はコメント欄などでお断りするようにしている。

また、相手の論考を土台に自分が何かを考えた場合には、正当な引用の範囲で、勝手にTB申し上げることもある。

とはいえ、原則として、個人的必然性がないTBはしないのが信条だ。



そんな次第なので、お相手のブログを拝見して、なぜTBしてくださったのかがまるでわからない方のTBは削除させていただくことにした。

残してあるTBは、そのブログに魅力があるな、と私自身が勝手に感じた先である。TBで色んな人の見解、考えに出会えるのがブログの醍醐味だろうと思うので、こちらの読者の方が楽しめそうなら、別にいいかな、という判断だ。



独断で申し訳ないのだが、よろしくご了解いただければ、と思う。
返信する
すっきりしました (go-ichi)
2005-09-17 16:03:16
同感です。



ところで gooRSSリーダーってご存知ですか?

キーワード入れるとそれに引っかかるブログを

表示してくれます。自動トラックバックとは

違いますが、私はこれでこちらのブログに

たどり着きました。



ご存知でしたらゴメンナサイ。



http://blog.goo.ne.jp/info/rss.html
返信する
ありがとうございます (ぽん太)
2005-09-17 19:26:23
go-ichiさん、gooRSSリーダーのことを教えてくださってありがとうございます。

一応、そのようなものがあることは以前から知っていたのですが、MACユーザーであるため、試してみることができないでいるんです。世界標準はWinのため、諸々不自由なんですよね。



わざわざお越しくださった上、コメントもいただいたこと、心から感謝です。



返信する
ブログサーチ (yukihiro)
2005-09-18 11:58:28
こんにちは。pontaさんはMACユーザーですか。

ブログを探すにはテクノラティが一般的ですが、最近GoogleもGoogle Blog Searchベータ版を公開しています。

http://www.technorati.jp/home.html

http://blogsearch.google.com/blogsearch

ときどき利用しますが時間の浪費であることも少なくはありません。



今回の選挙についてではありませんが

「○○をバカにしながらも○○にへつらう」

という態度は、それをするものに最終的にはしっぺ返しがくると思っています。



返信する
Unknown (Unknown)
2005-09-18 16:28:57
ご無沙汰しております。チャイニーズライフです。



>また、落下傘候補だが、これも不思議ではない。そもそ

>も「国」を考える国会議員が、特定地域の利害の代弁を

>することこそ変だ。



↑↑↑これは日本の政治をみるときに、いつも私が感じる点です。中国に住んでいるので、日本企業がアメリカ企業、中国企業、韓国企業などを相手に国際的にしのぎを削っているのを目にしています。日本にいるとあまり感じないのかも知れませんが、国際的競争はとても熾烈なものです。国際競争に勝たずに、日本の未来はないと思います。ですから地方主義でなく、いかにして日本として利益を生むか、が問われているのが現代だと思うのです。そういう意味で一歩前進だと思います。



 小泉さんについては、異論がありますが、問題を提起するという点で面白い男ですね。靖国問題でも、いかれると反日が槍玉に上がるので中国に住む者としては面倒な部分もありますが、議論が生まれることは悪いことではないのかも知れません。それを大使館やマスコミ等が消化しているかどうかはまた別の問題ですけど。
返信する
選挙、ワッショイ!  (花標)
2005-09-18 19:05:30
 同じく野次馬の私にとっても小泉劇場のおもしろさと小選挙区制の凄さに尽きましたね。あと、

