前記事より 職人魂によって創り上げられた『児雷也』。ここでは、役者と演出(道具)への感想をまとめる。
■役者
若手花形の三人(菊之助・亀治郎・松緑)に、職人気質を求めるのは、さすがに時期尚早だろう。
彼らは日々、全身全霊で舞台を勤め、日ごとに輝きを増していった。
東京公演がすでに三演目ということもあり、いわゆる若手によくみられる、初日と楽とではまるで別人といった、異様なまでの伸びしろのようなも . . . 本文を読む
思いもかけずにはまってしまった『児雷也』。四回みたにすぎないけれど、常日頃、舞台は一期一会と、一度きりしかみない私にしては驚きだ。面白い舞台でも二回程度なのだから、今月はお祭り月間だったのだろう。
もちろん上には上がいて、十回なんて人も…。素晴らしい!立廻り好きの人ほど、はまっていた気がする。
『児雷也』は、三階さんと音楽部がなかったら成立しない舞台だった。
そして、いかにも菊五郎劇団らしい舞台 . . . 本文を読む
『児雷也』が終わってしまった…。
千龝楽をこの目でみたし、思い残すことはないはずなのだが、なんとなくガックリきている私である。
『児雷也』の感想は、あらためてまとめるつもりだが、コメントへのお返事やTBへのお礼などは、少し遅れてしまうと思う。
ごめんなさい。
今はまだ、放心状態だ…。 . . . 本文を読む
いやはや、今月はせっかくの顔見世だというのに、月初の歌舞伎座予定が狂い、昼の部はみられなかった。が、夜の部だけは、なんとか幕見できた。本当は吉右衛門の新作歌舞伎をとてもみたかったのだけれど、時間的に間に合わずみ逃すことに…。やむをえない。今月は『児雷也』月間だったのだから。ようやくみてきた夜の部の雑感を、今更ながらまとめてみる。
『鞍馬山誉鷹(くらまやまほまれのわかたか)』。
いやあ、豪勢きわま . . . 本文を読む
遅まきながら国立劇場の『絵本太功記』をみてきた。前半みのがしたので敗者復活だ。たまたま伝統保存会の試演会日に当たったため、幕間にチケットをゲット。初菊という大役を演じる中村蝶紫さんから買えたのもラッキー!昼の本公演、夜の試演会と盛りだくさんな一日だった。
私には、なぜか縁のない演目というものがある。
これでも一応かなりの年数みているのだが、決まってみ逃し続けるものがあるのだ。いや。もしかするとみ . . . 本文を読む
今かなり盛り上がっている本に、『生協の白石さん』という一冊がある。あいにくとまだ読んでいないのだけれど、おおよその内容は聞きかじっていて、「きっと、とても心温まるいい本なんだろうな」と予想している。いつも親しく読ませてもらっているSaさんの覚え書きでもとりあげられており、「やっぱりな…」となんとなく嬉しい気持ちにもなった。
とはいうものの、私はしばらくこの本を読まないと思う。
本を読むタイミング . . . 本文を読む
「てーへんだてーへんだ!」「おや、八っつぁん、どうしたね、騒々しい」「ご隠居さん、おさまりかえって茶をすすってるばえーじゃござんせんよ、てーへんなんだ!」「まあ、ともかく落ち着きなさい ぜんたい何が大変なのだね?」「聞いておくんなせー、ご隠居さん、てーへんなんだ…歌舞伎座が建て替わるんですとさァ そらどうでィ!ハナっからこりゃァ一大事だ変事の前触れだってんで、お天道さまもすっかりお隠れあそばさった . . . 本文を読む
人様の着姿では、まずまっさきに足下に目がいく。履物好きなのだ。
素敵な一足を履いておられると、思わずしらず、にっこりとしてしまう。
きものも帯も髪形もキメキメなのに、足下がちょっとだと、あらぁ…残念、と思ってしまう。
洋服時代も、履物と持ち物(バッグ類)には目がなかった。
和装でも同じで、自分なりのこだわりがあり、数も普通よりは多く持っていると思う。
私の足は少し癖があり、昔から、ぴったりあう靴 . . . 本文を読む
『児雷也』を初日以来再びみてきたので、今度は少し詳しく感想を書いてみたい。なお、観劇前の人は、お読みになりませんよう…。
まず、ざっと気がついた、初日との違いをあげてみる。
といっても、二十分ほど遅れたため、ちゃんとみたのは仙人の場面からであるが…。
1)仙人松助の台詞が、少しカットされている模様
2)初日では、最後のところで右手で印を結び右足左足をキュッとねじり上げて、超怪しい仙人っぽく決めて . . . 本文を読む
前回、歌舞伎関連本の紹介で服部幸雄の『江戸歌舞伎』もあげたが、この本について、ちょっと面白い発見をした。
岩波書店の同時代ブックライブラリーとして出された『江戸歌舞伎』は、1993年の刊行である。
江戸歌舞伎の成り立ちや特色(芝居小屋・見物・興行主・役者・狂言作者など)について、とてもわかりやすく、読みやすくまとまっていて、持ち運びに便利な文庫判ということもあり、演目解説や役者芸談ではない近世歌舞 . . . 本文を読む
『児雷也』をみた日、るんるん気分での帰り道のこと。どうせなら早めの夕飯を外で食べて今日の締めにしよう…などと思い、たまたま開いていたので、とあるとんかつ屋に初めてはいった。この店には、驚かされた。職人技と古風かつ懐しい風情に、である。幼い頃感じた、東京の匂いに、である。
ビルの狭間にある、なんのへんてつもない小体な一軒なのだが、入口が少し奥まっている。
手前にキリッと暖簾がかかり、くぐってガラス . . . 本文を読む
本日、新橋演舞場の『児雷也豪傑譚話(じらいやごうけつものがたり)』、初日にいってきた。去年の名古屋御園座、さらに今年の京都南座興行の時から気にかかっていたのだが、ようやくのことで、東京にも御目見得。読本好きの私が、これをみのがしてなるものか!
とりあえず、今日のところはただの報告だけにしておくけれど、この狂言、面白い!!!
※二回目の具体的な感想は こちらへ
御園座でかかった時、「なんか、スー . . . 本文を読む
十一月となった。東京では顔見世狂言が幕を開ける。ここのところ、江戸時代の顔見世がどうなっていたかを自分なりにぼんやり考えていたせいか、なんとなく気分がウキウキしている。すぐにその気になる私なのだ。そう…。もしかすると、江戸歌舞伎のことを夢想するのは、私にとって最大の娯楽かもしれない。
歌舞伎にはまり始めた頃、当時の恩師から「近世好きになるのは意外だ。あなたの資質はむしろ中世だし、能楽の方が向いて . . . 本文を読む