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レモンが実るリゾートの町、ソレントでアグリトゥーリズモ初体験

2016年06月09日 | 夏のヨーロッパ家族旅行2014

アグリトゥーリズモを体験したい! Vorremo fare l'agriturismo!
アグリトゥーリズモとは、イタリアの農家が家族で経営している民宿を指すことが多い。そこでの食事は、その農家で収穫された食材をふんだんに使った地元の郷土料理を楽しむことができる。イタリアの法律で、「アグリトゥーリズモ」を名乗って宿泊施設を提供するには、その地方の特産物や文化などを紹介することが条件になっているそうだ。そのため、アグリトゥーリズモでは、食事だけでなく、ワインのテイスティングや料理教室、チーズ作り、乗馬や農作業体験など、その土地の特色を活かした様々な体験ができるところが多い。時々テレビや雑誌でアグリトゥーリズモが紹介されているのを見て、是非一度これを体験してみたい!と前から思っていた。

ただ、アグリトゥーリズモは町中ではなく辺鄙な場所にあることが多く、長期滞在者を対象にしていることが多い。でも中にはそんなド田舎ではなく、短い滞在でも泊まれるところがあると聞き、今回のイタリア訪問時ではアグリトゥーリズモに泊まる、と決めて、4月から場所選びを始めた。

本や雑誌で紹介されているアグリトゥーリズモは場所や数も限られているし、たくさんありそうな日本語のネット情報は実は少ないうえに、これといった有用なものが見つからない。そこで利用したのがドイツ語のサイト。ドイツ人はバカンスとイタリアが大好きで、充実した情報が得られるのでは?と探したら、こんないいサイトを見つけた。

Agriturismo.it
これは元々はイタリアで作られているサイトで、ドイツ語だけでなく国旗マークでイタリア語と英語も選べる。イタリアの州ごとに地図上にアグリトゥーリズモの場所が表示され、値段や最低宿泊日数、設備、立地などの基本的な情報、そのアグリトゥーリズモならではの特色、口コミなどを、同じ条件で見ることができる。

このサイトを頼りに、こんな条件でアグリトゥーリズモを選んだ:

今回の旅の行程範囲内(ナポリ~オルヴィエート)にある
2食付きのハーフペンションを提供している
部屋は家族4人が一緒に過ごせるタイプ
観光価値のある町から比較的近い
料理教室やワインテイスティングなどの体験ができる


これらの条件が揃っているところを散々探し、やっと良さそうなのを見つけてメールしてみると、「うちは8月は1週間以上の宿泊しか受け付けていません」なんて返事だったり(HPには書いてないのに~。。)、苦労の末、ナポリに近いリゾートの町として有名なソレントの殆ど街中にあるアグリトゥーリズモに予約することができた。料理教室もやっているが、一人50ユーロでイタリア語オンリーというので、お高いし言葉も厳しそうなので結局申し込まず、5番目の条件はあきらめたが。

予約が確定するまでは結構タイヘンだった。送られてきたメール(イタリア語)でわかりにくいところがあり、イタリアに住むイタリア人の友人がわざわざそこに電話して確かめてくれたりして、ようやく仮予約にこぎつけた。更に予約を確定するには前金の支払いが必要で、クレジットカードは不可で、海外送金しなければならなかった。ゆうちょ銀行の手数料が一番安いのでこれで送ったが、必要な振込先情報をちゃんと入手するのも一苦労だった。

こんなタイヘンな思いをしつつも、検索サイトに書き込まれた高い評価の口コミの数々を何度も読み、更には宿のオリジナルのホームページにあるたくさんの素敵な写真や、サイトから流れてくるシャレたアレンジのナポリ民謡に励まされ、何としてもここに予約するぞ!という気持ちで頑張った。そのアグリトゥーリズモの名前は、"L'Angolo di Paradiso" 。サイトはこちら。これを見たら期待が一気に高まるではないか!