昔の革新政党も今の保守。私にとっての小選挙区制は一票の格差を是正していくのに有効な制度

というぐらいの認識でしたが、前回の民主党の健闘といい、なかなか面白みのある選挙制度ですね。

 現行の比例制度とのカクテルというのも激変を加減して投票者に一定の納得をさせるうえで

なかなかよくできています。

 既存制度の仕立て直しの時期にある現在で①民意の正確な反映、②スピーディーで果断な決定

となると、やはり小選挙区制なんでしょうね。



 今回の選挙を終えて思いついたこと。新井白石風に燕手のかつらに渋い裃で、前の共産党の

黒縁眼鏡不破委員長か女役者なら社民の土井委員長で、かたや受けは殿様風で河野議長または

歌舞伎顔橋龍、幕末の設定。白石風が「泰平の夢も(チョン)、破れましたなぁ…」、学者・殿様

二人でフハハッハハハ…と泣き笑い(柝の音よろしく、舞台廻る。)。



 忠臣蔵九段目の絵図面を前にした、本蔵・由良にわくわくし、本朝廿四孝の山本勘助・直江山城

の名乗りに喝采を送る軍師好きの私としては今回の軍師小泉おおあたり!でした(小泉好きか

嫌いかを問われると難しいですが、ようやく政治家も垢抜けて現代的になって、これからは

こういうタイプばかりになるのかなと思っています。)。私の勝因感は、

 おそらく何かあれば政界再編!の安全網を持っている軍師小泉にとって選挙は怖くなく、あの

沈着冷静ぶりなんでしょうね(勝因①)。

 先の国会で民主はじめ野党の郵政民営化への反応は鈍く、自民党内の造反でイライラが募る

ところで、ここを拡大すれば勝負になると見逃さなかったのが見事です(勝因②)。相手の小さな

ミス、スキ、油断をこじ開けて戦いを仕掛ける、戦いの端緒をつける手際がきれいでした。

 造反議員の選挙区のリサーチという情報収集は軍師のイロハですが、「小泉革新政権」vs

「自民造反+野党」という「ひとくくり」の図式を提示した戦略(勝因③)は実に大軍師。郵政

民営化YES or NOを改革YES or NOにもっていくうまさ。

 亀井静香はじめ造反議員のビジュアルが古い自民党を象徴するような悪代官風なのは天の与え、

ここへ若くクリーンで、できれば女性を配役するのはマスコミ型現代選挙の常套。

 話題作りのための刺客候補を次々と投入できた準備ぶり(勝因④)は評価できます。アメリカン

フットボールでは準備の段階で勝敗の6割が決まると言われるそうですが、選挙もそうですね。

 党内の反対を押し切って地方組織を締め上げての兵糧責め(勝因⑤)は一種の賭けながら、

よく図に当たりました。将棋でも相手が絶対指したくないと思っている手を相手に指させる、

そういう風に仕向けて、相手が指した時の喜びはなんとも言えないものだそうですが、国民新党

の旗揚げは、造反議員にとって本当に指したくない手だったんでしょう。これにより、自民党が

まとまり、造反議員は結局、新党二つ+無所属に分裂し、野党はまたこれで話題から外される。

 見ていてあらゆる事のタイミングが計算されているようでした。唯一言われていた投票日まで

一週間長いというのも、災害をつかまえて不謹慎な言い方ですが、台風という小泉にとっての

神風が吹きましたね。あれで中だるみしかけた選挙報道が災害報道にかわり、国民が選挙に

あきなかった(勝因⑥)と雑誌の記事にありました、なるほど。

 もう一つ大きな点で、ポピュリスト小泉として顧客のニーズによく応えたというのがあると

思います(勝因⑦)。国会でたかだか郵政民営化をつかまえてグダグダやっている、改革すべき

事が山積みなのにグダグダ。国民には法案の中味よりグダグダしてることに俺にも一言、

言わせろ気分、フラストレーションが高まってきていたんだろうと思います(マスコミは民意を

察知する能力、代弁する能力は失っていますし。)。解散して国民はみんな選挙を喜んで

受け入れたように思います。制度改革が多くなる今後「私も一言言いたい、国民投票したい」は、

これからも国民の気分として続いていくと思います。今回の選挙はポピュリスト小泉のお客様

第一主義を見せられた気がしています。

 つれづれと書いているうちにこんなに長文、ごめんください。
返信する
>yukihiroさん (ぽん太)
2005-09-18 21:17:09
ブログ検索サービスを教えていただき、ありがとうございました。また、TBもありがとうございます。

