通し狂言『摂州合邦辻』はまず人形浄瑠璃として成立し、歌舞伎への移植は幕末近くだったといわれる。
この稿からは、役者の個々の演じ方というよりも物語の歴史的背景を探りながら、現代の歌舞伎興行においておそらくもっとも欠落しつつある「中世的世界観」を二回に分けて考察してみたい。
その上で、国立劇場の試み全体、「通しとしての『摂州合邦辻』はどうだったか?」を検討できればと思う。 . . . 本文を読む
先の「藤十郎の玉手御前はいかなる女か?」に続き、『摂州合邦辻』通し企画愚考を続ける。
なにしろ、久々の芝居燃料! まだしばらく、『摂州合邦辻』世界に漂っていたいではないか!(笑)
この稿も藤十郎玉手が中心だ。ただし、序幕ではなくこの芝居の代名詞「合邦庵室」をとりあげよう。 . . . 本文を読む
十一月の国立劇場歌舞伎興行『摂州合邦辻』は、芝居断ちに近い状態の私にとって、是が非でも行かずにはいられない舞台だった。
実際に舞台をみてきてあれこれ感じることはあるのだが、今回はまず坂田藤十郎が創った玉手御前を中心にまとめてみたい。それも「庵室」ではなく、通しならではの序幕を題材にして、である。 . . . 本文を読む