そしてここで過ごした3泊4日のアグリトゥーリズモは「ここにして良かった!」と心から思える本当に素敵な体験となった。

ということで、ソレントのアグリトゥーリズモ「アンゴロ・ディ・パラディーゾ」で過ごした3泊4日のレポートをお届けします。

2014年 8月14日(木)~8月17日(日)
ナポリでは急がせたせいでタクシーでぼられたり、出港間際にチケットも買わずに滑り込みで船に乗ったせいで「特別料金」を払わされたりで、ちょっとイヤな気分になっていたが、出港して約40分、海の向こうの崖の上にしゃれた建物が並ぶソレントの町が見えてきたらまた気分も上がってきた。


船を下り、アグリトゥーリズモまでは本当はタクシーで行こうと思っていたのだが、ナポリでイヤな体験をしたばかりだし、余計な出費を少しでも挽回しようとバスで行くことにした。これがまたタイヘンな思いをすることになる。

バスの運転手さんに、行き先の住所が書かれたメモを見せると「最寄りの停留所で教えてやる」と言われて乗り込んだ。崖の坂道を上り、かなり奥へ行ったところの停留所に停車。運ちゃんに、「ここで降りな。その先を右、スーパーがあるからそこを左へ行けば着くよ」と教えてもらい、バスを降りて言われた道を歩いて行った。

スーパーを左に行ったあたりで念のために道(via monticello)を尋ねると、来た道を戻るように言われた。「え?何で?バスの運転手に言われた通りに来たのに…」。そんなはずはないと思い、でもちょっと心配だったので、家族と荷物はスーパーの前に残して、一人で更に先へ歩いてみた。

閑静な住宅街へやってきた。そこでまた"via monticello"を尋ね、驚きの事実が判明!「ここは via "monticello"ではなく、"montiliello" ですよ。その通りはわからないですねー」と言われてしまった。バスの運転手がメモの通りの名を"montiliello"と見間違えたんだ… つまり、ここは行きたいところとは全然違う場所ってわけか… なんてこった! かなり凹んで家族の待つスーパーの前に戻った。

なんとかしなきゃ、と今度はスーパーの人に聞いてみることに。通りの名前を言ってもわからないだろうから、レジ係のおばちゃんに"L'Angolo di Paradiso"と、宿の名前を尋ねると、「知ってるわよ」と、行き方を教えてくれた。少し遠いが歩けない距離ではない。助かった。まずは僕一人、荷物を持たずに行ってみよう。言われた通りに行くと、"Agriturismo L'Angolo di Paradiso"と書かれた看板のかかる大きな門の前に来た!


これで安心と思いきや、また次なるハードルが待っていた。家族が待っている場所から重たいスーツケースと大型リュックを持ってここまで歩くのはタイヘン過ぎるので、宿の人に車で運んでもらおうと思い、とりあえず相談しようと門を開けようとしたが、鍵がかかっているうえに、呼び鈴が見当たらない。広い敷地を取り囲む塀沿いには他に入れそうなところはない。門をガンガン叩いても反応なし。宿には事前にメールで15時50分に着く船で行く、と伝えていたのだが…

困り果てていたら、通りの向こうの建物の窓からそれを見ていた人が、下を指して「こっちで聞いてみろ!」と合図を送ってくれた。その建物の1階は電化製品のショップだった。お店の人に「アンゴロ・パラディーソの入口はどこですか?」と尋ねると、さっきの門だと言う。「閉まってるですけど…」と答えると、親切にも宿に電話をかけてくれた。「すぐ来るよ」と言われたので再び門のところで待っていた。