この選挙をめぐっては、選挙前・後とそれぞれのブログですさまじい数の主張が入り乱れ、大マスコミは完全に遅れをとっている感がありますね。ただ、数多のブログを読むと、脳の芯がジーンとしてくることもたしかで(笑)、激烈なものはできるだけ避けるようにしています。



>「○○をバカにしながらも○○にへつらう」



まさにダブルスタンダードですね。

私も、そのような態度には懐疑的です。というか、議論としても論考としても、↑のアプローチは新鮮味も面白みもないので、早い話がつまらないんですよ。



本日の『サンデープロジェクト』、私はチラリと民主党新党首へのインタビューだけみたのですが、前原党首が「小泉自民は恐怖政治」などと脇の甘い煽り言葉をおっしゃっておられました。

どうも、アンチ小泉陣営は、議員も支持者も、あまりに安易に「恐怖政治」「ファッショ」などというドギツイ表現をお使いになりますね~。

選挙前・中ならともかく、一応は国民の総意で決定した選挙後に、かくのごとき過激なレッテル貼りをしたところで政権与党になれる訳でもなし、半数以上の国民の選択を真からバカにした言い草で、私は日本的ジャーナリズムと野党に染みついたこのような条件反射的文言に辟易しています。

共産党や社民党がそのように指摘する分には、さもありなんですむのですが、民主党がそれをやると正直ガックリ来るんですよ。有権者を無視した、あまりに内向きな言葉じゃないかな~と思います。

もっと大人かつクレバーになってほしいですね。政権をとるつもりの野党であれば尚更…。
返信する
>チャイニーズライフさん (ぽん太)
2005-09-18 21:34:26
こちらこそご無沙汰しています。



>地方主義でなく、いかにして日本として利益を生むか、が問われているのが現代



ですよね~。

中央の財源も先細りどころか大赤字で、親方日の丸船が沈む状況になってきてますから、ようやく利益団体がらみの政治手法がいくらかは是正される「かも」しれません。

ただ、農政・公共事業などまだまだ問題アリと思いますし、道路公団だって端緒についたばかりではあります。

とはいえどこの国も多かれ少なかれ、既得権益と政治とが一体化していますし、完璧に縁を切ることはできないでしょう。

それらを織り込んだ上で、日本もグローバルな視点で日本独自のよさ・得意分野(=強み)を決め込んでいく時期に来ているとは思います。



ところで、昨日新たに決まった民主党の新党首は、防衛戦略のエキスパートでライフワークが「憲法改正」という人ですので、与野党合同で、いよいよ「憲法」含めた日本の国際的立ち位置について、踏み込むことになるのかもしれません。

といっても、常任理事国入りが片づいてから、でしょうけどね。

ただ、いざ始まるとなるとこの踏み絵をめぐり、国民+国内ジャーナリズム+東アジア各国三つ巴の総ヒステリー状態に陥りそうな予感がして、今からなんとなく気分が重い私です(笑)

それに較べれば、「郵政民営化」なんてナンテことないですよ。その点でも、小泉さんのお上手さを実感するのでありました。
返信する
>花標さん (ぽん太)
2005-09-18 22:23:17
私も、今回ばかりは参加意欲ムンムンでした(笑)

なんでもかんでも国民投票というのは、代議士を通じた議会制民主主義に反してはいますが、なにしろこれまでの選挙で当選する議員さんが、どちらかというと地元利益誘導型の「予算ぶんどり合戦」向け要員で、「日本をどうしましょう?」という視点で選ばれた訳ではない、という不信感が国民全体に蔓延していたと思うんです。特に、都市部の無党派層にとっては。