間もなく宿の女主人のジュシーさんがバイクに乗って登場。ホッとした。事情を説明して、家族と荷物を車でピックアップしに行ってくれないか、と頼むと、"Va bene! Dopo dieci minuti!(いいわよ!10分後にね!)"と言ってバイクで去って行った。待つこと10分。ジュシーさんが今度は車で戻ってきて、僕を乗せて家族が待つスーパーの前へ。30分以上待ち続け、いい加減待ちくたびれていた家族は、僕が車で戻ってきたのでビックリ。何はともあれ、車に家族と荷物を乗せて宿へ。あの門が自動で開き、広い庭(果樹園)を通って、タイヘンな苦労の末に、ようやくのことで宿に行き着くことができた。

アグリトゥーリズモ「アンゴロ・パラディーソ」は、ソレントの賑やかな町中から歩いて10分ぐらいの便利なところにある。レモンがたわわに実り、トマトやズッキーニなどたくさん栽培されている広い農園のなかに、宿泊棟、レストランと厨房、母屋などがある。なんだか毎年夏に行く清里の貸別荘「野わけ」の雰囲気に似ている。

ここで採れたレモンをいっぱいに積んだこんなしゃれた「インテリア」がよく似合っている。



ジュシーさんは、まずレストランのテラス席に案内してくれて、冷たい水と熱いコーヒーを出してくれた。乾いたノドを冷たい水で潤したあとは、熱いコーヒーをゆっくりとすすっていたら、蚊がたくさん襲ってきた。。。 「あら~、蚊が来ちゃったわねー」と、スプレーを貸してくれた。さすがアグリトゥーリズモ!?

今夜からの夕食を楽しみにしていたのだが「今夜は食事を用意できないのよ… でもすぐおとなりにおいしいレストランがあるから大丈夫! で、明日はお昼(pranzo)を用意しますね。」
ジュシーさん、最初に会ったときからとっても気さくで、「2食付き」で予約していたはずの話が違っても「まあいいか…」という気持ちになってしまう大らかさがある。

ひと休みして案内してもらった部屋は、玄関を入るとソファが置かれた広い踊り場があって、さらに奥にリビング兼ベッドルームがある。とても広くて明るくて、たちまち気に入ってしまった!


部屋や庭でしばらく過ごしてから、ソレントの町の散歩に出かけた。ここの敷地から外へ出るには、最初に通せんぼされた門を、渡されたリモコンの鍵で開ける。鍵がなければ行き来はできず呼び鈴もないし、初めて来た人はどうすればいいかは謎のまま…

街中へ入るとお店がいっぱい、人もいっぱい。リゾートの町といった感じ。そろそろ太陽が沈みかけて来たので、夕日が見たくて海がよく見える場所を探したのだが… なんと、眺めが良さそうな場所はたいていがホテルのプライベートゾーンになってしまっていて入ることができない。眺めがいい公道やパブリックの広場がなかなか見当たらない。これはちょっとセコイ! 夕日のビュースポットをあちこち探し歩いているうちに太陽は沈んでしまった。それでも、やっと夕映えの海を眺められる場所を見つけた。


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ナポリからよく見えたヴェズーヴィオ山が、夕暮れの空にだんだん溶け込んでいった。ピンク色に染まった雲がいい具合に連なっている。


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街中をしばらく散策。町はおみやげ屋だらけで観光客で溢れ、とても賑やかだった。初めて訪れたソレント、眺めのいい場所はみんなホテルに占領されているが、町は楽しいぞ。


夕食はジュシーさんが教えてくれた宿のすぐ近くの"ristorante, pizzeria, steakhouse"と看板が出ている"Il Ritrovo"というお店へ。ウェイトレスのおねえちゃんはモデルみたいにキレイでスタイリッシュで、テキパキしてる。メニューはピザ、パスタ、肉や魚料理などいろいろあった。僕が食べたのはムール貝とトマトのスパゲッティとカジキのオーブン焼き(Pesce spada alla brace)。スパゲッティは絶品だし、カジキも素材の味が生かされたとってもいいお味!




食事を終えてレシートも渡されたあと、南イタリアならではのレモンのリキュール(リモンチェッロ)が、4つ運ばれた。どうやらこれはサービスのようだ。でもどうして4人分?息子はまだ中学生なんですけど…

ウェイトレスのおねえちゃんに、「13歳の息子にもリモンチェッロ??」と聞くと、なんかすごくウケて"Padre!!!"(お父さんによ!)と楽しそうに答える。2杯はキツいと思ったけど、自家製のフレッシュなレモンの香りがギュッと詰まったリモンチェッロはおいしくて、つい飲んじゃった。娘や奥さんも「おいしい!」と言いつつも全部は飲めず、結局僕がそれも頂いた。


お店を出るとき、おねえちゃんが僕に"congratulation!"と英語で呼びかけ、それからイタリア語で「あなたのイタリア語はスンバラスィ~!」と、何やらとてもおかしそうにほめてくれた。きっと彼女の「ツボ」にハマった発音だったか、表現をしたんだろう。でもキレイなねえちゃんに嬉しそうにホメてもらって悪い気はしない。

アグリに戻り、シャワーをして、踊り場のソファーでパンツ一丁でくつろいでいたら、外のドアがいきなり開いて、泊り客風の夫婦が入ってきた。「エッ!? ここはうちらの専用スペースじゃないの?」と一瞬うろたえたが、顔には出さずにニッコリ微笑んで、"Buona sera!" と挨拶を交わした。二人はドアの鍵を開けて自分たちの部屋に入っていった。ここは共用のスペースだったのかぁ。自分たちの専用の場所だと思い込み、思いっきり広げていた荷物をあわてて部屋に移動させた。このご夫婦とはその後仲良しになる。

いやぁ、いろんなハプニングがあった一日だったなぁ!

翌朝も晴天。気温は22度で、ナポリとは違って高原のように爽やか。明るいダイニングでの遅めの朝食はレモンづくし。レモンのママレード、レモンジュース、レモンパン、その他にいろいろな種類のケーキなどがテーブルに並ぶ。どれも自家製!フレッシュですっぱいレモンジュースやママレードが特においしい!!



今日は8月15日。フェラゴスト(Ferragosto 聖母被昇天祭) という祝日で、ヨーロッパの国のなかでも特にイタリアでは殆どの店が閉まってしまう。この日を楽しく乗り切るために、アグリトゥーリズモで過ごすスケジュールを当てた。なので、今日は特に予定もなく、の~んびりの一日。午前中は近くのコインランドリーに行った以外はずっとアグリの敷地内で過ごした。


粉挽き用の大きな石臼は、今ではインテリアとして置かれている

果物や野菜が育てられている広い菜園を散歩したり、日記を書いたり、ソファでウトウトしたり… 今日で旅行も9日目。毎日観光で歩き回ってあまりのんびりすることがなかったが、旅行中にこんなゆる~く過ごせる時間はとても贅沢。


レモンの木の下にはレモンがゴロゴロ落ちている


たわわに実るレモン…


レストランと宿泊棟

アグリの昼食 Il pranzo al'Angolo di Paradiso
「お昼は1時に用意しますね。」と言われ、時間にレストランで待っていたら、「あと5分待って!」と2回ほど言いに来て、結局始まったのは1時半近く。イタリア語で「5分(cinque minuti)」というのは、「あとちょっと」ということのようだ。

待っている間に、レストランには泊り客以外にもたくさんの人が集まって賑やかになってきた。ここのお昼を目当てにやってくる人も多いみたい。
飲み物は昼から赤ワインを頼んだ。さあ、どんな料理が出てくるのかな~、楽しみ!

最初に来たのは前菜盛り合わせのプレート。生ハムとメロン、ベーコン、モツァレラにトマトのカプレーゼ、ズッキーニ… どれもおいしそう!