まして、与党の総裁選びも、派閥の領袖同士の談合で決まってきたのだし、政治に関心なんて持てっこない状況ではありました。



陳腐だの意味がないだのと取り沙汰されている手法であっても、とりあえず国民全員に向け、「この政策に反対or賛成」といった切り口で投票できるよう演出されたのは、今までの選挙とはまるで違うと思います。それだけで私は大いに評価したいです。

争点があまりにシリアスではなかったこともよかった。

「憲法九条、どうする?」なんて問いだったら大変ですし、国民も思案しきれず、苦い挫折感を味わってしまったことでしょう。

その点、超くだらないテーマかもしれませんが、誰を支持するにしろ「参加できる!」という喜びをもたらした、争点選びの勘所も、軍師小泉、あっぱれ!と思います。

もっとも、小泉さんにとって郵政改革はライフワークであり、これさえできれば満足、できなければすべて意味なし!との強い思い入れがあった課題だった。それゆえ、ただの選挙テクニックで民意を味方につけたのではなく、「あなたがそんなにやりたいなら、おやんなさい」という気分に国民がなったのだろうと思います。



結果、トンデモない議席配分になり、有権者はもれなく「投票行為の重みと責任」をも感じることができた。

ついでに、圧勝のカラクリが得票率上での微妙な差によることも実感できて、「イエスorノーが、こんなにくっきりと反映されるのか!驚いちゃったなー、もぉ…」ですよね。



とはいえ、自民と民主、実は政策であまり差がない。

二大政党制の一般例からすると、もう少し違いがあった方がいいのですが、とりあえず、自民党内でぐちゃぐちゃやってたことを政党同士でやりあうようになっただけでも、相当にオープンだし、国民が関与できる機会がふえたってことだろう、と私はもっぱら「いい方」に解釈しています。

できれば、もう一度くらい政界再編があってほしい気がしていますが、たった2票差で党首になった民主党路線が今後どうなるかによって、でしょうか。



ともかく、今回の選挙は本当に面白かったです。

また、第二党の民主党がいたからこそスリリングでもありました。したがって、民主党という政党の本質的評価は、まさに今後にかかっていると感じています。

もちろん、自民が小泉さんというかつてないタイプの総裁を失った後も、もっと地道にしっかと内部から改革しきれれば、それもすごいことですけどね~。



それと、国民新党やら新党日本は、まさしく互助会という風にしかみえませんでしたね。選挙対策上、便宜的に党をつくっただけで、さすがに私も白けておりました。

ただね、政治家たちは全体に読みが甘すぎたんじゃないか?と思います。

民営化法案が否決されたら、小泉さんは必ず解散するだろうと私にさえわかったのに、「まさかそんなことはあるまい」の夜郎自大なリアクションには、心底呆れました。

審議拒否を続けた民主党にも、です。もっとも、民主党は新体制となってからは、審議拒否はやらない、現場で異論反論対案提起をしていくとのことですので、期待したいと思っています。



あと、政策マニアな議論では、今のところ国民を振り向かせることができないというのも、ありましたね。

国民がバカなんだと断じることはとても簡単ですし、政策マニアな一部有権者も「踊らされたおめーらが、阿呆だ!」と思っている節がありますが、マスを相手にする以上、わかりやすさやコミュニケーションのとり方、イメージ戦略は必須です。

勝つためには、絶対避けて通れません。

小泉さんのように「一人広告代理店・一人PR会社」状態の政治家はそういないはずですので、今後は自民・民主共に、「いかにしたら、より効果的に人心を捉え、我が党の言葉を届けるか?」について、真剣に検討してほしい。

内向きの政治的用語やイデオロギー的条件反射などの「すでに完全に届かなくなって久しい言葉」だって、変えていかなくてはいけないはずなんです。

政治家は特権階級ではなくなりました。大新聞の政治部記者とだけ仲良くしている時代でもありません。

ポスト小泉の政策論争はこういったことを踏まえ、より多くの国民に開かれた形になってほしいと感じますし、「広くアピールすること」を頭からバカにして事足りるような、甘ったれた事大主義も解消されてほしいと感じています。
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