レストランは窓が開放された明るいオープンテラス風の空間。外の空気が気持ちいい。

アンティパストのプレートをおいしく食べ始めると、続いてすぐに新鮮なポモドリーノ(プチトマト)が乗ったブルスケッタ、シシトウとジャガイモのボイル、ラザーニャが運ばれてきた。

「野菜もあるし、ラザーニャは肉料理ってことかな? ちょっと出てくるのが早いけど、これで料理は終わりかな?」とも思った。パンも付いていて、全部食べたら十分腹持ちしそうだし…




どの料理も新鮮な食材の味が生かされてとってもおいしい。頼んだワインはハウスワインだけどこれもイケル。ゆっくりと食事を楽しんでいるうちにお腹もだいぶ満たされてきたな、と思って隣のテーブルを見ると、リゾットとパスタが乗ったお皿が運ばれている。

間もなく同じものがうちらのテーブルにも出された。リゾットをきれいな緑色で彩っているのはズッキーニとのこと。これもうまそう!


だけど待てよ、パスタやリゾットということは、これがプリモピアットってこと? つまり、その前にやってきた何種類ものお皿は全部前菜??? …ってことは、このあと更にメインディッシュのセコンドが来るの???

まさかとは思ったが、用心のために少食の奥さんには「メインディッシュが来た時のためにお腹に少し余裕をもたせておいたほうがいいかもよ」と忠告。その予想通り、分厚い牛ステーキがきたッ!

バルサミコの香りと酸味が食欲をそそり、意外とペロリとイケてしまった。奥さんは息子と半分こしてた。


思いっきり満腹だけど、デザート(dolce)もやっぱり欠かせない。このショコラはとろ~りアツアツで濃厚。ブドウとの取り合わせもモルト・ベーネ!


1時半近くに始まった昼食(pranzo)が終わったのはもう5時近く。"pranzo"には「正餐」という意味もあり、イタリアでは昼食が3度の食事のうち最も大切とされる。

以前、サレルノの友人宅に泊まらせてもらったときも豪華な昼食に感動したが、一回の食事をこれほどゆっくりと楽しんだのは初めてかも。アグリトゥーリズモならではの贅沢で貴重な時間を体験。

昨夜、裸で挨拶したお隣の部屋の夫婦は、ローマからバカンスで来ているファビオさんとカテリーナさん。その妹(sorella)の旦那のロランドさん。食事中にすっかり仲良くなった。この家族旅行の最終目的地がローマなので、トラステヴェレ地区のおいしいお店を教えてもらった。



6時近くになってこの日初めて町へ出た。まず訪れたのがドゥオーモ(Duomo:大聖堂)。11世紀に建てられ、その後何度かの改築を経て今の姿になったというこの建物は、大聖堂というにしては小ぶりで見るものを圧倒するというタイプではない。


寄木細工で装飾されているという内部の壁が見たかったのだが、聖堂内ではちょうどミサが行われていて見学できなかった。それでも、建物の中に入ってすぐ、聖堂の扉の手前にある寄木細工の大きな絵は見ることができた。


大聖堂のすぐ隣りにある鐘楼はソレントの町のシンボル的存在。


「お店がみんな閉まってしまう」と聞いていた8月15日のフェラゴストの祝日だというのに、ソレントの町中は昨日と何も変わらずお店はどこも開いていて観光客で賑わっていた。
お店をのぞきながら街をぶらぶらした。

この翌日カプリ島で、ナポリから来たという日本人のカップルから、「ナポリはマクドナルド以外どこも閉まっていた」と聞いた。カンパーニャの州都でもそうなんだ。ソレントは観光客最優先のリゾート地ということで、例外中の例外なのかも。

ドゥオーモの内部を飾っている寄木細工はソレントの伝統工芸ということで、町中には寄木細工のお店が何軒かあった。どれもすごくいい値段だが、比較的リーズナブルだった小さめの壁掛けを自分たち用と両親に買った。

サン・フランチェスコ教会近くの、タダで海を見渡せる数少ない眺望スポット。


14世紀に作られたサン・フランチェスコ教会の回廊は、緑が茂り落ち着いた趣きがある。アラビア様式のアーチを支える柱は8角形。この回廊では、コンサートや色々なカルチャーイベントが催されるそうだ。


この後は各自自由行動にして、僕はスケッチをすることにした。ソレントの町は海岸からせり上がった崖の上にある。町から海岸へ下りる急な階段を曲がる途中、なんとか座れそうなところを見つけてスケッチを始めた。

ここは人通りが多くて、みんなが絵を覗いては、Bellissima!(ステキ!)なんて言ってくれるのは嬉しいけれど、人が近づくとちょっとコワイ。冗談でも押したりしないでね。本当に落っこっちゃいそうだから。。。 息子に撮ってもらった写真を後から見るだけでコワイ(写真のほぼ中央でスケッチしているのが僕)。


そんな高所で仕上げた一枚。


各自自由行動の後の集合は8時にアグリ。そろそろ集合場所へ向かう頃、海の向うに沈む夕日を見ることができた。


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僕がスケッチしている間、奥さんと娘はいろんなお店を見て回って、買い物もして楽しかった様子。僕も行きたくなり、部屋で休憩したあと、奥さんに付き合ってもらって夫婦で再び町へ出た。アグリからこんな簡単に街中に行けるなんてとっても便利!

ソレントの街中でも最も賑わっているのが、町のほぼ中心に位置するここタッソ広場(Piazza Tasso)。ルネサンスからバロック時代に活躍したソレント出身の詩人の名にちなんで命名されたといことだが、この広場の車道の真ん中で睨みをきかせているのは聖アントニオの像。ソレントの守護聖人だそうだ。


その聖アントニオが睨む方向にあるサントゥアリオ・マドンナ教会(Santuario della Madonna del Carmine)のレモン色が、ライトアップで鮮やかに浮かび上がってきた。


タッソ広場横の大通りから分かれて奥の方へ入って行く狭い道はチェザレオ通り(Via San Cesareo)。カラフルな商品が並ぶおみやげ屋がずらり。祝日の夜でもまだみんな開いていてとても賑わっている。果物を売る店も。いろいろ眺めているだけで楽しい。


おみやげ屋をいくつか巡って、レモン柄のテーブルクロスやレモンのキャンディー、レモンの形のマグネットなどを買った。値段はナポリよりもどれも少し高い。しっかり者の奥さんは「ナポリで買っておけばよかった~」。


10時にアグリへ戻り、そろそろやっとお腹が少し空いてきたので、昨夜と同じレストランで控えめの食事。昨夜食べて美味しかったムール貝のスパゲッティをまた頼んだ。今夜もリモンチェッロが出てきた!ここのおねえさん、昨日に増して益々気さく。娘ともすっかり打ち解けた。


僕のイタリア語にも相変わらずウケている。でも褒めてくれた。グループで来ていたほかのお客さんにも「イタリア語は仕事で使うの?」なんて訊かれ、「まさか!」。「どうして勉強したの?」「音楽やオペラが好きだから!」と答えると、オーバーアクションで反応してくれて「素晴らしい!」と賞讃。自慢できるレベルでは全然ないのだが、こんな大げさに反応してもらえて、いい気分で店を出た。

ソレント3日目は、朝からお昼すぎまでカプリ島へ出かけ、ソレントに戻ってきたのは16時過ぎ。ソレントでもう一つやりたいことがあった。それは海水浴。リゾート地で、しかも地中海での海水浴を是非とも体験したかった。

カプリからソレントの港(マリーナ・ピッコラ)に着いた足で、港から続く海岸で泳ぐことにした。泳いでいる人、日光浴している人で賑わう砂浜に出ようとしたのだが、なんとここも多くは有料の専用ビーチ。黄色い小屋が並ぶデッキのテラスは全て入場するだけでお金がかかる有料ゾーン。やっぱりソレントは金持ちがくるところなのか…


それでも狭いながら良さげな自由に立ち入れる砂浜を見つけた。道路の隅っこで海パンに履き替えて地中海の初泳ぎ!水はけっこうヒヤッとしたが、遠浅で、そこそこ波もあって楽しい。

息子も海パン持って来たので誘ったが、「いいや…」。どうも我が息子はチャレンジ精神が足りない。。それでも裸足になって波打ち際で娘と楽しそうに遊んでいた。


リゾート地のエメラルド色の海での海水浴。さぞかし水が澄んでいて、いろんな魚が泳いでいるかと思いきや、ゴーグルして潜ったが魚は見えず、透明度もそれほど高くない。港にはたくさん魚いたのにな。魚はいなかったけどおねえちゃん達は全員ビキニなのはよかった!

子供たちはビショビショの服のまま、僕は海パンとTシャツで、階段を上って町へ。今夜はアグリで夕食。それまでまた少し町を歩こう。


こんな広い敷地を持つホテルが街中で幅を利かせている。崖の上にあってパノラマも楽しめる町なのに、なかなか眺望スポットが得られないのは、こいういうホテルが良い場所を独占しているせいもある。だけど椰子も繁っていてリゾート気分は満点。


レモンは南イタリアを代表するフルーツ。町のあちこちで見ることができる。



ソレントのメインストリート、イタリア通り(Corso Italia)から、わき道のジュリアーニ通り( Via P.R.Giuliani)へ入ってドゥオーモの鐘楼を振り返ったこの眺めは、パンフレットの写真なんかでもおなじみ。

いつでも賑わっているタッソ広場とその周辺。お店をあちこち覗きながらお買い物。di De Martino Cristianoという陶器のお店では、ヴィエトリで造られたお魚の柄の大皿を2枚購入した。

ここのご主人は、10年前に大阪へ行ったことがあるという日本びいき。「日本人はみんなスマイルを絶やさず、何でも丁寧で、清潔。タクシーの運転手は白手袋をはめてる!風邪をひいてる人は他人にうつさないようにマスクをする…」と日本のことを次々と褒めまくる。

「日本人は本当にジェンティーレ(優しい)だ!」
このセリフを聞いたのはこれが初めてではない。イタリア人は日本と日本人にとても好意的な人が多い。


今夜はアグリで夕食。今日も泊り客以外に大勢の人達が食事に来ていた。メニューは昨日のお昼と似ていたが、レモンのリゾットは初体験。爽やかなレモンの風味がリゾットによく合って絶品だった。締めは今夜も自家製リモンチェッロで!



アグリトゥーリズモで過ごす最後の夜、食後は部屋に戻ってトランプで遊んだ。ババ抜き、神経衰弱、スピードなどなど… すごく久しぶりで楽しかった。


ソレントを発つ日の朝。アグリの朝食は普通はゆっくり目だが、9時過ぎの電車に乗るので早目に用意してもらった。レモンジュースも飲み納め。

いつもより早く出勤して朝食の準備をしてくれたジューリアさんへ、お礼に日本から持ってきた朝顔の柄の手ぬぐいをプレゼントしたら、とても喜んでくれた。


お隣の部屋だったファビオさんとカテリーナさんともお別れ。お二人も今日ローマへ帰る。フェースブックで友達になった。



ジュシーさんが車で駅まで乗せてくれた。大助かり!
「アグリトゥーリズモ体験は初めてだったけど、どれもみーんなステキで、キレイで、おいしかった!」と伝えた。最後に記念写真。ジュシーさんも嬉しそう。本当にありがとう!またくるよ!
Grazie per tutti!! Ci vediamo!!



【参考にした主なサイト】(ドイツ語)
ソレント名勝案内

オルヴィエート ~美しすぎるドゥオーモのある中世の町~
途方もないスケールと造形美 カゼルタの王宮庭園
イタリアを凝縮 ディープなナポリの街歩き ~その2~

ヨーロッパ家族旅行2014

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